【観劇ログ】劇団『劇団』gekiGeki 1st「LARPs」
どうも。イマイです。
私は演劇が大好きです。舞台が好きです。照明で浮かび上がるセットが好きです。音楽に乗ってセリフを奏でる役者さんが好きです。今日は珍しく取り乱すレベルで,言葉にならない位,感情を揺さぶられました。
1.はじめに
本日は,劇団ショウダウンさんの池袋シアターグリーン三部作*1「黒船」,「撃鉄の子守唄」,「ドラゴンカルト」で熱演されていたキャストさんが所属する劇団『劇団』,通称ゲキゲキさんの1年ぶりの本公演を目撃するため,大阪は恵美須町のin→dependent theater 2ndまでやって参りました。
気合いが入りすぎて,10時30分受け付け開始のところ,9時30分に劇場に着いてました*2。さすがに9時30分だと周囲のお店はほとんど開いていないので,ブラブラしながら忙しい仕事のことを頭から追い出す作業をセッセと行っておりました。
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劇団ショウダウンさんの公演の時から,ゲキゲキさんは気になっていました。 客演情報も劇団のブログでどんどんプッシュされていて,予習用の記事もUPされている充実っぷりです。キャストの皆さんが客演でも本公演でも演劇に本気でとりくんで,楽しんでいる様子が伝わってきて,見ているこちらも気がつけばニッコリしているほどでした。気がつけばショウダウンさんの公演を拝見しながら,ゲキゲキさんの本公演への興味が日に日に高まっていました。
ちょうどショウダウンさんに客演されていたときには,ゲキゲキは1年間の休止期間だったため,本公演を見たいなあと思っても叶わないという時期が続きました。劇団のTwitterをフォローして眺めていた所,以下のポストが飛び込んできました。
チケット発売スタートを記念したツイキャスでした。客演されていた3名しか存じ上げていなかったのですが,楽しく拝見していて,気がついたら手元のスマートフォンの演劇パスで日曜日のチケットを予約していました。
このあと色々仕事が立て込んできて,この日曜日ですら観劇できない事態も何度も訪れていたのですが,ここまで来たらちゃんと見ておきたいという気持ちが強く働き,襲いかかる予定や仕事をばったばったと切り捨てて行きました。
そうなってくると,否応がなしに期待値がガンガン上がっていて,5月の観劇予定の中で一番の楽しみとなっていました。日曜日のチケットも昼公演だけでなく,千穐楽も気がついたら合わせて取っていました。ここまで期待値を上げておいてダメだったらどうしよう…でもあそこまで演劇が大好きで本気でぶつかっている人たちなのだから,絶対面白いに違いない,一度も見たことがないのですが,賭けて損はないと不思議な確信がそこにありました。
だって,Webサイトだけでもこんなにクールで,イメージが膨らむサイトなのですもの。ダメだったらどうしようとか,考えることは一切なく,劇場までの道のりをウキウキとしながら歩いて行きました。
今回のチケットは事前決済と当日決済で入り口が異なっています。事前決済のお客さんから入場することができ,当日決済の方はその後から入場することができるようになっています。私はとりあえず両方試してみたくて,昼公演は事前決済,千穐楽は当日決済で入場しています。
入場すると,舞台上では中央奥に向かって五段の階段が組まれ,そこから二段の石の階段が続いています。階段を上ったところでは左右に壁が立てられていて,真ん中から外が開けています。外にはレリーフが埋め込まれた大きな石版が一枚。階段の下は葉を落とした木が左右に一本ずつ立っています。神殿のたたずまいが目の前にありました。作り込まれたセットをみて,気分が高まっていきます。
開演前のお手洗いを済ませて,物販を拝見すると,全キャストのブロマイドがきちんと自立する写真ケースに個別に入れられています。どのキャストが何の役をやっているのかまで,一目で分かります。*3。そして,ゲキゲキのステッカーが1枚100円,ページ数たっぷりで読み応えのあるパンフレットが2000円,Tシャツが2500円,本公演のDVD先行予約が2000円というラインナップでした。
とりあえずパンフレットと,劇団ショウダウンの林遊眠さんと客演されていた古川剛充さん,中路輝さん,植木歩生子さんと中鶴間大陽さんのブロマイドを先に購入しました。
開演前5分になると,ゲキゲキの所属劇団員さんが舞台上に出てきて,前説を行ってくれます。私の行った昼の会では,古川さんによる集中して観劇するための背伸びと,全員で目を閉じるよう促す様子が,他の劇団さんではあまりない前説だったので,記憶に残っています。あと緊急時の避難誘導時のスローガン「おかし」が,押さない,賭けない,死なないと改変されていた所は,ツボってしまい,声を出して笑っていました。
前説が終わり,BGMの音声が大きくなって,舞台が暗転するといよいよ開演です。既に千穐楽が終わっているのですが,もしかしたら再再演があった場合に備えて,ネタバレ防止の改行連打を行っておきます。
2.あらすじ
あらすじは下記の通りです。
ライブアクションロールプレイングー。 通称『LARPs(ラープス)』は、 参加者が実際に主人公になりきって遊ぶ体感型アドベンチャーゲーム。
過去のトラウマから空想嫌いになった青年は、 失踪した上司の行方を求めるうちにLARPsに参加する事になってしまう。 そこには勇者や戦士、妖精や魔物など、 ファンタジー世界の住人になりきって本気で遊ぶプレイヤーたちの姿が!!!
