リブラリウスと趣味の記録

観劇とかパフォーマンスとかの鑑賞記録を淡々と。本務の仕事とか研究にご興味ある方は本家ブログまで( http://librarius.hatenablog.com/ )

【観劇ログ】劇団壱劇屋「SQUARE AREA」

ども。イマイです。

観劇日の私のTwitter上では,激しく観劇Onlyなツイート+ブログのポストを連投することが多いのですが,そんな中でもトップクラスに呟きたくなる劇団さんがあります。その名前は劇団壱劇屋さん。

てあとるらぽうで「UNKNOWN HOSPITAL」を拝見して以来,本ブログでは何度も足を運んでいる劇団です。その壱劇屋さんが,ひさびさに東京に登場,しかもCorich舞台劇術まつり!2016春の第一次審査に突破したとなれば,行かない理由を探す方が難しいレベルの出来事です。

CoRich舞台芸術まつり!2016春[第一次審査結果発表] | 演劇・ミュージカル等のクチコミ&チケット予約★CoRich舞台芸術!

長文確定の可能性が高くなりましたが,別に気にせずに観劇ログを書き進めて参りたいと思います。(トップページからご覧の方は続きを読むボタンをどうぞ)

1.数々の事前企画

今回,壱劇屋さんの公演に先だって,様々な舞台を盛り上げる活動が展開されました。YouTube*1やチケット発売記念Ustream,Twitcastを含めて,様々な方法がとられましたが*2,私が一番印象に残ったのは,クラウドファンディングのプロジェクトでした。

motion-gallery.net

クラウドファンディングは個人的に色々出資していることもあって,様々なパターンを見てきたのですが,壱劇屋さんの凄さはやりとりのスピードの速さ。こちらの連絡に対してものの1時間で返信が来たときには流石に驚きました。特典となったリターン品も魅力的なものばかりでしたが,特に演出メモ付き「SQUARE AREA」台本は,演出意図とかも書き込んであって,興奮しながら読み進めました。

それから,全編は拝見できていないのですが,チケット発売イベントUstreamも他ではない取り組みだと思います。その様子もちゃんとTogetterでまとめられていますので,ぜひご一読ください。

togetter.com

さて,大阪,愛知での盛り上がりを横目で見ながら(Togetterまとめはかなりあるので,大阪初日だけ載せておきます。こういうアーカイブをちゃんとやっているのも流石だなと思うのです),4月の公演期間を待ちました。

劇団壱劇屋3都市ツアー大阪公演『SQUARE AREA』初日【ステージゲスト】2月10日(水)15:00◆石塚朱莉(NMB48)19:30◆ドヰタイジ(STAR☆JACKS) - Togetterまとめ

今回,壱劇屋さんが降り立った地は王子小劇場*3

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一見すると,中古ショップ?と思うところ,真ん中右あたりに自己主張する王子小劇場の案内板と,王子小劇場の創始者である佐藤佐吉さんの看板が見えるかと思います。そして,今回は壱劇屋さんお馴染みの幟が出迎えてくれます。

地下に向かう階段では,役者さん一人一人の幟が掲げられていて,観劇前のテンションをガンガン上げてくれます。地下に向かう階段にある2カ所の踊り場のうち,より入り口に近い方が受付であるケースをよく見かけるのですが,今回はより上部の方に受付が設定されていました。その理由はこちら。

大阪公演,愛知公演と受け継がれ,書き込まれてきたボックスです。本当に色々な字体やコメントが書き込まれていて,多くのお客さんが書き込んだことが伺えます。

王子小劇場の舞台も,以下の舞台写真のように4面が使われています。

この4面は他の2都市と同様に,各面から眺められる座席配置となっています。ただし,王子小劇場の劇場特性から,2つのエリアが一列のみの配列となっています。どこからでも舞台は近いので見やすいのですが,壁面を向いて演技する役者さんの顔を全て追いたければ,全ての面を観ることが推奨されます。

さて,もうこれがUPされる頃には東京公演も終盤戦に近づいていますが,ネタバレ回避の改行をおまじないで打ち込んでおきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2.舞台感想

一言で言うと,演劇とかパフォーマンスという言葉だけではくくれないような,身体をフル活用した表現がそこにはありました。そしてそれは役者さんの身体だけではなく,重低音が鳴り響くスピーカーから発せられる音圧,役者を照らし挙げる照明,役者さんが目の前を通過するたびに巻き起こる風,全てが組み合わさった総合芸術と言う言葉が浮かびました*4

