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リブラリウスと趣味の記録

観劇とかパフォーマンスとかの鑑賞記録を淡々と。本務の仕事とか研究にご興味ある方は本家ブログまで( http://librarius.hatenablog.com/ )

【観劇ログ】THIRD PLACE produce vol.1「五右衛門烈風伝〜百万両の金魚〜」

ども。イマイです。

今日は東京は築地の築地本願寺にやってきています。

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といっても観光目的ではなく,今日も今日とて観劇しに来ています。築地本願寺ブッティストホールという場所での公演です。恥ずかしながら,築地本願寺に来たのも初めてならば,ブッティストホールという場所があることも今回初めて知った次第です。お寺の中に演劇用のホールがあるというのは,関西で言えば應典院さんがおなじみで私は何度も訪れていますが,こちらはまた違った雰囲気があって興味深いです。

buddhisthall.com

さて,このまさにお寺の敷地内で行われる演目はTHIRD PLACEさんの初(?)プロデュース公演「五右衛門烈風伝〜百万両の金魚〜」です。

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今回も出演者の片田さんにお誘い頂き,灼熱の太陽の下,ふらふらとやって参りました。公演情報は下記のリンクをご参照ください。

蜂寅企画 | 次回公演

 THIRD PLACEさんは,2回ほどパフォーマンス公演で観に行っておりました。今回は演劇で勝負とのことなので,どんな感じになるのか楽しみにしながら,会場へ入ります。1階部分はまさにお寺の付属施設のような,このまま法事とかが出来そうな感じの雰囲気で,場所を間違えたかのような錯覚に陥りますが,2階に上がったとたん,出演者の方へのお花やチケットの受付や物販が並んでいて,開場前のテンションを上げてくれます。

舞台のあらすじは公式Webサイトでも書かれているものを引用します。

恋と喧嘩は江戸の花! 咲いて舞い散る花いとし、絶景絶景、すべて盗んでみせやしょう!

大昔に死んだはずの五右衛門は生きていた! 250年の間、名を変え姿を変え生き続けてきた五右衛門が“五右衛門団“の四人の仲間を引き連れ再び江戸に現れた!

夏のうだるような蒸し暑さを痛快爽快吹き飛ばす!

疾風怒濤の痛快娯楽活劇!!

というわけでバリバリのエンタメ。蒸し暑さを吹き飛ばすような内容とはいったいどのようなものなのでしょうか。千穐楽はまだですが,ネタバレを避けながら少し触れていきたいと思います。でも真っ新な状態で観たいという方のために,行間を少し空けておきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

舞台は江戸時代。石川五右衛門が本来は登場しない時代。でも,五右衛門は大切なものを盗むために,この世に生き続けていたー。そうなると,舞台冒頭は当然のごとく,大立ち回りの捕り物騒動から始まります。どったんばったん台詞も役者さんも立ち回っていく中で,舞台の上だけでなく,客席の間も縦横無尽に動き回ります。ちょうど通路側にイマイは座っていたのですが,役者さんが通る度に,次から次へと風が吹き抜けていきます。それくらいの勢いが冒頭からついています。

死んだはずの五右衛門がなぜ盗みを続けるのか?それは三途の川で道連れにしかけた恋人を生き返らせるため,俺はどうでもお前だけは生きなきゃいけねえー,大泥棒でありながら人情たっぷりの五右衛門がそこにはおりました。

五右衛門の手ほどきをするのは,三途の河原の渡し守。冒頭から怪しい雰囲気を醸し出しながら,行動原理はただ単に退屈しのぎという理由で,五右衛門が百万両の価値をもったものを盗んでくれば,恋人共々生き返らせてやろうという契約を交わします。五右衛門は盗み出すまで,死ぬことが出来ない骸として,250年生き続けてきたー。それが舞台冒頭で提示された矛盾の解決でした。このおかげで,五右衛門はたとえ1対5であちこちで切りつけられようとも,翌日にはケロッとした顔で五右衛門団の前に現れることが出来るお約束となっています*1。こうなれば,出てくるのは殺陣,殺陣,殺陣の連続。

冒頭でやっと盗み出したお宝は,100万両の価値も無いありふれたもの,しかしこの宝の箱に収められていた金魚の折り紙,「虹色金魚を盗み出してくださいー」持ち主の娘からの謎の依頼。この金魚が100万両の価値とくれば,五右衛門は黙っていません。五右衛門団は訝しがりながらも,その依頼を引き受けます。