いや、サムいー。あんた達サム過ぎるよー。
ドン引きしてしまった青年は、無事に上司を見つけ出す事が出来るのか! プレイヤー達は彼の心を開く事が出来るのか!
…しかし、そんなLARPsには青年の過去を巻き込むとんでもない秘密が隠されていてー。
『本気』を忘れた大人たちへゲキゲキが贈るー、 笑って泣けて、未来に勇気みなぎる冒険ファンタジー!
開演すると,少年が舞台上に立っています。空想を巡らせて,一緒に遊んでいる子どもとごっこ遊びに興じています。おもちゃの剣を持ち,少年がかけずり回る中,魔法使いや,戦士が舞台後方で踊っています。しかしあれだけ楽しく遊んでいたのに,少年は突如,病院に連れ込まれます。
あれ?あんなに一緒に遊んでいたお姉ちゃんはどこにいったの?何言っているんだ,お前はゲームのやり過ぎだ,空想と現実の区別もつかなくなったのか,お前は一人っ子じゃないか。両親や医者にそう咎められ,少年は空想の世界の扉を閉め,心を閉ざしてしまいます。
シーンは移り変わって,そこはトーベ王国と呼ばれるファンタジーの世界へ。 妖精ランプが皆を集め,王女様が国王の第一継承権者となったと発表をしています。緊張のあまり息を吸うことを忘れていた王女キア,そこに慌てて親衛隊長ボージェスが飛び込んできます。何か不吉なことが…と思いきや隊長に第一子となる女の子を生まれたとの吉報でした。誰もが仲良く平和に暮らしている幸せな世界がそこにはありました。その世界を苦々しく見ているのが背の高い黒服に身を包んだアゴが強く自己主張している「アーゴイル」リーガウスでした。
リーガウスの策略により,妖精の弟トンビの病気を治すことと引き替えに国を裏切ることを持ちかけられた妖精セシル。実力者の裏切り行為により,あっという間に国には火の手が上がります。そして王女キアの親はトンビによって殺され,ボージェスの妻も王女キアを守ろうとして斬られてしまいます。王女キアとランプ,ボージェスと残された娘チェルがかろうじて生き延びることができましたが,トーベ王国は滅亡してしまいました。悲しみに暮れる一行の中で,再起を図るためにランプが何か策略を巡らせます。
シーンは変わって,何かのCMが始まります。冒険の旅に出よう,LARPsはあなたを待っているという宣伝文句が飛び交います。そういえばこの舞台はライブアクションロールプレイングを題材にしていたのでした。 CMでLARPに心ときめく一同,舞台上ではさあLARPのイベントに向かおうと意気込む仁科蓮実と野間吉秋,既にLARPで使う衣装に身を包みイベントが行われる島へ気持ちが移っています。そこに冷静かつ苛立ったツッコミをするのが佐伯旬,この物語の主人公です。佐伯はかつて空想を否定された経験から,ひたすら現実主義になっていたのです。
佐伯は会社の主任が2週間も失踪しており,この連休で探すつもりだったのに,二人とも何をしているんだと,ごくごく冷静なツッコミを二人にします。ところが蓮実が持っていたスマートフォンから流れてきたCMをよくよく見返してみると,あれ?このノリノリでLARPに参加しているの主任じゃね?ということが分かります。
佐伯は渋々,嫌々ながら二人に同行し,主任を連れ戻そうと島へ旅立ちます。さて,この島に到着した後,主任を取り戻すだけでは物語は終わらなくて…と,これでまだ物語の序盤しか描けておりません。あとは後日発売されるDVDで感動大作の全貌を確認して頂ければと思います。
3.感想など
序盤から舞台の前後を有効に使って,殺陣が前で展開している間に,後ろで物語が進行しているとか,奥行きのある動きがある舞台となっていて,目を惹くシーンが何度も登場してきました。
物語の中盤からは,なんだか涙が止まりませんでした。主人公の佐伯旬の少年時代のセリフ「わからない。想像もつかない。広くて。大きい。」というセリフが舞台上で発せられた瞬間,10歳頃に1人で自由に空想していた自分が急に思い出されていて,急に切なくなっていたのです。気がつかないうちに自分も空想の扉にシャッターを閉めていたのかも知れません。いつか過去に置いてきた自分にもう一度会うことができました。
