リブラリウスと趣味の記録

観劇とかパフォーマンスとかの鑑賞記録を淡々と。本務の仕事とか研究にご興味ある方は本家ブログまで( http://librarius.hatenablog.com/ )

【観劇ログ】ジョーカーハウス「スタンドアローン」月蝕バージョン(書きかけ)

どうも。イマイです。

今日は第1弾からずっと応援してきているジョーカーハウスさんの第9作目「スタンドアローン」を見に来ました。この作品でジョーカーハウスは9本目になります。なんだかんだでバージョンとばしはあるものの、毎作拝見できていることは何よりの幸せです。

ジョーカーハウスのいつもの劇場ではなく,今日は東京大塚の萬劇場までやって参りました。  

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通常ですと,2パターンとも上手くいけば3パターン全部見るのがジョーカーハウスさんなのですが,今回は仕事の都合で,日食バージョン,月蝕バージョン,半蝕バージョンのうち,月蝕バージョンだけを拝見しました

いつもだとここで淡々と続きの記事を書くのですが,とにかく,今回はこれだけは先に申し上げたいです。月蝕バージョン,涙が出るほどカッコ良くて心揺さぶられるので,とにかく日曜までに1人でも多く目撃して欲しいです。もし観た上で何も響くものがなかったら私が直接謝りに行っても良いと思う位,自信を持ってオススメします。こんなことを書くのは珍しいのでそれくらい良かったのです。

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 1.開演前

萬劇場は一昨年の壱劇屋さん以来です。地下三階の上り下りにはかなりの労力を使いますが,その分天井も広く取られていて開放感にあふれた本格的な舞台です。客席までの階段途中にも物販のディスプレイが盛んになされていて、ブロマイドのところにはちゃんと撮影禁止とのキャプションありました。

着席して目の前を観ると,ジョーカーハウス特有の二段舞台が組まれていました。
壇上に十字架が3つ、左右の十字架には小手が立てかけられています。真ん中の十字架にはドクロが乗っています。伊藤えん魔さんの作品の魅力は、何を差し置いてもハードボイルド、そこにつきると思います。なので,ドクロが舞台上にあるだけでテンションがあがってきます。

上演前には,恒例のパンフレット売り,そしてキャストさんによる前説(噛んで言い直していたところもまたピュアで応援したくなります)がありまして,上演となりました。さて千穐楽はまだですので,ネタバレ防止の改行連打をしておきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2.あらすじ

Corichの情報に拠れば,あらすじは下記の通りです。

彼らは戦い続けていた。
自分達のいる世界を守るために、何者かも分からぬ敵と。

敵は異様な風貌でモンスターに見える。
言葉も通じず、人間でもない彼らは何なのか? 
そして何のために攻撃してくるのか?
収容所と呼ばれるその空間の中で
彼らは寡黙に戦い続けていた。

ニコは地下の部屋で一人閉じこもっていた。
地上では仲間達が日々戦っているのに、
自分はその部屋から出ることができない。
せめてできる事として
「かつての仲間の記録」を天井や洞窟に刻みつけていた。
戦闘がない静かな日は、大好きな童話を読みふける。
ニコは悲しい物語が好きで
特に「フランダースの犬」が大のお気に入りだった。
そんな時、記憶のない戦士ガイストが現れる。
身元不明のガイストは戦闘中にあやまって地下へ落ちる。
そこでニコと出会い、二人は友人になる。

ニコがその世界で出会った仲間達は
冷徹な軍人、正確な分析官、陽気なガンマン、悲観主義の囚人、
好奇心旺盛なお嬢様、純真な娘、穏やかな淑女、血の気の多い女剣士・・・
性格や特徴があまりに違う者達ばかり。

当然、意見は合わず、
同じチームにも関わらず、作戦の方向性は分かれる。
各自の価値観、喜怒哀楽の感情が違いすぎるのだ。
ニコは、それをいつも不思議に思っていた。

「太陽と月がかくされる」、
蝕が起こると 得体の知れない敵のモンスター達が来襲。
しかし、彼らは戦士達と接するうちにコンタクト方法を学習し、
徐々に意思疎通=会話ができるようになる。
さらには戦いの理由を語りはじめる。

 

「我々ヲ敵視スルナ・・・受ケ入レルノダ」
「なんだと・・・?」

交渉が難航する中、 さらに現れた最強の敵、
ジャック・ザ・リパーが容赦なく仲間達を駆逐してゆく。

追い詰められる戦士ガイストは、
今までバラバラだった仲間達に「ある共通の記憶」があり、
さらには完全に一致している目的に気づく。

それは
「最後の一人になろうとも ニコを守る」
鉄則であった。

「そうか・・・俺たちは・・・」


互いの特殊な能力を発揮しながら戦い続ける彼らの秘密とは?

