リブラリウスと趣味の記録

観劇とかパフォーマンスとかの鑑賞記録を淡々と。本務の仕事とか研究にご興味ある方は本家ブログまで( http://librarius.hatenablog.com/ )

【観劇ログ】劇団『劇団』gekiGeki 2nd『1000年の恋』

どうも。イマイです。

池袋演劇祭が絶賛開催中です。9月10月の週末に予定を入れてこようとする人は片っ端から「お断り」の返事を入れてまわりますので,どうぞご容赦を*1

さて本日は,LARPs終演後から待ちに待っていた劇団『劇団』(通称ゲキゲキ)さんの初の東京本公演「1000年の恋」に,東京は池袋のシアターグリーンBIG TREE THEATERまでやってきました。池袋演劇祭の出展作品です。

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1.開演前

受付を済ませ,会場に入ると舞台上は緑の明かりに照らされていました。

舞台上では,後方が高くなっている2段組のセットが組まれていました。前方正面,前の段から上の段を利用して紋章の描かれた扉が設置されていて,その上手側に90度反時計回りの階段が設けられています。

一段ごとに三本ずつの柱が組まれ,柱にはツタのようなものが絡みついています。柱の根本辺りから白熱球色の光が出ていて,緑の照明と相まって,柱は木の幹のようにも見えます。下手側には小さな階段のように見える箱馬が設置されています。

物販では,6種類のアイテムが並んでいます。オススメはTシャツですが,観劇のお土産としては大変嬉しい,台本,パンフレット,ブロマイドに加えて,お値段手頃なステッカー,本公演のDVD予約と充実したラインナップになっています。

開演時間が近づくと,合成音声のような声(アンドロイドのDシリーズの声)で開演前の注意事項が説明されます。いわゆる通常の注意事項に加えて,これが東京初の本公演であることなどが触れられ,非常に丁寧なアナウンスが行われています。テーマパークのアトラクション開始前のアナウンスのようにも聞こえて気分は盛り上がって参ります。

では,本作品は大阪公演も予定されております故,ネタバレ防止の改行連打をいたします。ネタバレを避けたい方はこの辺でページを閉じて頂けると幸せになれると思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2.あらすじ

物語のあらすじは下記の通りです。

ちがう空間、ちがう世界の物語–
人と自然が共存する豊かな町・スターシア。
まわりを森や山に囲まれた平野部に位置するその町の民たちは、
険しい危地を超える術を持たず内部だけでひっそりと暮らしていた。
何者にも侵されぬ聖地のように、世界の事を知らぬまま。
それはこれからも続いていくはずだった。
森の向こうから一人の少年がやってくるまでは。

–少年はどこから来たのか?
–外の世界に何があるのか?

次第に浮かび上がるスターシアの真実。
それはやがて、ある少女の純粋な恋と、数奇な運命の物語へと繋がっていく。

https://stage.corich.jp/stage/83909 より引用)

フラッシュバックのような明滅の後,Dシリーズの開発者のダズが舞台上に現れます。どこかから聞こえる声と言い争っています。「弟を…テオを助けて下さい!」と嘆願するも相手には受け入れられないまま。

暗転後,お嬢様リコの部屋。逃げ出したキキという小鳥をやっと捕まえてきたお付きのポプリ。お嬢様へと小鳥を差し出したところ,ポプリの目を盗んでリコは鳥を逃がしてしまいます。

だってこんな所に閉じ込めちゃったら,せっかくの翼が台無しじゃない。

再び暗転後,地下室に場面は切り替わり,ある男のうめき声とともに,仮面をつけた男がスポットライトに照らされています。

そして再度場面は切り替わり,双眼鏡をつけた3人が登場します。塔の見張り役のナルとその仲間,ドンとミモザです。子どもっぽく「異常なーし!」とふざけあいながら,見張り塔監督官のマイルスの監督下のもと,何も起こることがない退屈な見張り役をこなしていると,突然警鐘が鳴り出します。

誰もいないはずの森に誰かが現れた。そいつは誰だ—。

駆けつけたところ,記憶を失った男の子が一人。名前を思い出さない男の子とはロンドと名付けられ,塔の中で暮らし始めることになります。塔の中に幽閉するという扱いでよそ者を受け入れてもらったものの,ロンドは外の世界が見たい,森が見たいと外へと出ようとするところを,周りに止められることが何度か繰り返されたある日。

