【観劇ログ】劇団かえる第9回公演「すべての風景の中にあなたがいます」
どうも。リブラリウスことイマイです。
追っかけていた劇団さんの公演が一段落したのと,1月末に観に行こうと思っていた観劇が実家の家族がことごとく体調を崩すというトラブルによって,キレイにすっ飛びまして,ちょっとブランクが空いておりました。
そんな中,社会人の劇団に所属している従兄弟が所属している劇団が本公演をするとのお誘いを頂きました。振り返ってみれば従兄弟の舞台は2015年に客演した(下記のリンク参照)際に拝見して以来,すっかりご無沙汰しておりました。
【観劇ログ】劇団GIFT the 5th Theater 「銀河旋律」 - リブラリウスと趣味の記録
ちょうど予定が空いたこともあったので,新横浜にあるスペース・オルタまでやってきました。新横浜は大阪遠征の時に限らず,何度も乗り換える駅ですが,この場所に来たのは今回が初めてです。
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1.開演前
今回公演をしている「劇団かえる」さんは,神奈川県で活動している社会人演劇集団です。今回の作品は何と無料公演。当日パンフの記載によれば,定期的にこの試みを行っているようです。
-演劇を身近に-
をコンセプトとする横浜の社会人劇団
多くの方が演劇に触れる機会を設けるため
無料公演を定期的に行う。
さて受付を済ませて,最前列の席に腰掛けます。少し最前列の通路が広く取られていて,少し段が高くなったところにパンチカーペットが敷かれ,ローテーブル一つに丸イスが二脚。ローテーブルの上にはノートPCがおかれています。それ以外には背景が黒幕になっている,非常にシンプルな構成の舞台となっています。
当日パンフを拝見していると,見慣れた従兄弟の名前でメッセージが書かれています。ふむふむと読み進めていると文末に衝撃の文字が現れました。
「団長」
えええぇ。いつの間に。1分ほど驚いた後,冷静になってもう一度見てみます。
うん,書いてありましたね。素直に凄いなーと思います。
そんなこんながありつつ,BGMに流れている聞き慣れたポップスを聞きながら,舞台上を眺めているとなんだかそれまでこわばっていた自分の顔が和らいでくるのが分かります。1ヶ月近くのブランクがありますが,このワクワクする感覚はたまらないものです。そうこうするうちに開演時間となりました。M0の曲のボリュームが大きくなり,照明が暗くなっていきます。
2.あらすじ
今回の作品はタイトルからも類推できるように,演劇集団キャラメルボックスさんが2009年に上演した同名の作品を上演したものです。
http://www.caramelbox.com/stage/halftime2009/index.html
人付き合いの苦手な広告デザイナー滝水浩一が、夜中に親友のSF作家 加塩伸二のもとを訪れる。そして滝水は語り始める。ある思いを胸に…
霧のたちこめる山の中。不思議な出来事の始まりつかの間の喜びと失望。
立ちはだかる運命を超える力とは…
私もキャラメルボックスさんは大好きなのですが,この作品は未見*1でした。ファンタジーだろうなと言う位の感覚で,今回見始めました。
照明が付くと,舞台上に加塩伸二と滝水浩一が現れます。久しぶりの再会を加塩は喜びつつ,なぜこんな夜中にここを訪れたのかと滝水に聞きます。最初に約束して欲しい,全部話を聞いた後,お前の考えを聞かせて欲しい。そう告げた後,滝水はこれまでの経緯を語り始めます。それは8ヶ月前の事,熊本の白鳥山へ滝水が登山した際に遭遇した不思議な不思議な話だったのです…。
Wikipediaに原作小説のあらすじがキレイにまとめられているので,詳細はこちらをご覧下さいませ。
3.感想
実は私,タイムトラベルものが大好きです。特に,未来から過去に向かって,変えることのできなかった出来事について,登場人物が語っているときには,キャラクターがその出来事を後悔していなかったとしても,ほぼ例外なく涙が出てきてしまいます。そういえば,昨年拝見した劇団『劇団』さんの『1000年の恋』もそういったお話でした。
【観劇ログ】劇団『劇団』gekiGeki 2nd『1000年の恋』 - リブラリウスと趣味の記録
序盤から中盤にかけて,沙穂流がスポットライトに照らされて亡くなった両親のことを口にしているとき,すっかり自分の気持ちが物語に入り込んでいたこともあったかと思うのですが,気がついたら頬を涙が伝っていました。一目惚れしたかと思えば,20数年先の人物で,今,目の前で会えるのはまだ生まれたばかりの赤ん坊。淡々と積み上げられていく事実は,泣かせようとするシーンではないのですが,要所要所で感情の高ぶりを生んでいました。
この作品をキャストの皆さんは,滝水の朴訥さ,沙穂流の真っ直ぐさ,加塩の冷静さ,藤枝夫妻の柔らかさ,今村のシャープさ,天草の機転の良さを奇をてらわず丁寧に表現されていたように思います。小道具も舞台装置も最小限。開演前から追加されたのは,リュックや椅子といった物語に欠かせない品のみ。
誘ってくれた長者原役の彼は,舞台上で生き生きとしていました。笑いを取っていくシーンでは,せっかくそれまでに涙を流していたのに,思わず吹き出していました。
無料だとか,社会人劇団だとか,そんな括りでフィルタをかけていた自分が馬鹿馬鹿しくなるほど,すっかり最後まで物語に浸かっていた自分がそこに居ました。終演後,挨拶した従兄弟は「趣味でやってますから…」と謙遜していましたが,私は半ば興奮しながら「凄かった!」と伝えていました。
趣味で演劇をするのは凄いなと素直に憧れてしまうのですが,当日パンフにも書かれていたように,もっと身近に演劇があっても確かに良いと考えます。Twitterで私がフォローしている方が,「漫画や音楽みたいに「趣味や遊びでやってます」と演劇や映画でも言いながら作る人がもっと増えないと」と仰っていたことが頭をよぎります。
https://twitter.com/take_noble/status/575513703971422208
趣味「演劇」が見ることだけでなくて演じることも含まれていたら,それはとても愉快なことだと思います。帰り道,あれだけスランプに陥っていて色んな事が手に付かず,落ち込んでいた私の心はずいぶんと軽くなっていて,前を向く元気が出てきていました。演劇ってやっぱり面白いよね,と一人呟きながらこのブログを打ち込んでいます。
今回,お誘い頂いた劇団かえるの団長,秋山聡治さんに心から感謝申しあげたいと思います。
追伸:
私も演劇大好きなので,何かしら演劇に関わっていたい,でも機会が無いからねという結論で過去は終わっていたのですが,今年は劇団さんをサポートするある活動に携わる予定です。公表時期が来たら大騒ぎしますので,皆さまよろしくです。
*1:好きと言いながら割と見てない作品が多いのです。