セリフがスイッチになって,どんどん感情が高ぶっていきます。信じられるかどうかなんてどうでもよくて,大切なのは君が信じられるかどうかなんだ,それまで客席の左右とか,照明の明暗とか,BGMの音響の大小とかを知覚していた神経が,全て舞台上の物語りに集中し研ぎ澄まされていきました。よそ見どころか,まるで舞台上に自分がいて反応しているかのように,キャラクターとともに泣き笑いしている自分がいました。
私はお芝居が大好きで,どんなお芝居でも観劇するときには集中して観ています。今回も集中していて見ていたことに変わりはないのですが,それだけでなくお芝居の物語を強く信じて,まるで登場人物の一人であるかのように,物語を受け入れていました。こんな経験は本当に久しぶりでした。
あの世界では「バカになれ」というのがスローガンのように繰り返されていましたが,観ている私自身も「バカ」になっていたのだと思います。仕事のことを帰りの新幹線に乗るまで,というよりこれを書き始めるまですっかり忘れていたくらいですから。役者さん達が本気で演じている一方で,私も本気になって楽しんでいたようです。
お昼の会終演後,感情が高ぶりすぎていて,言葉がまとまらなかったのが下記のツイートです。明らかに取り乱しています。
劇団「劇団」「LARPs」観劇だん。こんなに物語を信じて入り込んで感情移入したのは久しぶり。小さい頃の空想をしていた自分とまた会うことが出来ました。笑いながら涙を流して、興奮がまださめず、言葉がまとまらないのが悔しいくらい。次千秋楽ですがDVDを予約したのでみんな観て下さい。 pic.twitter.com/kcTzImHTPL
— 今井福司 (@librarius_I) 2017年5月28日
ブロマイドを終演後に,全部くださいと言っていました。全部のキャラクターがハッキリ思い出せるほどに魅力的でした。役者さんの熱演も殺陣もダンスも,プロジェクションマッピングもセットも音楽も照明も衣装も小道具もストーリーも,どれもが一番最適な形で私の感情を揺さぶってきました。最高という言葉は軽々しく使うものではないと思っていますが,本公演は最高でした。
4.キャストさん紹介
勢いに任せて本公演に参加されているキャストさん21名の紹介をやってみたいと思います。
- ネコロス役の古川剛充さん。シュンのことを気にかける心優しい頼れる上司でありながら,明日に迷ってLARPに飛び込むなど勢いも失わない大人の男の子。CM映像でのひょうきんな感じから,終盤の道理を説くカッコ良さまで幅広い魅力をお持ちの方です。でも私はネコロスが本気になったときのカッコ良さはシュンに迫るカッコ良さを持っていると思います。
- ノマ役の中路輝さん。シュンの頼りなさを何とかしようとする先輩。ドラゴンカルトの老練さとはまた違って,泥臭さやひょうきんさを兼ね備えつつも,要所要所で指を鳴らしながら見せる見栄のカッコ良さは,さすがだと思いました。それから中路さんは殺陣の動きも大柄なことから栄える方でして,とにかく何というか大好きです。
- キア役の植木歩生子さん。クールビューティーなイメージがあった方だったのですが,今回のLARPsでは,シュンのお姉さんとして等身大の好奇心旺盛な女の子とを演じる一方で,トーベ王国の王女として覚悟を決めて気高く振る舞うシーンもあって,色々異なった顔を見せて下さっていた気がします。千穐楽の終演後涙を流されていましたが,そういえばキアとしては最後の別れは声を泣きたいくらい辛いシーンだったのではと考えました。
- スエ役の松田悠さん。盗賊の親玉として序盤から中盤は悪役で,終盤は改心して重要なアクションを起こす役割を担っています。終盤のトーベ王国の結界崩壊後のシーンからは,実は心優しい人物であることがストレートに伝わってきて,1回目に拝見したときには涙なしには観られないシーンでした。決してこの世界を壊そうなんてこれっぽっちも思っていなかったのですよね。