壱劇屋さんならではのチームワークと練習量の多さ,そしてそれをまるで練習など無かったかのように,自然にこなしてしまうレベルの高さ。安達綾子さん,大熊隆太郎さん,河原岳史さん,小刀里那さん,竹村晋太朗さん,坪坂和則さん,西分綾香さん,丸山真輝さん,山本貴大さんの合計8名が,同じように躍動し,誰か一人が引っ張っていくというよりは,全員で全員を引っ張っていくチームの凄さを感じます。おそらく1回限りの観劇でも,その迫力は十分に感じることが出来るのでしょうが,2回,3回,4回と観劇していく内に,その魅力はさらに増大することは間違いないです。

ストーリーは断片がやがて一つに統合されていくという分かりやすいお話しでありながら,後半に向けてスピードアップしていく構成の妙もあって,全く退屈することなく観劇することができました。また,この舞台+関西での偽フェスで退団される小刀さんの役柄も,現実世界と重ね合わせることは反則なのですが,ラストシーンはこのキャストでの上演は最後であることとどうしても重ねてしまって,気がつけば目頭が熱くなっていました。

 それ以外に,特に私が印象に残ったシーンは,ロープを使ったパフォーマンスのシーン。時期と演目はちょっとずれますが,池袋演劇祭のCM大会でその簡易版が観られます。

www.youtube.com

後述しますが,段取りと約束事のオンパレードであること,ただのこれはゴム紐であることを頭に入れて映像を見ると,その凄さがおわかり頂けるかと思います。

金曜日昼のSQUARE AREAワークショップでは,実際に行ったパントマイム,ロープパフォーマンスの解説+実演会が行われました。ここで驚愕したのは,ロープパフォーマンスの段取りの多さと複雑さ。左手が下に行って,そこから次の人に渡したら,今度は右手がこちらに来て…と,わずか10秒ほどのシーンは,約束事が凝集されたシーンだったのです。楚のそのことを理解してから,もう一度観劇すると,このシーンが成立することの凄さにもう一度圧倒されて,何かがこみ上げてくる感覚すら覚えました。

それから,夜,普段はあまり観劇しない友人を半ば無理矢理誘ったのですが,「自信を持ってオススメできる」と評価してくれただけでなく,壱劇屋さんのパフォーマンスに刺激されて,その後,居酒屋で日付が変わる直前まで盛り上がったことも合わせて申し添えておきます。

(書きたいことが沢山ありすぎてまとまりませんが,この後,土曜日の昼夜を観劇するので,また追記するかもしれません。)

3 雑感

色々書きたいことがたまっていたので,最後に雑感を3つほど。

壱劇屋さんの主力広報手段はTwitterです。自動かと見紛うほどの爆速RTや,空席情報でさえも,ほほうと思わず唸るほどのコミカルな表現や心の叫びは,劇団員でもないのに,身内のように気になる存在でした。 

公演当日にRTされてきた他の方の感想ツイートを見ながら,あー褒めてもらえてるとか,一緒になって喜べる自分が不思議でした。でもTwitter,それに様々な取り組みによって,お客さんとの間にある距離とか壁を少しずつスコップで削るかのごとく,距離を詰めてきた壱劇屋さんだからこそ,それは当たり前の感情なのかなと思った次第です。

それから,最後に壱劇屋さんの記事を書いていて,改めて舞台写真の美しさを感じました。壱劇屋さんはメンバーとして,舞台写真家の河西沙織さんが参加されています。公式TwitterをはじめとしてPRの時に拝見する写真は,照明に照らされた役者さんが躍動する写真が数多く現れていて,ちょっと興味を失っているときにでも,あ,壱劇屋さんの舞台写真だと目をとめて眺めてしまうほどです。

www.intvw.net

最後に3点目。壱劇屋さんの舞台を支える裏方の方も凄い方ばかりでした。若旦那家康さんをはじめ,スタッフ・制作の皆様のきめ細やかなご配慮があって,安心して観劇できました。この場を借りて御礼申し上げます。入り口から出口まで,観客第一な方ばかりで本当に幸せです。

2016年4月現在,どんな作品であれ手放しでオススメできる*5劇団さんの一つが壱劇屋さんであることを,自信を持って宣言してこの感想ログを閉じたいと思います。

ichigekiyaoffice.wix.com

 

追記:

ちなみに私の壱劇屋さんへの熱の入れようは,以下のTweetを観ていただければおわかり頂けます(無駄情報)。

*1:劇団壱劇屋 - YouTube から多数の企画が行われていたことが伺えます。

*2:その成果がアンケートの「この公演をどこで知りましたか」という欄の選択肢の豊富さに現れています

*3:2016年6月16日(木)より,「花まる学習会王子小劇場」になるとのことです。

*4:ちなみに音圧はすさまじく,オープニングパフォーマンスで四面舞台の柱が振動するほどでした

*5:偽フェスは初心者厳禁だそうですが…。