リブラリウスと趣味の記録

観劇とかパフォーマンスとかの鑑賞記録を淡々と。本務の仕事とか研究にご興味ある方は本家ブログまで( http://librarius.hatenablog.com/ )

【観劇ログ】虚飾集団廻天百眼『殺しの神戯』

どうも,イマイです。

普段そんなにオカルトものは手を出さないのですが,アドベンチャーゲーム好きなので,かまいたちの夜2 監獄島のわらべ唄とかで「みのむしぶらりんしゃん」とかをうっかり見てしまって,3日間ぐらい頭から離れない体験をしていたりもします。

今日は,劇団フェリーちゃんのなにわえわみさんにお誘い頂きまして,虚飾集団廻天百眼さんの舞台を観にザムザ阿佐ヶ谷までやってまいりました。なかなか強烈なフライヤーでして,インパクトバッチリ,部屋のドアに貼っておいたら十中八九何があったかを心配されるレベルのいかがわしさであります。

http://www.kaitenhyakume.com/image/stage/2018/s18/s18_05.jpg

とはいえ,初観劇の劇団さんなので,なるべく先入観が出ないよう情報は最小限にしておいて(とりあえず前3列に何かが飛んでくるということだけは把握),劇場へと向かいました。

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1.開演前

ザムザ阿佐ヶ谷の劇場前には劇団の幟が掲げられていました。白と赤のセットで良い感じです。

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劇団のファンクラブの方も多数いらっしゃっているようで,写真としてはUPしませんが,かなり気合いの入ったコスプレがそこらかしこで見受けられる会場でした*1。雲一つない青空の下,アイシャドーの入ったメイクで極めている方たちと一緒に並んでいると,どことなくライブ会場にやってきたような感じすら致します。

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事前購入しておいたチケットを購入して,会場内に入るとザムザ阿佐ヶ谷特有の木のロングシート。しきりに前に誘導しようとするキタマクラ(なにわえわみ)さんの案内をスルーし,当初から決めていた後方のシートに着席しました*2。今回満席とのことで,かなり詰め合って座りました。

よっこらしょっと着席して前を見ると,前では役者さんたちが既に出てきていて,ワイワイ盛り上がりながら,開演前物販を展開しています。写真撮影OK,SNS拡散OKとのことなので,遠慮なく撮影してこうやってブログに掲載しております。

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普通1~2名出てきて物販するというのは,よくあるケースですが,こうやって大勢が出てきてワイワイ盛り上げているというのはこれだけでも嬉しいです。座組みの雰囲気の良さが伝わってきて,開演前に気持ちが盛り上がってきました。

開演前には注意事項として,事前に仕入れていた2列目から3列目まで何かが飛んできて,お召し物が汚れるかも知れないので自分で何とかしろというレクチャーがありました。もうあらかた想像はついていますが,おそらくアレが飛んでくるのだと思います。プロレス会場なら東京スポーツとビニール傘を用意しておくべき案件でしょう。

舞台セットは上記の写真にも写っているように,上手と下手に大きな四角の台と,その上には勾玉の飾り,舞台中央には禍々しい様子の穴がぽっかり,舞台左右にはしめ縄がつるされていて,まさに異空間でありました。

では,ネタバレ防止のために改行連打をしておきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2.あらすじ

舞台のあらすじは下記の通りです。

この世とあの世の境界劇を演じる虚飾集団廻天百眼の劇場最新作!
殺し屋"歩き巫女のサロメ"はエージェント"天地人のミサキ"より、
少女"桔梗"を聖地"東照宮"まで送り届ける任務を与えられる。
立ち塞がるは殺し屋ランキングNo1"天下りのニニギ"。
死の潜熱。歓楽の絶望。眠らない魔都。
両切りの煙草をくわえ藁人形に釘を打つ男。
霊障霊障がぶつかり合い、静かに開く地獄の釜。
霊障×殺し屋、廻天百眼の贈る、ハードボイルドホラーアクション!