記憶を取り戻して人間だと証明しないと,一生を塔の中で暮らさなければいけないと分かったロンドは,いよいよ本気で塔の外に出ようとします。カムイやエイミーを含めた塔の住人達と友達のようになっていたロンドが一人で塔の外に出ようとするところ,ナル,ミモザ,ドンの3名は一緒に塔の外へと付いていくことになります。

森を目指そうとしたそのとき,予想もしなかった驚くべき出来事が起こり,ナルは突如行方不明になってしまいます。バラバラに思えていた世界は徐々に繋がっていきます。謎の二人組ストレイとターニャ,医療施設の職員シランとともに,ロンドをめぐる物語の歯車が回り始めた瞬間です。

ロンドは何者なのか,そしてナルの行き先はー。続きは是非劇場で確認してみて下さい。

3.感想

(以下の感想は上演台本を見る前に,大まかのアウトラインを書いたので,もし明後日の方向の指摘をしていたらどうぞご容赦下さいませ)

ひと言で言うと,「ジワる」切なさ,等身大の切なさに満ちた作品だったと思います。タオルハンカチは持参した方が良いと思います。私は中盤から終盤にかけて物語が繋がり始めたところで涙腺が3回緩くなりました。

さて,終演後に色々思い出しながら,この作品の特徴を表現できないかと考えていたところ,4つのアイディアが思いつきました。せっかくなので,全部書いてみたいと思います。

1つめが等身大の物語についてです。

科学文明が発達した世界の1000年後に1回文明が滅んだ世界があって,その世界でひっそりと暮らす人類と,ある日その世界にやってきた余所者から物語が始まり,舞台設定のスケールとしてはかなりの大きさがあります。

こういう世界だと,全て知っている人間がストーリーテラーとなるように描きたくなる感じだと思うのですが,この物語はあくまでも登場人物達が行動する中で,少しずつ全貌が明らかになっていくアプローチです*2

ストーリーテラーのような人はおらず,それぞれのキャラクターが自分の立場を(わきまえて)発するセリフや行動がきっかけで物語が展開していくので,そこはマスクとってテオの顔を確認するべきでしょとか,カムイとエイミーの正体をみんな知ってたでしょとも思ったりもするのですが,物語上の都合でキャラクターが世界に介入することをせず,その世界のその場面で感じたり,叫んだだろうセリフで構成されているところが丁寧に構築されている一端なのかなと考えました。

2つめが「子ども」と「大人」という比較軸です。

あと,この物語で1000年後の世界に登場するのはほとんどが「子ども」であるということは念頭に置いておくべきポイントかと思います。年齢が幼いだけでなく,歴史の蓄積がないという意味の2つがあるので,ここで区別のため「子ども」を括弧付けしておきます。

物語の発端となる科学文明世界では,軒並みダズやリコ,シランやポプリといったキャラクターが「大人」として登場します。科学技術が発展し,老害が出しゃばるような嫌な大人世界が見え隠れしている一方,1000年後の世界ではマイルスでさえ老人ではなく,ちょっと背伸びした年長者です*3

例えば後半のシーンで,ドンの父親の敵が目の前にいるにも関わらず,こんなセリフをドンは言っています。

うるせぇよ。もうワケ分かんねぇんだよ。怒りを何にぶつけていいのかも分かんねぇ。だからとりあえず今は約束を守る事にする…

ちょうどこのシーンの直前で,ダズは「この時代の人間どもはテオを見捨てた。その復讐だ!」と叫んでいます。これがもし「大人」として,過去の怨嗟とか復讐とかを引きずっていれば,ここで迷わずカムイに殴りかかっているはずです。でも,一見すると渋くて大人っぽいそしてアゴがでかいドンも,気持ちの整理がつかないから「子ども」だからこそ,カムイには手を掛けず,むしろ仲間を守ろうとする行動を取っているのです。

もちろんあの1000年後の世界には大人も多数いるのでしょうが,ナルやロンドの視界には入っていない(=2人の関心事ではないか,本当に子どもしかいない)ために,あの作品の物語の中には出てこないのが自然なのかなとも思いました。

「子ども」というと未熟とか良くないイメージもあるのですが,この物語では「子ども」であることは悪であると言うよりも,知らないからこそ,わだかまりなく,あの重すぎる歴史に向き合えるのではないかと感じた次第です。そこに,ラストのシーンで「大人」であるリコが「子ども」であるナルへ未来を託してメッセージを残していると考えると,もう前を向けない位の悲しさが襲ってきます。

