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リブラリウスと趣味の記録

観劇とかパフォーマンスとかの鑑賞記録を淡々と。本務の仕事とか研究にご興味ある方は本家ブログまで( http://librarius.hatenablog.com/ )

【観劇ログ】舞台『TRUMP』

ども。イマイです。

2日間にわたる観劇はしごの3本目は,私の大好きな演出家,末満健一さんの舞台「TRUMP」です。六本木ブルーシアターまでやってきました。

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 最寄り駅の「六本木駅」から12分歩くと言われて,割と遠いなと覚悟していたのですが,池袋駅からサンシャイン劇場まで歩くことを考えると,たいした距離だなと思わないから不思議なものです。

TRUMP

もうTRUMP自体は再演のTTTのフィメール版,D2版と,初演のDVDも含めて,複数回観ているのですが,それでも毎回観たいと思う何かがありまして,今回も駆けつけた次第です。

六本木ブルーシアターはビニールシートの椅子ですが,割としっかりしていて背もたれも高く,最寄り駅からは遠いというデメリットがありますが,見やすさとしてはだいぶ上のランクになるだろうなと思います。

というわけでネタバレ防止の改行を連打しておきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

公式Webサイトのストーリー紹介はこちら(http://napposunited.com/trump/story.html)。

舞台は、繭期(人間でいうところの思春期)を迎えた若き吸血種「ヴァンプ」たちを教育(矯正)するために設けられたギムナジウム(クラン)。
人間とヴァンプの混血(ダンピール)であるソフィは優秀だが、「汚らわしき者」として周囲から嫌悪されていた。
完全階級社会であるヴァンプ界にあって指折りの名家の生まれであるウルは、忌むべき存在であるソフィになぜか心惹かれていく。

 そんな中、ウルはかつてのヴァンプが持っていた「不死の力」について研究を続けるうち、永遠に生き続けているとされる原初の吸血種「トランプ」の存在を知り、永遠の命を渇望するようになる。

 一方、クランでは、常にアレンを探し求めているティーチャー・クラウスら、個性豊かな教師陣が、繭期のヴァンプたちを指導していた。 日々、繭期のヴァンプたちの騒動が繰り返されるクランに、ある日、謎の転校生・萬里がやってきて・・・。

 不死を失った吸血種の少年たちが、「生」を渇望し、永遠の命を持つトランプの不死伝説に翻弄されていく、儚くも美しいヴァンパイア・エンターテインメント。

今回の舞台は,物語や脚本,演出については末満さんであること,演じる方も実力派揃いと言うことで,末満さんの舞台が観られて嬉しいというレベルではなく,それがどれほど高いレベルで上演されるのかという次の段階の期待を持ちながら,観劇に臨みました。

結果として,物語の細部が書き込まれていて,解釈が変わるところもありました。一番特徴的なのは,臥萬里の背景や台詞が増えており,よりソフィに対してどのようなコミュニケーションを取っていたのかが明らかになっています。それから,みんなが大好きアンジェリコ・フラもただの悪人ではなく,実はラファエロ・デリコを歪んだ形ではありますが,想っていたことが分かる台詞が追加されていて,だからこそ最期の断末魔が際立っていました。

役者さんも大変魅力的でして,ティーチャークラウス役の陳内将さんは,クラウスの達観してそうで,実は不安定な心の動きとかを完璧なレベルで魅せていて,終盤の狂気はこれまでに観たクラウスの中でも,特に振り切れている方に入っていたように思います。正直,最後の方はまともに目を合わせたらそのまま命ごともってかれそうな,力がこもっていたように思います。

特に1幕最後の「渇望の星」のシーンは,今までに見たことがないくらい,アレンに心を持って行かれて動揺しているクラウスが目の前にいました。照明と陣内さんの所作があまりに美しくて悲しい。そんなことを経験してしまえば,あれほどの過ちを犯してしまうのも仕方のないことだったとさえ思えてきてしまいます。

ピエトロ・ロンド役の大塚宣幸さんは,コミカルと真剣のスイッチ切り替えが素晴らしい刀のですが,今回も見事にその切り替えがされていて,うっかりするとただ気弱な人間にしかならないピエトロを,どこまでも人間くさく魅力的な人物に高めていました。でも,「れみぜやん」「マボロシ兄妹」などで拝見した大塚さんともまた違っていて,興味深いと感じました。

関西小劇場のファンとしては,モロー役の森下亮さんの安定した場の持って行き方,アンサンブルの植田順平さんの貴族の高校生姿と,台詞回しにも注目です。どちらも実力者なので,安心して楽しめます。

キャラメルボックスのファンとしては,岡田達也さんの活躍にも目が離せません。鬼教官でありながら,クラウスの正体を教えてもらえない中間管理職的な難しさや,実はおふざけが好きなんだろうなーと感じる雰囲気があって,また違ったクラウスを見つけられたように思います。

再演する度に観に行っているTRUMPですが,今回も新しい発見がありました。こんな作品に同時代で目撃できることの幸せを感じます。

というわけで,2日間にわたった観劇はしごもこれでおしまい。また仕事を頑張って楽しく観劇できるようにしたいと思います。