リブラリウスと趣味の記録

観劇とかパフォーマンスとかの鑑賞記録を淡々と。本務の仕事とか研究にご興味ある方は本家ブログまで( http://librarius.hatenablog.com/ )

【観劇ログ】劇団GAIA_crew 第14回 岸田教団&THE明星ロケッツコラボ公演「LIVE THIS LIFE」

どうも。イマイです。

ARとか新し物好きなので,興味を持っています。何だったら手の届くスマホ用のグラスを買って,ひそかに体験したこともありますし,高価なゴーグルを触らせてもらってキャッキャ楽しんだこともあります。

今日は,劇団GAIA_crewさんの第14回公演を観に池袋までやってきました。前回,GAIA_crewさんの公演はメビウスを拝見しておりまして,その段階で本公演の話を伺っていたのと,劇団ショウダウンさんのマナナン・マクリルの羅針盤アフタートークで主宰の加東さんがPRされていたので,どうしても見届けたく初日木曜日を観に来た次第です。

今回はe+のスマチケというシステムで購入しました。はじめてのことでしたが,意外と簡単でしたし,アプリを入れておけば紙のチケットを持ち歩かなくて良いので,スマートフォンを片時も離さない私としては大変都合の良い方法でした。おすすめです。

18:30ごろシアターグリーンBOX in BOX Theaterへ到着しました。開場待ちで既に12人ほど並んでいました。今回は1回しか観に来られないので,あらすじなどを劇団公式Webページを見ながらしっかり予習しておりました。

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 1.開演前

館内は自由席なので,早めに座席の確保をして物販へ。物販ラインナップが大変充実しておりまして,こんな感じになってます。

 この中から,パンフレットと台本とレジンアクセサリーを1つ買うとちょうど5千円になりまして,私は無事ステッカーもゲットすることができました。お手洗いを済ませて,最前列に座りました。

舞台に目をやると上手と下手に分かれて台がセットされています。舞台中央からそれらの台に階段が付けられています。下手側が5段,上手側が4段です。下手側の台は舞台前方に向かって,2層分さらに広がっていました。それ以外にはコンクリートの柱のようなセットが組まれていますが,比較的シンプルなセットです。目を引くのは,舞台中央後方の壁に上映されたGAIA_crewのロゴです。公式のTweetにちょうど上がっていたので紹介致します。

開演時間が迫ってくると前説タイム。今回は座付きの占い師,草梛祐史さんによる前説です。レンズの上側がフレームレスなのが,なんだかカッコいいです。前説での話題に,爆笑して反応していたら,そこの笑っている方,占ってあげますとのことで,誕生日をお伝えして占って頂きました。「自由に生きてください」と3回繰り返して頂きました。はい。引き続き好き勝手に行きたいと思います。

そんなこんなをしていると,いよいよ開演時間となりました。初日のBOX in BOX theaterは満員御礼となっています。

では,千穐楽までのネタバレ防止のために,改行連打いたします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2.あらすじ

あらすじは劇団公式Webによると,下記の通りです。

時は2038年、確実に進化していくテクノロジーは携帯端末やVR、ARのあり方を変えた。
全てが自分の身の回りでコントロールできる情報社会、その代わりにリアルは暗い話題と問題ばかりを抱えていた。
主人公鈴は人気VRコンテンツ「STARS」上のモブAIと交流を持つ。
しかし「STARS」を運営する会社の経営破綻によりコンテンツは閉鎖されることが決定する。
消去されることが決定されたAIを救うため、鈴は仲間と天才クラッカーたちと一緒に、キャラクターたちを救うため人生最大の賭けに出る!

( http://www.gaiacrew.com/ より引用)

後ろの幕に上映されていたGAIA_crewのロゴが消え,主人公の長谷川鈴(大西真央さん)が登場します。VJによって背景の映像が彩られる中,鈴の生きている時代が近未来で,電子決済やアバターによるコミュニケーションが当たり前となっている世界であると話します。そして,この物語は起承転結も面白いところもなく,だから最初に謝っておく*1と語ります。

 語りが終わった後,楊美杏(滑川恭子さん)が走り込んできます。鈴が呼びかけ,二人はいつもの仲良い会話を始めます。スイーツのお店が新しくできたことを語っているうちに,美杏が新しく始めたインスタントロトをむりやり始めることになります。鈴がイヤイヤながらタップしたアプリの結果は,何と大当たり33億2800円の配当金を得ることになります。

鈴は実感なさげにアプリの画面を眺めていますが,美杏は身元保証人である従兄弟の鳴海(望月英さん)をその場に呼んできます。家を買ったら良いと,反発を喰らうこと必死の定番アドバイスを鈴にスルーされつつ,とりあえずはどうするかをゆっくり考えることとして,鈴と美杏はある場所へと向かいます。

ライブシーンに舞台は変わり,登場してきたのは雅楽代マユ(小見川千明さん),希島アンリ(前田郁恵さん),風元ヒナタ(yuQQunさん),氷室カレン(柏崎絵美子さん),冴原コトハ(日高望さん)のアイドルグループ「ハック&スラッシャーズ」のライブです。アイドルと一緒に盛り上がるは5名の"名もないオタク"。本格的な息の整ったライブシーンが展開されていきます。

ライブ後に,リーダーのマユがメンバーにそれぞれダメ出しをしていきます。2日前のライブの18時にも同じ所を間違えた,昨日の14時の回のMCが3年前の18時の回の三回目と同じなど,やたら細かいところまで覚えているリーダーのツッコミがしばらく続きます。

そこに山形亜矢子(蒼橋ゆんさん*2)と金村賢治(土性正照さん)が登場,アイドルのマネージャーをやっているように見えますが,実は二人はこのVR空間「スターズ」の管理をしているエンジニア。そう,先ほどのライブシーンは全てVR空間での出来事だったのです。