この作品は様々な見方があると思いますが,私としては「大人」と「子ども」という2つの軸を当てはめてみることができて,かつその解釈の余地を残しているのは凄いなと思う次第です。

3つめが開演直後とその後の演出の違いです。

解釈の余地というところでは,開演直後とその後の演出の違いも色々解釈できる興味深いところがあります。 例えばオープニングから前半部では割と暗転する場面が見られます。そのまま明かりをつけて続けても良いのにと最初は考えていたのですが,後半になるにつれて,回数はかなり減ってきます*4。ここも以下の2つの解釈が可能かなと思います。

  1. バラバラになっていた2つの世界が繋がっていく
  2. おぼろげだったロンドの認識や記憶が明瞭になっていく

1は物語がナルの視点に近いところで進んでいる解釈です。ナルは当然何も知らないのですから,情報量は不足しており,2つの世界が繋がっていても,それが理解できなかった。それが少しずつ言葉を覚え,全容が見えてくる中で,ようやく繋がってきたという見方です。

2は物語がロンドの視点に近いところで進んでいる解釈です。ロンドは記憶操作のクスリを投与されて,1000年も仮死状態にあったわけで,記憶だけでなく世界の認識も相当におぼろげだった可能性があります。発見されてからの1年間が舞台上ではあっという間にSkipされていることは,記憶するほどちゃんと認識できていないことの表れかも知れません。あるいは,この物語自体が後日ロンドが回顧する形で進められていたとすれば,1000年前の記憶によって,目覚めたときのことはすっかり忘れてしまったとも考えられますが。 

4つめが「全キャラクターの前向きさ」です。

恐ろしいくらい,物語の登場人物が前向きなこと,前向きなことも印象に残りました。ダズは相当ひねくれていますが,それすらも落ち込んで内面に引きこもる感じのエネルギーの使い方はしていないのです。きちんと行動しているというか。たくさんの元気をもらえたように思います。