 

「いいわ、いちばん綺麗な顔で殺して」

( http://stage.corich.jp/stage/88510 より引用)

開演直後,祈りを捧げる集団の前に,一人の男が迷い込んできます。その男の前に立ちはだかる一人の女性。殺し屋"歩き巫女のサロメ"です。金属の盆に動物の骨をたたきつけて,相手を呪います。男が呪いで絶命しようとしたその刹那,殺し屋ランクでは下位に位置する「口寄せのリュウコ」が現れ,サロメに対峙します。上位ランクの下克上を常に狙うような危険な世界の闘いが始まりました。リュウコが呼び出したのはサロメの母親,トラウマを呼び出しサロメを追い詰めようとしますが,あっという間にリュウコを葬り,男も葬り去っていきます。

それと時を同じくして,後方の祈りを捧げる集団も絶命。サロメが立ち去り,舞台上は顔を上げず既に人でないモノが倒れているばかり。そこへ一人が近寄り,黒衣に包まれた幼子を取り上げます。

場面は変わり,とある酒場。「天地人のミサキ」が待つ中,「天下りのニニギ」が幼子をあやしながら,酒場に入ってきました。幼子の名前は桔梗(ききょう),その場に呼び出されたサロメは殺人依頼のエージェントであるミサキより,桔梗を東照宮まで護衛する任務を伝えます。

こんな幼子を連れて行くのか,無理に決まっていると考えたサロメに対し,ミサキは一週間後にまた来るように伝えます。一週間後, サロメが約束の場所にやってくると,童歌を歌っている子どもがいました。子どもの名前は桔梗…。サロメはしばし混乱しますが,やがて事態を飲み込みます。

人ならざるモノ,桔梗を護衛せよとの任務。母を持たない桔梗は長き封印を破って出てきた災いの元,世界各地で災害が頻発する中,サロメ東照宮へと歩みを進めようとするのですが…。

結末は是非劇場,もしくはDVDでどうぞ。

3.感想

感想を書き留める前に,まずは予告編のYouTubeを。ただし,血がピュッーとか普通に出てきますので,そういう方は止めておいた方が幸せかも知れません。

youtu.be

こんな感じで,もちろん赤い別の液体ではあるのですが,それぞれのキャラが絶命するときには,赤色の液体が吐血したように飛び散ります。前2列の方には普通に飛んでいく感じでございます。なので,終演後に外で拝見したら,グレーのTシャツが血まみれみたいになっている方が割といらっしゃいました。もちろん,これ以外にもグロテスクな表現とかR15+レーティング確定なシーンは山盛りでして,たぶんタイツ越しではあると思いますが,女体盛りのシーンも普通に出てきたりします。

でも,後で映像を見て感じる印象と,舞台の印象は大きく違っていました。後方で舞台を見ているときには,私は終始ニヤケていましたし,何故かワクワクしておりましたし,なんだったら格好ええとさえ思っておりました。数々現れる刺激が強いであろう記号たちが主役になると言うよりは,むしろ一種の格好良さを引き立てるエッセンスとなっていた不思議な空間でした。

そう,この舞台には一種のトランス状態になるような、格好良さと熱量の高さがありました。その熱量の要素の一つが,作品中に頻繁に登場するロック音楽です。そのうちの一つが下記のYouTubeから視聴できます(なお動画自体はぎょっとする感じなので,耐性値やSAN値が低い方は視聴をご遠慮下さいませ…)。

www.youtube.com

ザムザ阿佐ヶ谷のステージでは,割と爆音でこの音楽が生歌+生ドラムで展開されておりまして,スペースの余裕があったら腕を振り上げて盛り上がりたいほどのカッコ良さがあります。

終演後にスタッフの方が「ご参加いただきありがとうございました」と仰っていましたが,確かに観劇というよりも熱量がこもったProgressive Rockかパンクロックのライブに立ちあっているかのようなグロテスクに負けないエネルギーの塊がそこにはあったように思います。

それ以外にも,善人,悪人という括りが困難な個性たっぷりのくせ者ばかりが舞台上には次々と現れてきます。このキャラクターたちもそれぞれに夢に出てきそうなレベルで,一人一人思い出せる奇妙さでした。生きているときはコメディのように見える殺し屋たちの立ち居振る舞いは,ラストにゾンビとして登場してきたときに,強烈な爪痕を残していきました。

好き嫌いはハッキリ分かれると思うのですが,私は事前に身構えていたよりも素直に楽しんでいましたし,なんだったら終演後にパンフレットと楽曲が収録されたシングルCDを買い求めておりました。正直,何が面白かったことを上手くまだ言葉にできていないのですが,いつも観ていない何か凄いモノを観たというふわふわした気持ちが残っていました。

ただ,このブログを書きながらパンフレットを観ていますと,カッチリ世界を作っていながら,それに寄りかかりすぎず,冒頭の物販で垣間見えたチーム力で昇華している辺りに気持ちが惹かれたのかなと思っています。

今回お誘い頂いた,なにわえわみさんには感謝感謝です。まだまだこの世の中には,観たことのないものがたくさんあるようです。

stage.corich.jp

*1:場違いなところに来てしまったのではと思ったのはナイショです。

*2:劇中でも酒場の案内役でしたね。