リブラリウスと趣味の記録

観劇とかパフォーマンスとかの鑑賞記録を淡々と。本務の仕事とか研究にご興味ある方は本家ブログまで( http://librarius.hatenablog.com/ )

【参戦ログ】Susumu Hirasawa Interacvive Live 2015「WORLD CELL 2015」2日目

ども。イマイです。

人生においては,新作発表とともに有無を言わさず予約するものがいくつかあります。平沢進師匠のライブはその中の一つです。私にとっては他の予定を入れられたら激怒するうちの一つです。

というわけで水道橋の東京ドームシティホール(旧JCBホール)にやって参りました。

インタラクティブ・ライブとは観客やインターネット上の在宅オーディエンスによる反応によってストーリーが変化するライブです。

インタラクティブ・ライブとは、ミュージシャン平沢進が支援者の協力を得て考案し、1994年から始めた「ストーリー仕立ての観客参加型」マルチメディア・コンサート。
ステージ上に設置された巨大スクリーンに投影される文字情報や映像によって表現されるストーリーが、参加者たちの意志をリアルタイムに取り込みながら音楽と共に目まぐるしく変化してゆきます。
それはさながら壮大なロール・プレイング・ゲームのようでもあります。*1

成功ルートだけでなく,失敗ルートも備えられ,観客の行動によってはストーリーが破綻することさえあるインタラクティブ・ライブ。もちろん,そのストーリーだけでなく,演奏・歌唱のハイクオリティなパフォーマンスも合わさって,1回しか存在しないライブの魅力は最大限に高められていきます。

interactive-live.org

でも,ステルスメジャーたる師匠のことですから,それをひけらかさず,会場の前はまさにシンプル・イズ・ベストな案内。まさに知る人ぞ知る秘密集会的な楽しみもあるわけです。

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ネタバレは楽々ネット上で行われてますし,ライブの興奮が減じてもいけないので,あまり詳細には書きませんが,念のため改行の連打。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回のストーリーはWORLD CELLに続くストーリー。もちろん,未体験の私でも十分に楽しめる話。過去向く士たるヒラサワが,主体性を持たないアバターたるヒラサワを,現在に存在するヒラサワを操りつつ,WORLD CELLの再起動ならびに,それを妨げる光学現実の破壊が最終目的です。

会場にいるオーディエンスは発声,正確には音階を出すことでアバターを導いていきます。左の赤がマイナーコード,右の青がメジャーコードとなり,過去向く士たるヒラサワが発する音と合わさって和音となり,コードガンの弾と化します。

…とまあ,設定をこうやって書き出しているだけで思わずニヤついてしまう位,細かく作り込まれておりまして,きちんと世界を構築してしまうところにその凄さを感じるのです。ここまで本格的に作り込んで何かを伝えることは並大抵な準備ではできないと分かりつつ,何かを伝える仕事に就いている私としては,憧れを持ってただただ眺めるのであります。

セトリとしては,1曲目から「舵を取れ」で思わず感涙し,新曲の数々が繰り出される中で,橋大工が流れ,思わず声を出しました。まさかのオーロラ3が会場に流れたときには,幸せで幸せで思わず泣いてしまうほどでした。こんな瞬間に立ち会えたことは,奇跡としか思えないほど嬉しかったのです。私が最初に買ったインタラのDVDは白虎野であり,オープニングのオーロラ3は何度見ても感情高ぶる素晴らしい曲です。

照明も縦横無尽に入り乱れています。WORLD CELLの走査はこんな感じでやっているのではないかという妄想をちょっと抱いてみたり。

お馴染みとなりつつあるレーザーハープもPEVO1号さんの刀裁きで演奏するというまさかの展開を見せましたし,毎回これだけ新しいものを作り出すあの方達はどこからいったいヒントを得ているんだろうと嫉妬するくらい,繰り出されるパフォーマンスに感嘆しておりました。

何かを創造した瞬間,同時に消費される危険にもさらされることになるわけです。繰り返し観ることに対する飽きやつまらなさというものを,色々なもので私は味わってきた気がするのですが,今回のインタラクティブ・ライブはいつか観た中のベストではなく,全く違う作品として提示するということで,序列や消費といったものを無意味化していました。難しいことを言いましたが,消費されることを心配するくらいなら新しいものを堂々とつくってしまえば良いじゃないかという豪快な回答を今回のインタラクティブ・ライブでは提示されたような気さえするのです。

インタラクティブ・ライブの後は,何か新しいものを作り出せるような高揚感に包まれます。あんなかっこよさをどこかで真似したい,あれほどまでに引きつける何かを自分も作ってみたい,もちろんそれは傲慢な考えではあるのですが,そんな気持ちになるくらい,インタラクティブ・ライブは私にとって,新しさの塊なのです。

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こちらの写真は会場に贈られた馬の骨一同からのお花。帰り際にロビーに飾られている花を見て圧倒されつつ,この世界は素敵なパフォーマーだけでなく,こういった素敵なオーディエンスと一緒に作っているのだと改めて認識しました。この世界や時間軸の楽しさ,愉快さを噛みしめるながら帰路についた次第です。