こんな考え事があれこれできる感じの作品でした。「ジワる」と表現したのは,そういう考えがあれこれできる位,作り込まれていると感じたからです。

4.ひとことキャストさん紹介

まだ余裕がありそうなので,それぞれのキャストさんを一言で紹介するコーナーも行ってみたいと思います(紹介順はパンフレットの掲載順です)。

  1. ナル役の植木歩生子さん。純粋でまっすぐな少女役です。割と好奇心旺盛な感じではありながら,大切なことを言い出せない(ロンド=テオであることとか)辺りは,「子ども」ならではの複雑さを感じ取りました。リコとロンドの二人の関係を大切にしようとする叫びや,終盤の涙はそのままもらい泣きをしてしまいそうなほどの魅力がありました。そういえばあのジャッキーカルパスはいつまで持ち合わせていたのでしょうか。もしかしたら1000年の時を超えたのかも(何
  2. リコ役の中村千奈美さん。医療センターの娘で献身的にテオの未来を案じる研究者。LARPsの時は「心にセーブ」のセリフで,私の心を打ち抜いていった役者さんですが,今回もラストシーンの老婆のセリフに初見ではあのシーンタオルから顔を上げることができないくらい心を持って行かれました*5
  3. ロンド役の藤原裕史さん。1000年の時を超えてようやく外に出られた悲しき運命を背負った少年。登場人物中,一番重い過去と複雑な記憶を持ち合わせたキャラクターで,感情の振り幅が一番大きくならざるを得ない大変な役だと思います。でも,ラストシーンでナルと共に涙を流している様子は,本当にロンドという人物がそこにいたのではないと思うほどの説得力がありました。
  4. マイルス役の栗田ゆうきさん。塔の監督官という重責を負いつつ,周囲の少年達を案じ,いつもは怖い大人を演じている役どころです。ブランケットを羽織るか(=監督官)羽織らないか(=少年達の仲間)で,割と違うキャラになるので,なかなか難しい役どころだと思いますが,最後はきちんと物語の方向性を決める大切なセリフを発していてカッコイイと思った役どころです。
  5. ミモザ役の森下華奈子さん。塔の見張り役としてナル達とともに行動します。仲間として,目の前の激変する状況に挑もうとするも,驚いて行動を躊躇する辺り,等身大の子どもなんだと感じた次第です。でも,たぶんドンのアゴのいじり方を考えると,普段はしっかり屋さんキャラなんだろうなと思いました。
  6. ドン役のさいとうひろきさん。塔の見張り役としてナル達とともに行動します。アーゴイルとして盛んにいじられていたLARPsとは異なり,ちょっとカッコ良い感じのクールな役どころとなっています。本当だったらカムイに殴りかかりたいだろうあのシーンは,子どもだから混乱しているというのもあるのでしょうが,カムイも仲間であるから傷つけられないという気持ちもあるのだろうなと思います。
  7. ストレイ役の中路輝さん。変わり者の魔女に育てられた孤児院の少年。ロンドの謎を解くタイムマシンへ一行を誘う役どころ。コメディ的な役割で多く拝見していた中路さんの役の中では,おそらくドラゴンカルトに近いクールな役どころ。でも完全に世間に擦れている感じもなく,頼りになるお兄さんポジションをゲットしています。中路さんが舞台後方に出てくると何故か心がざわつくのは,昨年BIG TREE THEATERでのロック・ストーンの熱演を拝見していたからでしょうか。
  8. ターニャ役の小村七海さん。変わり者の魔女に育てられた孤児院の少女。アホの子ポジションで笑われるタイプなのに,卑怯なまでのキュートさが印象に残ります。お腹がすいて双眼鏡をガシガシかじろうとする辺りは,セリフにもありますが,「どうなってんだよコイツ…かわいいなぁ」というそのままの感想が頭に浮かんで参りました。おそらくはリコから言われていた「全て終わるまで私の名前はナルには言わないで」という約束はきちんと守る誠実さを持ち合わせた役でもあります。
  9. カムイ役の中鶴間大陽さん。実は世界を滅ぼした張本人にして,最強のアンドロイド役です。台本を読み返して,前半部のナルとロンド達との間で交わされる何気ないセリフの全てがきちんとその後の伏線に繋がっていたのに気づいてしまいました,たぶん2回目は冒頭からハンカチを握りしめている気がします。あぁ,かわいそうすぎる。中鶴間さんは相変わらず男前でカッコ良くて,死に際もきちんと魅せてくれるダンディでした。そういえば昨年もこの劇場で途中(ry
  10. エイミー役の久保真優さん。実は世界をカムイとともに滅ぼしまくっていたアンドロイド。物静かそうな前半とは打って変わって,後半では物語の核心を詳らかにする重要キャラ。懸命に人間世界を適度に保とうとして失敗するカムイを見守っていたことを考えると,1000年の恋のもう1つのペアだったのかもしれません。刀を持って迫る辺りは迫力があり,本を読み上げ物語を明らかにしていくときには的確にきちんと脇を締めていく,凜々しい役者さんです。
  11. シラン役の松田悠さん。医療施設のスタッフとして実はテオを一番案じていた役どころ。「大人」役の中ではいちばん1000年後の世界に近い純粋さを兼ね備えていた役だったように思います。ここ2作では明らかに柄の悪いチンピ〇役でしか拝見していなかった松田さんですが,今回の役どころはシュッとしてスマートで暑い役どころでした。終盤のダズを止めるシーンはとてもカッコ良いです。
  12. ポプリ役の良夢さん。リコのお付きとしてお世話しながらリコとテオの未来を心配する役どころです。可愛らしく,リコを心配する様子とともに,高度科学文明都市スターシアの常識とか良心を代弁してくれるガイド的な役目を持った方です。初舞台とは思えないほど,堂々とキャラを確立されていた方でステージに立つ人はどなたも凄いのだなあと再認識した次第です。
  13. ダズ役の古川剛充さん。アンドロイドDシリーズを生み出した天才科学者ながら,世界を滅ぼす位の勢いでテオを心配する一人の兄。冒頭からその狂気の片鱗を見せていましたが,終盤になってもただ狂うのではなく,理知的に事に当たろうとしていたことで,この物語の全員が「あくまでも正常かつまっすぐに」目の前のことを何とかしようとする前向きさを持っていたことが確定したように思います。大悪人が誰もいないからこそ,テオやナルの涙は哀しさを増していて,リコがテオに会えないことがどれだけ辛いのかが強調されていたように思います。ちなみに,今回のメガネはレンズ下がフレームレスになっていて研究者っぽくなっています。