そして,都を騒がす謎の事件が依頼と同時期に発生。若い女性が拐かされ行方不明になる事件が続発,その犯人はいったい誰なのか…。五右衛門の前に現れる恋人とうり二つの岡っ引き「晴(ハル)」。飛び交う投げ銭,乱れ飛ぶ刀と十手,五右衛門は果たして虹色金魚を盗み出すことが出来るのかー。

という感じで今でもきちんと思い出せるほど,物語は難解ではなく,すんなり入り込めるエンターテイメントとなっています。先述したように,この舞台はとにかく殺陣が挨拶代わりとばかりに,殺陣の応酬があちこちで続きます。十手や刀や,小刀,懐刀が切りも切ったり,舞うは舞ったり,チャンチャンバラバラ,チャンチャンバラバラ。情報量は多い冒頭にもかかわらず,テンポ良く物語は進んでいきます。そしてこうした時代物には欠かせない,見栄切りは,一人のものから集団のものまで,あのおなじみの「世に浜の真砂は尽きるとも〜」ももちろん登場します。それが照明や音楽と入り交じり,教え子を見に来たと言うよりも,単体のお芝居としてすっかり楽しんでいました。

印象的だったのは,渡し守の真砂と五右衛門のやりとりでした。特に真砂は,ワチャワチャしがちな舞台の進行にアクセントを加えていて,渡し守が台詞回しを決める度に,舞台の世界へどんどんと引き込まれていきました。たぶん台詞や段取りの量では,主役よりも多く重要な役だと思います*2

照明もとにかく印象的で,一眼レフとかで撮影して取っておきたいレベルの綺麗な構図があちこちにちりばめられていました。冒頭の派手さだけでなく,ポイントポイントで照明が本当に印象的なのです。

最後には感情を動かされるようなシーンもあり,でも残る印象はどろどろの感情と言うよりは,痛快爽快な夏にぴったりのエネルギッシュな2時間。出演者の方に誘って頂くと,どうしても構えてしまったりして楽しめないこともままあるのですが,そんな杞憂は全く必要がなく,純粋に一つのお芝居として楽しんで参りました。

今回の座組は,このプロデュース公演のためだけのもののようですが,欲を言えば,あの風をもう一度感じてみたい,もう1本次回作を観てみたいと思える公演でした。

片田さんは今回は,本役以外で様々な場面で登場するいわゆるモブキャラとしての役割でしたが,その中でも注目されるシーンでちょくちょく出てきていました。2年前に彼女のパフォーマンスを見始めた頃は,「来たぞ来たぞ。失敗しないかなぁ,頑張れ」という親でもないのに親のような感情が沸いてきていたのですが,もうすっかり「あ,いたいた。おぉ,こんな感じでも出来るんだ」というお客さんレベルの見方をしていました。

着物で出てくるときは背筋がピンと伸びていて,立ち居振る舞いに品の良さが出ている感じでしたし,集団の殺陣で登場するときはしっかりと集団に溶け込み,そして声を張り上げるときはきちんと明瞭に張り上げていく。自分の与えられた役割をきっちりこなしていて,安心感のようなものが出ていました*3

帰り際に彼女からゆかりせんべいをもらったから,多少盛って評価しているかもしれません*4

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ただ,それを抜きにしても,こんな風に目撃して,ブログを書くことができて,私としては幸せな一日です。今日夜のステージも含めて,明日が千穐楽とのことですが,座組の皆様の全てが,最後まで無事に駆け抜けられますように,祈っております。

*1:荒唐無稽な設定かもしれませんが,それって大切ですよね。1対5で斬りかかられたのに,武術に長けていると言うだけで傷一つ無いのは色々な理由が必要そうですし。

*2:と思ったら,真砂役の島田紗良さんは今回の脚本・演出を担当された蜂寅企画に旗揚げから全作品出演されているとのこと。納得です。

*3:着実に一歩一歩階段を上がっているのだなあとこのログを書きながら,ようやくそういった事柄が頭をよぎりますが,終わった瞬間にそんなことを考えなかったので,安心感というのは錯覚ではないと思います。

*4:こう見えて,現金なものでして。