リブラリウスと趣味の記録

観劇とかパフォーマンスとかの鑑賞記録を淡々と。本務の仕事とか研究にご興味ある方は本家ブログまで( http://librarius.hatenablog.com/ )

平沢進 INTERACTIVE LIVE SHOW 2013「ノモノスとイミューム」3日目

CALL ヒラサワ。

ノド声を全力で出しているのに気づかない位、夢中で声を出す。1曲目のSIMCITYとともに、インターネット上で参加するドナーのリストが画面上を駆け抜けていく。自分の眼(まなこ)が潤み、胸が高鳴るのがはっきりとわかった。

平沢進インタラクティブライブ2013「ノモノスとイミューム」3日目@渋谷公会堂。初めてインタラクティブライブの名前を聞いたのは、前回の「点呼する惑星」の時だから、もう3年前のこと。その時は勇気を出せず見送り。時間の経過とともに、「白虎野」のDVDを手に入れ、「点呼する惑星」のDVDを手に入れ。立ち会えなかったことを何度も悔いた。ようやくの初参戦。

17時前に渋谷公会堂に到着した。開場はまだ30分先で、開演に至っては1時間半も先のことである。でも、待ちきれず開場待ちの列に並ぶ。あわよくばグッズを買えたらいいなと思いながら。17時をすぎて、渋谷公会堂の壁面に据えられた紫の灯りが点灯する。今回の演目とは全く関係なく、時間で点灯したのだろうが、それだけで気分が盛り上がるのを感じた。

1曲目が終わり、ストーリーが開始される。悲劇的な物語を回避するために、仮に作られた2つの「反射」から「反射」へと「乗り換え」るストーリー。それぞれの「反射」に隠されたノモノスを求めて動くΣー12。それとともにライブは進んでいく。レーザーハープの光線、TALBOの唸り、バス音の響き、平沢師匠の声。どれもが舞台に設置されたスクリーンの映像と合わさって、器官に届いてくる。

飛び乗る先の「反射」を選ぶ分岐。ステージ上からの光線を弦に見立て、それを5回奏でることで分岐が確定する。右へ右へと選択が進む。その間、インターネット上で参加する「ドナー」たちの協力により、ノモノスが何に変化しているのかが明らかになる。

本日たどり着いた結末は、残念ながら観客の欲望が反映したため、ハッピーエンドに見せかけたバッドエンド。ノモノスはあるべき植物園には戻ることがかなわなかった。しかし、師匠のハンドマイクとして立派にその存在を主張する。バッドエンドにも関わらず、何か満たされた気持ちになる。欲望が反映されたためか。

アンコールの織茂昌美さんの「ガーベラ」、師匠の「ARIA」が流れる。自分の体を揺さぶった重低音とともに、今でも目を閉じれば再生できそうだ。数多く存在した私の分岐の中で、あれほど上質の娯楽に会える分岐を選べたことを、今はただただ感謝したい。

インタラクティブライブの概要はこちらのURLから)
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本当に、生きててよかったと感じるくらい、楽しい時間でした。あれほどの仕掛けを構築するのはすごい手間だったと思います。上記で書き忘れましたが、途中で挿入されるインターネット上のムービーは、何でもない映像の文脈が見事なまでに組み替えられていて、「作者退場」というのはこういうことかーと感じた次第です。後、何回見られるかわかりませんが、次回も万難を排して参加したいなあと思いました。まる。