リブラリウスと趣味の記録

観劇とかパフォーマンスとかの鑑賞記録を淡々と。本務の仕事とか研究にご興味ある方は本家ブログまで( http://librarius.hatenablog.com/ )

【観劇ログ】ジョーカーハウス「サイバーリベリオン」天使ver.

どうも。イマイです。

9月のこの時期は池袋演劇祭の時期で,あちこちの劇場で作品が上演される時期です。テンションを上げながら劇場へと本日も向かいます。今日は箱推ししている劇団さん,しかも旗揚げからずっと作品を拝見しているジョーカーハウスさんの舞台を観に来ました。バージョン違いは逃していたりしますが,過去9作品を全て観ることが叶っています*1

そんなお馴染みの劇団を見るために,本日は池袋シアターKASSAIへやって参りました。

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シアターKASSAI前の掲示

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1.開演前

受付開始後に会場に到着して,受付を済ませると物販コーナーにはお馴染みのジョーカーハウスメンバーが待機していました。今回の作品には都合もあって出演できなかったメンバーも多くいらっしゃるようで,物販を購入しながら,予期せず雑談タイムを展開することが出来ました*2。 

さて,千穐楽の物販で見つけた興味深いものがこちらの物販でした。

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千穐楽限定の福袋コーナー

千穐楽限定の福袋。お祭りなんだから買ってしまえと購入したところ,ブロマイドが2枚,そしてこちらのえん魔さんのサイン入りTシャツが入っておりました。そのまま来てしまおうかと一瞬考えましたが,家族で協議の結果,家宝として大切に保管することが決定致しました。

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伊藤えん魔さんのサイン入りTシャツ

開場時間中は恒例となりました役者さんからのパンフ売り歩きがありまして,あまりにゲラゲラと笑っていたらもう既にもっているパンフをもう1冊購入しておりました。売り方が上手いなーと思って感服していた次第です。

舞台はジョーカーハウスでは恒例となった後ろに段が組んであり,一面に黒の布が引いてある素組みで,天井の照明からは紫の照明が6つ。小劇場ならではの近さもありまして,舞台上には何も無いのにテンションがただただ上がってきます。そうこうしているうちに開演時間となりました。ではネタバレ防止の改行連打を致します。

 

 

 

 

 

 

 

 

2.物語の中身

 公式サイトによれば,本公演のあらすじは下記の通りです。

それは存在しない世界だった。
かつては最先端と思われた古の仮想現実。
そこには存在を否定され続けた。
どう見ても『人間』達がいた。

あるシミュレーションゲームが開発された。
それは限りなく現実世界を模倣し、
そこには無数の「仮想の人間:
バーチャル・キャラクター=VC」が生きていた。
開発技術者達は、そこでおこる政治、戦争、流行、
あらゆる問題をフィードバックさせ、
現実社会の問題解決に利用しようと考えたのである。

しかしある時、その世界をコントロールする
強大な意思を持つプログラムが現れる。
プログラムの名は『ヴィショップ』。
仮想世界において、自身で進化を遂げた
セキュリティソフト『ファイヤー・ウォール』である。
強力な制御機能を駆使し、仮想世界はおろか
現実世界のネット網すらコントロールし始めた。

ヴィショップの暴走を食い止めるため、
開発技術者達はシステムを停止、
初期化するための人間を選別して仮想世界へ送りこむ。
彼らはシステムエンジニアやA級の兵士であった。
彼らの意識はデータ化され、
クリーナーとして
ハードディスクにインストールされるのである。
しかし、誰もヴィショップを抹殺する事はできなかった。

人類が最後に送りこんだのが、
ライトイヤーと名乗る兵士だった。
並はずれた精神力を持つ兵士は
荒廃するシミュレーションゲームに侵入する。
そこは絶対の統制と享楽がうずまく退廃的世界。
ヴィショップを追う中で、
ライトイヤーは誰からも支配されない気ままな大道芸一味と出会う。
そこには、あらゆる機能をコピーして進化した
奇怪な生命体 ジェイソンが見せ物としてなっていた。
ライトイヤーは彼らに匿われ、徐々に情報を得る。

「他に数人のクリーナーがまだ生きている」
「時空に潜む凄腕のエージェントがいる」
「支配者は『リベリオン』なる存在を恐れている」
ヴィショップが放つ無数の追手を振り切りながら、
ライトイヤーは『リベリオン』の秘密に近づく

間もなく朽ち果てるいにしえの仮想現実世界で
不毛なるも激しく、
美しくもあまりに切ないサバイバルが始まる・・・。

(公式ウェブサイト http://www.jokerhouse.jp/ からの転載+公式パンフを参照して一部語句の修正をしました。)

公式パンフの後書きにある伊藤えん魔さんのコメントは一読すべきところで,是非ご一読頂きたいと思いますが,「満を持して送る今回の作品」とのフレーズが目に止まりました。おそらく毎回表現を変えて似たようなフレーズが書かれていたのかもしれませんが,今回のパンフからは何か違うものが感じられました。

さて,物語は病院の集中治療室から始まります。中央に布でくるまれた人物に,二人の医師が付き添っています。延命処置の中止が命じられ,医師が集中治療室をあとにしようとしたところ,一人の医師が近づいて「これでやっと死ねるな,なあ兵隊さん」と語りかけます。それがきっかけとなって,兵隊は立ち上がり,仮想現実の世界へとダイブするシーンが挿入されます。

兵士の名前はライトイヤー。あらすじにもあるように,仮想現実を支配するヴィショップをdelete,もとい削除するために送り込まれたクリーナーです。ライトイヤーは仮想現実の世界に降り立ち,住人達に聞き込みをします。あらすじに書かれているような台詞を残しつつ,住民達は消去されていきます。