- オリリン役の中村千奈美さん。物語の要所要所で重要な示唆をする吟遊詩人です。クレバーで美しい方だなーというのが第一印象で,その方が途中,天然ボケ要素を発揮してくるので(ボールを1回目に使った時など),思わず何度もにやけてしまいました。でも,こういうキャラクターがいることでこの世界が,さらに魅力的になっていたと思います。
- シュン役の藤原裕史さん。後で読んだパンフレットでは今この作品を1番大切にしていると仰っていましたが,思い返してみると納得です。ラストへ向けてどんどんシュンが素直になっていく中で解放されていく感情や思いを,全力で表現されていて,ラストシーンでの号泣っぷりはまるで自分が泣いているかと錯覚するくらい,もらい泣きをしてしまいました。「ほらみろ現実!」というくだりのセリフはDVDが届いたらセリフを書き出して暗記して真似してみたいくらい格好良かったです。
- リーガウス役のさいとうひろきさん。アゴ。じゃなかった本物語の中で最初から最後まで悪役だった唯一の人物。でもそうなるには相応の背景があった事がきちんと物語の中で解き明かされていること,シリアスなシーンの凄みからは想像が付かないほどのアゴを活かしたコメディシーンの存在によって,一番の黒幕にもかかわらず,憎めないというかそれなりに悲哀がにじみ出てくる役でした。
- チェル役の小村七海さん。おそらく今回の作品で私がチェルのセリフきっかけで泣き出すことが一番多かったように思います。ボージェスの絶命シーンの「血が止まらないよ!」のあたりとか,主人公達をもう一度魔法で呼び寄せようとして上手くいかなかったあたりとかは,それまでに存分に強がっていることからの落差が大きくて,ボロボロ泣いていた記憶しかありません。もしこの物語でお気に入りのキャラクターはと言われたらチェルを推したいと思っています。
- バラザ役の久保真優さん。一番最初のシーンのか弱さからは想像も付かないくらい,剣士になった後の強さ,凜々しさがとても魅力的な方でした。殺陣も見事でしたし,覚悟を決めた小学校教員の強さが全面から伝わってきた気がします。「何者!?→風か」のコンボは1回目は相当不意打ちで,声を上げて笑ってしまいました。
- ボージェス役の三浦求さん。撃鉄の子守唄のサマリー教授とは打って変わって,娘を守る父親としても王国を守る親衛隊長としても,完璧な人物でありながら,人間味あふれるこの物語の柱となる役どころだったと思います。チェルを守ろうとするシーンの心の叫びや,テンゴに最後のアドバイスを叫ぶあたり,絶命する直前の顔の表情など,ボージェスを巡るシーンは強く記憶に残っているものが多く,殺陣やダンスもさすがのパフォーマンスで,凄い方だなと感嘆します。
- ランプ役の林遊眠さん。普段とは打って変わって,守ろうと思っても守れない役どころ。でも客演ながら主役級のセリフや段取りの多さです。でもその膨大なセリフや段取りを完璧にこなすだけでなく,ランプというキャラクターの個性や魅力が伝わってくる熱演をされています。ただただキアを守ろうとする純粋さや真っ直ぐさは,林さんだからこそ迫力を持って伝わる部分なのではと思いました。ショウダウンの時よりもどったんばったん動き回っているような気がするくらい,八面六臂の大活躍です。
- ノリコ役の姜愛淑さん。テンゴを過保護に扱いすぎる子供に依存している母親かなと思いきや,自立しそうなテンゴをきちんと見守っていて,チェルの迷いにも的確なアドバイスを送る優しい母親像が伝わってきて,終盤登場してくるとホッとしたのを覚えています。しかしまあ,あの大立ち回りの中でよくオロナイン1つで生き残れたなあと思うのですが,そこは母は強しということなのでしょうか。