鈴と美杏はこのVR空間「スターズ」へやってきました。ナレーター(園崎未恵さん)が伝えるシーン選択の場面。美杏の願いは,この「スターズ」で「ハック&スラッシャーズ」のコトハとリアルグリーティングをすることだったのです。美杏はコトハを選んでリゾートへと移動していきました。残された鈴は付き添いだからと選ぶのを躊躇しますが,どうしても選べとのことで,ようやく一人を選びました。

「ハック&スラッシャーズ」を応援していたモブの一人を。

まさかまさかの展開に驚嘆する一同。しかしVRの運営会社的には全く問題がないとのことで,そのままモブの一人と鈴はグリーティングへと出かけていきます。どうしてこうなった。その場は騒然となりますが,カレンがその場を収めます。

鈴とグリーティングに出かけたモブの一人。応援することしかできないAIと会話する中で,鈴はそのモブに「リン」(長尾一広さん)と名前をつけます。名前をつけられたことが嬉しくてリンは,どんどん会話を進めていきます。

場面は変わって端末をにらめっこしているのは,サイバー犯罪課の刑事,沖田(沙汰青豆さん)と古代(加東岳史さん)の二人。有名なショッピングサイトが,謎のクラッカー*3,サノスケ(三橋亮太さん),もず(秋山えりかさん)の2人によって,次々と「ケモノノダンス」のアニメーションが張られるという騒ぎが起こっていたため,沖田と古代はクラッカーの2人を追っていたのです。そして,二人が目をつけたのは何と「スターズ」運営会社で…。

鈴はその後,「スターズ」の世界にリンに会うために週五で通い詰めます。リン以外のオタクにもブータ(後藤大輔さん),アンコ(杉山ひろこさん),インテリ(草梛祐史さん),オジョー(藤咲めぐみさん)と名前が付き,それまでアイドルの応援しかできなかったモブは自ら考えるようになります。

そんな不思議な世界ですが,何やら亜矢子と金村が頭を抱えています。何かこのVR世界にとって良くないことが起こったようなのですが…。その続きはぜひ劇場で目撃してくださいませ。

3.感想

  1. 私が普段学生さんとやりとりするときに,課金ネタを割と使っていることもあり,あと自分が結構課金してしまうタイプであることもあり,物語の中盤からぐさぐさと心に刺さる台詞が続いていきました。授業で「データ」という専門用語を説明するために,ガチャのレアカードとかデータですよねと冗談を言ったら,その日のコメントシートで「ガチャは,夢や愛であってデータじゃありません!」と書いてきた学生さんがいらっしゃったのですが,今日観劇して,その気持ちよーくよーく分かりました。うん。あれはデータじゃない。愛だ。というわけで,普段課金とかをしてブラウザの向こうの対象に愛とか親しみを感じたことのある人にはグッサグサささる物語だと思うので,大学生の皆様とかはおすすめであります。
  2. そういう軽いテイストで観ることも可能な作品なのですが,ARとかVRはどこまでが現実で,どこまで人間と同じなのか(特に記憶と人格を備えてしまった場合には)とか,割と芯があるテーマも張り巡らされています。実は格差社会とか,出自の話とか,全体のバランスからするとエッセンス程度ではあるのですが,キャラクターの骨格を担っている重要なパーツが終盤で回収されていったのも心地よかったです。
  3. パンフレットにも記載がありますが,あの世界をコピーしただけでは本当にはならず,記憶も合わせてコピーしなければいけないというのは,SFとして本格的な考証がされていて,世界にわくわくしながら入り込むことができました。
  4. 音響の須川さんによるBGMが,中盤以降台詞と重なることで,涙腺を何度も刺激してきまして,それまで戯れて楽しんでいた個性的なキャラクターの台詞と相まって,中盤からわりとポロポロ泣いておりました。
  5. 個人的には鈴がグリーティングで,モブキャラを指名するというあたりはとても好きな展開です。既に選択可能なキャラではなく,まさかモブキャラ!?という驚きもありましたし,その理由が「良い人そうだから」というのも,凄く理解できました。
  6. それからここは思いっきり強調して書きますが,劇中アイドルユニットのハック&スラッシャーズが,本物のユニットが出てきたのかと思うほど,息がピッタリで完成されているのが注目のポイントです。あれは美杏がうっかりグリーティングに課金したくなる気持ちもよーくよーく分かります。あれだけ魅力的なので,ヒナタが逃げ切れないところは,感情移入しまくってもう泣くしかないです。
  7. ラストシーンで,リンと鈴が抱き合おうとしてすれ違ってしまうところ。あれで終わったとしたら寂しく悲しい結末ではあるのですが,一つの終わりとしてはアリなのかなと思いました。ちょうどアドベンチャーゲームのNormal Endとして見られるというか。そういえば映像配信ではちょうどここまでだと伺っていますので,舞台を見に行った人だけが,True Endが見られるという解釈もできるのかなと思いました。

もう一回観に行けないのがとても残念なのですが,終演後早速DVDを予約して参りました。 それくらい面白い作品でした。オススメです。

なお,本公演はラストシーン直前まで映像配信をしているとのことです。遠方の方などはそちらででもぜひご覧頂ければと思います。

www.youtube.com

www.gaiacrew.com

*1:もちろんこれは謙遜であって,起承転結も面白いところも,盛りだくさんなのですが。

*2:何と今回が人生初舞台!とのことで,パンフを見ながら驚いています。てっきり場数を踏んでいる方とばかり…。

*3:不正アクセスを行うハッカーの場合,クラッカーと呼ぶのが適切との指摘もあるので,念のためクラッカーにしておきます