5.おわりに

わずか1回の観劇ですが(この後もう2回見ますが), 終演後にキャストさんにふと申しあげた「ジワる」作品だという発言は間違っていなかったなあと思います。気がつけばそろそろ7700文字をオーバーしそうなくらい,色々語りたい作品になっていました。あと2回の観劇では,考えたことを活かしながらまた楽しみたいと思います。

今回のブログを執筆するに辺り,パンフレット,台本,ブロマイドの3点セットを全て参考にさせて頂きました。こういう物販を用意するのも大変だと思うのですが,きちんと用意して下さって大変嬉しかったです。ありがとうございます。

stage.corich.jp

6.追記(2017/09/10 17:20追記)

今回はブログ執筆後に,キャストさんたちとお話しできる機会がありました。こちらの疑問にお答え頂いて分かったことがあり,またブログ執筆後に追加で考えることがあったので,自分用メモとして追記いたします。ただし,キャストさんたちに伺っているとは言え,演劇の見方に正解とかはなく,見る人それぞれの見方があると思います。あくまでも私の解釈なので,これを元に他の解釈をしていただくのも良いかもです。

  • リコの年齢設定はおよそ17歳だとのこと。50年だと67歳なので生き延びてても…と思いますが,医療制度が発達し得ない世界ですから止むなしですよね…。勝手な解釈ですが,リコは過去ではまだ「子ども」だったからこそ,過去の世界を飛び出すことができた(=大人でなかったので死なないで済んだ)けれども,未来においては「大人」になってしまったから世界に立ち入れなかったという構図もあるかなと考えていました。
  • ポプリはリコよりも少し下,マイルスはナルやドン,ミモザとほぼ同い年ながら,才能を認められて監督官になったとのことです(あー良かった解釈合ってた…)。マイルスのラストシーンのセリフはもしかすると自分にも向けたものかもしれませんね。
  • ターニャはおそらくあの手紙をナルたちに見せる前,二人だけで何度も見てしまっているのではないかとのこと。
  • ターニャとストレイは真相を全部知っているからこそ言い出せない,あるいは道化的に振る舞っているところもあったんでしょうね。ブラックホールから先にナルを助けてしまうこともできたんでしょうが,そうするとタイムパラドックスが生じて全てが崩壊してしまうこともたぶん承知していたんでしょう。だからこそ,ブラックホールが登場した直後に蓋を開けて出てきたシーンは全て予定されていた演技であって,ストレイが最後に言う「なーにー」は,こちらが吹き出してしまうようなおどけた言い方だったんだなあと(←たぶん違う)。
  • ブログで触れるのをすっかり忘れていましたが,今回の照明ではスポットライトが物語のト書き部分を語るキャラに向けて,操作する方からするとシビアなタイミングででも,観ている方からするとジャストなタイミングで何度も出てきます。開演前の緑の照明,未来世界の全体に写る暗めの照明,それに対する過去世界の明るい照明を含めて,今思い出すと魅力的な空間だったと感じています。
  • それから音響も,感動的な舞台の大切なエッセンスです。一番好きなところとしてはベタではあるのですが,クライマックスのナルが正面でピンスポットを浴びて,手紙を持ちながら号泣するシーンで,一瞬タメが入った上で曲が流れるところです。あそこは心の準備をしていてもグッときます。
  • 上述の感想では「大人」と「子ども」の対比をしてみたのですが,もう1つ「夜」と「昼」の対比もあるのなと思いました。過去世界が一見すると反映した「昼」であれば,未来世界は「夜」そして最後に「朝」となるという感じです。
  • 演劇の作品ではあるのですが,とても映像的な演出だなぁと思いました。冒頭のストロボ照明のところや,後半の場面転換などは,映画とかドラマを見ているようでとても印象に残る好きな演出です。

というわけで自分用メモでした。関西公演では大きく変わっているかも知れませんので,念のため(ここを敢えて見てネタバレする人はいないと思いますが…)。

 

*1:そもそも普段からお断りしているじゃないかとのご指摘はごもっともでして,恐縮です…

*2:そのため,スポットライトに照らされてト書き部分を話すキャラクターも一定ではなく,その時々で違う人物がちゃんと出てきます

*3:カムイとエイミーは正体を隠しているので,子どもの振りをしてますしね。

*4:前半はキャラクターが何人も出てきていない以上,転換回数が増えやすい事情もあるかと思いますが,ここは演出として解釈してみたいと思います。

*5:そういえばキャラクターの年齢設定について,テオとリコはいくつくらいなのか確認しておきたくなりました。分かりましたら追記します