- テンゴ役の中鶴間大陽さん。中路さんと同じくショウダウンさんの客演で拝見している方ですが,4作品拝見して,4作品ともに異なったタイプの役柄を演じられています。声と姿で中鶴間さんだと分かるのですが,役から受ける印象は別の役者さんが演じられているのではないかと思うくらい,違った印象を受ける素晴らしい役者さんだと思います。殺陣のシーンは斧で難しかったと思うのですが,見事な振りで舞台を躍動されておりました。
- セシル役の前田郁恵さん。トンビを守ろうとする思いの強さが迫力として伝わってきて,そして残酷な決断をしているのにも関わらず,ランプたちと仲良しで本当は平和を愛していることがわかる,血の通った悲しくも魅力的な女性でした。役どころ上,殺陣に次ぐ殺陣の応酬なのですが,舞台上を縦横無尽に走り回っていて,迫力ある躍動をされていたのが印象に残っています。
- トンビ役の寺井竜哉さん。覚醒剤の影響が出て狂気に満ちてトーベ王国の人間を手にかけるあたりの怖さと,姉やランプたちの行く末を案じるギャップがものすごく,最後に自我を取り戻してランプとの再開を喜ぶあたりは涙なしには観られないシーンになっています。特筆すべきはやはり殺陣で,5段の階段をジャンプでと飛び降りるところなどは,小さな舞台が倍に見えるかのような迫力を持って迫ってきていました。
- 少年役の町田名海子さん。透き通った声が少年の純粋さにぴったりで,中盤の独白のセリフ「わからない、想像もつかない、広くて、大きい」と語るシーンは,照明や衣装と相まって,わずか四語のセリフなのに,涙が出てしまいました。それ以外にも少年のシーンのセリフの調子は私としてはホームラン級にグッとくるものが多く,DVDが来た時に真っ先に見返したい演技です*4。ラストシーンでの本の朗読もお気に入りのシーンの一つです。
- フカキ役の中西あかねさん。本役としては主人公達が島に到着しての僅かなシーンだけですが,LARP経験者の余裕さとか,自信たっぷりな感じが印象に残る役どころでした。おそらくモブ役で出てくるシーンでは殺陣を含めて何度もご登場のはずなので,こちらもDVDが到着したらじっくり拝見したいと思います。
- 蓮実役の福田まりなさん。シュンに心寄せている役どころ。僅かな登場シーンですが,終盤の弓を引くあたりの立ち居振る舞いは,シーン自体の性格も相まって,気持ちが高ぶって盛り上がってくるカッコ良いシーンです。キアの存在が分かっても,嫉妬することなく,シュンの希望に添って助けに行くことを後押しするあたりは長いつきあいだからこその余裕なのでしょうか。
- モナ役の中山さつきさん。ボージェスの妻とその妻の妹を両方演じられています。優しい笑顔が印象的な方ですが,今回はキアを守ったり,ノマを守ったりする実は芯が強い方でもありました。ボージェスとチェルよりも今回のLARPを通じた策略を心から楽しんでいたのではないかなと勝手に想像しています。
- ダリオ役の山下学さん,ガジャラ役の道川内蒼さん,ともに盗賊の子分として登場し,中盤で本役としては退場します。ただガジャラの方は退場時に悲哀を感じますし,ダリオの方はLARPへの未練を感じるなど,違った印象があって,異なったキャラクターとして描かれているのが分かります。本役よりもたぶん多いだろう魔物兵での登場についてもDVDでは注目してみたいと思います。
5.おわりに
終演後に,気がついたらそれまで悩んでいたことはたいていが吹き飛んでいました。
千秋楽の公演をもう1回観ることが叶いました。ほとんど同じシーンで泣き笑いました。先ほどとは違って終演後に,私はすっかり元気になっていました。登場人物たちから明日を生きる元気をたくさんもらって来ることができたようです。
「わからない。想像もつかない。広くて。大きい。」この僅か四語のセリフに表現される空想の世界を大切に抱きしめてあげたいです。 来て良かった。観られて本当に良かったと思いました。こんな思いをまた何度もできるように日々の生活を頑張って走り抜けたいと思います。
また,大好きな作品,劇団さんに出会うことができました。幸せです。