聞き込みを進めている中で,一人の男性が目の前に現れます。男の名前はチャーリーブラウン,敵か味方か分からない人物とつばぜり合いをした後,チャーリーブラウンの動きを止める道具にライトイヤーは活動を停止し,元の世界へと戻るためのIDカードと,ヴィショップを倒すためのコードが含まれた短刀を奪われてしまいます。

ヴィショップの宮殿に舞台は切り替わり,側近のデルタ,メイドのピグレットとヴィショップの会話が取り交わされます。といっても,ピグレットは少しネジが外れていて,デルタは3体いるのに意見がまとまらないなどの曲者揃いではありますが。

再び舞台は切り替わり,大道芸一味のシーンへと切り替わります。舞台後方には,なぜかこの場所に連れてこられた腕を負傷しているライトイヤーが立ち会う中,サマンサという女性とトムという男性,ジェイソンと名前を付けられた低レベルのVCが見世物を行っています。この日は目隠しされた上で,観客が書いた3枚のメモを投資するという内容で,女子力、女、ネコの組み合わせ。ジェイソンは見事,透視して中身を言い当てます。

ジェイソンが負傷しているライトイヤーを持ち前の能力で治療し,ひとしきりやりとりをしたあと,ヴィショップの追っ手が一味のアジトへ襲ってきます。逃げ出す一同,謎の少女ルーシー,そして時間軸へと逃げ込んだロードランナー達を巻き込み,崩壊する仮想現実の世界での最後の戦いが始まります…。

この物語の結末は是非ご自身の目で目撃してください。

3.感想

  • 毎回この台詞を言っているような気がするのですが,前回を軽々と超えてきて,そして違う面白さを出すのがジョーカーハウスの面白いところです。とにかくカッコ良くて,カッコ良くて,カッコ良い作品でした。
  • 物語の最初から,世界に引き込まれるザ・ハードボイルドな世界。お馴染みのギャグ挿入も普通に行われ派手に脱線するのですが,世界観を崩さずに本線に戻ってこれるのは,これまでにない魅力でした。
  • 雰囲気や緊迫感についてはジョーカーハウス随一だと思います。
  • 二人の兵士,二つのボタン…と劇中の随所に導入される「2」という概念。ラストシーンのヴィショップとジェイソンの対比へと繋がっていくための布石は,とても明瞭で分かりやすく自分の中に入り込んできました。
  • あーどーびー。こんなん笑ってしまうわ。
  • 上質な海外ドラマを伊藤えん魔さんテイストで楽しんだような感覚がありました。
  • 自己紹介や状況紹介のシーンがほとんどないのが今回の特徴です。だからシグマの状況説明が笑えるシーンとなっています。私はこれくらい説明なしでも楽しめるくらい,サイバーパンクが好きなので問題なしです。
  • Twitterでも書きましたが,関東の役者で伊藤えん魔プロデュースをしたいというえん魔さんの熱が実を結んだ瞬間に立ち会えた陽に思います。それを望んでいた私も大満足でしてマジで生きてて良かったと思う次第です。
  • あーどーびー(二回目),単刀直入(ボソッ。ずるいわ。
  • 照明のLEDと音に合わせた切り替えは見事で,これだけに注目して1ステージ見てみたいほどでした。
  • 物語上でのごまかしや嘘が全くなくて,たぶんえん魔さんの一番得意なところが全て発揮されてて、完成度としては相当高いレベルにあるのではと思っています。レギュラーメンバーで出てない人が多いのが残念というのが唯一の欠点というくらい,文句のつけようがありません。演劇をこんなにワクワクして楽しめるのはただただ幸せでした。
  • ライトイヤー役の上村龍祐さんは声も台詞回しも,熱も動きもその全てが理想的であって,この役のためにある人なのではと思うほどの魅力にあふれてます。アメリカのテレビドラマではと上で書きましたが,あのローボイスは凄い魅力でした。

  • ジョーカーハウスメンバーの橋本真衣乃さんも,可憐で真っ直ぐな女の子で台詞に感情を揺さぶられました。佐々木志乃さんはどっしり構えた迫力があって,ジョーカーハウスの美津乃あわさんではと思っている私としては,あわさんと対峙しているシーンはただただご褒美でした。

  • コロニーから見ている私としては,七味まゆ味さんと美津乃あわさん,イトウエリさんの三人が出てくるだけで何か安心しておりました。七味さんに結構無茶振りしてる作品だと思うのですが,吹き出さず最後まで貫き通すのがプロだなあと思います。イトウエリさんはボケ倒して観客爆笑の中,キャラが崩れないのが流石です。美津乃あわさんは私の中ではスターさん*3で全てが尊い方なのですが,サイボーグ侍をちょうど今週見ていたので,段蔵と何か重なるものがあってカッコ良さ満点なのでした。 

これで10本目をクリアして6年目に突入したジョーカーハウス。次回作が今から待ち遠しい,この先どんな世界を見せてくれるのかと申し上げるだけの無責任な観客ですが,今回は「これだよ,これが観たかったんだよ,私は」という不思議な高揚感と興奮に包まれながらブログを書いています。

今から映像で拝見するのが楽しみでなりません。それくらいステキな作品でした。

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ほぼ恒例化したえん魔さんとのチェキ

stage.corich.jp

*1:そういえばこれが何と記念の10作目!なのですね,おめでとうございます!

*2:ご迷惑だったようであればゴメンナサイ…。

*3:なにせ初遭遇が「SMITH」の千穐楽映像なので