「彼らはどこから来たのか?
 彼らは何者なのか?
 そして彼らはどこへ行くのか?」

ついに、
収容所という閉ざされた世界の、
あまりに悲しい謎が解き明かされる…

( https://stage.corich.jp/stage/97537 より引用)

今回,執筆時間が余り取れないので,物語のあらすじはここだけで止めておきますが,開演直後から,涙が出てきて,エンディングは何回も何回も涙流してました。そして心の中では「ブラボー!」と強く叫んでいました。

3.感想

  1. 終演後に興奮してえん魔さんやキャストの皆様に何度も申し上げたのですが,ジョーカーハウスの最高傑作だと思います。2日目ですが,もしOP撮影会がなければトリプルコールをしようと思ったくらい,拍手の手を止めたくないと強く思いました。これまでどうしても頭をよぎっていた若手のカンパニーというある種のレッテルが,オープニングの段階で綺麗にすっ飛んでいきました。誰がなんと言おうと,私はこの作品が心から大好きです。
  2. ストーリー自体が,分裂病患者のニコの人格が統合される中でニコを守ろうとしていた別人格達が次々に倒れていくという,終わりが想定しやすいからなのかもしれませんが,いつもならば顔見せ的な役割を持つ,個々のキャラクターの個性を描くシーンが,全て哀しく見えてくる不思議さがあります。
  3. ニコが本当に純粋なキャラに徹しているからこそ,全ての台詞がグサリグサリと突き刺さってきます。壁に必死に記録して忘れたくないと思っている行動も,失われてしまうことが約束されていることを思うと,とにかく一つ一つが抱きしめたいくらい,愛おしいシーンなのです。
  4. 今回は本当に無駄だと思うキャラクターが全くいなくて,ストーリーテラー的な役割を持っていると思われたサンジェルマン伯爵にも,泣かせどころの台詞がきちんと割り振られていて,もうこの作品に関わった役者さん達が,一観客なのに羨ましいと思うほどでした。
  5. 劇場が大きくなったこともあって,大石さんや小澤さんの殺陣もより一層映えますし,集団のダンスや身体表現もより前後が出たからこそ引き立っていたと思います。なんだろう,過去8作はどれも素晴らしいけれど,ふとしたところで見えた袖に引っ込むときの手作り感とかが,今回は全く感じられなくて,エンタメとして作品として本当に心から楽しんでいました。
  6. 全く非の打ち所がなくて*1,このまま空間ごと切り取って飾り直したい位,照明も音響も物語もキャストも全てが私の理想に合致してました。こんなダークなハードボイルドが観たかったんですよ!(机を強く叩く)
  7. とにかく,オープニングがカッコ良すぎるので,作品を見に行けない方にもぜひ共有して頂きたいこの写真(今回の終演後はオープニングシーンの撮影会でした)。とにかく1枚でもグッとくる人がいたらすぐ劇場まで駆けつけてみてください。お席はまだまだあるそうです。

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4.キャストさん紹介

今回,執筆時間が無いのでやめておこうかと思ったキャストさん紹介ですが,これだけ良いものを魅せてもらったので,とにかく何とか書きます。皆さんステキ。毎回感激ブログは素晴らしい作品を見せてもらったキャストさんへの御礼のつもりで書いてますが,今回は特にその気持ちが強いです。(2019/03/01 22:53現在:これ以上伸ばすと明日の仕事に差し支えそうなので後日追記することをお許しください)

  1. ネロ役の福井清香さん。少年とツッコミ役の大人が高速で入れ替わって,笑いと友に,ニコの悲しさを引き立てる前向きさがそこにはあって,初期メンバーってやっぱり凄いと改めて嘆息しました。声だけではなくて,機敏さとか頭の回転の良さとか,魅力を語れば次々言葉が出てくるようなそんなステキな役者さんです。
  2. ニコ役の荒木凪瑳さん。百華妖乱で沖田総司を演じてた方と分かって,ええぇとひたすら驚いているのですが(同一人物だと最初認識できなかったので),とにかくピュアに仲間を愛して,友達を求める身振り手振りが,本当にニコという人物がそこにいるかと錯覚するくらいの,ステキでそして哀しい役どころでした。ラストシーンに涙をボロボロ流しながら,みんなと離れたくないと叫んでいるところ,もらい泣きをしてひたすら泣いていました。
  3. ジャック・ザ・リパー役の小澤瑞季さん。ジョーカーハウスをホームと公言してくださっていて,毎回多様な魅力を次々披露しているエースですが,前作に引き続き今回も怪奇派の魅力を存分に発揮していて,憎たらしい敵役を見事に演じていらっしゃいました。普段が凜々しく,可愛らしいからこそのギャップもあって,役から感じる不気味さはもの凄いものがありました。
  4. ジャンヌ役の田守悠花さん。普通の作品だったらこれだけで主人公できますぜという位,凜々しいかつツッコミどころを残す剣士が魅力的で,このジャンヌだけのサブストーリーも観てみたいと感じるほど,鎧姿がピッタリでした。ヒロインからヒーローまで本当に幅広く,かつ包容力を持った役はまさに田守さんならではと思います。
  5. データ少佐役の美津乃あわさん。関西小劇場界のトップスタアさんですが,月蝕バージョンでは脇役に徹していらっしゃって,流石のキャリアを感じました。でも,ふと見せるギャグシーンのキレの良さは流石,ファントマから世界を作り上げてきた方です。ガイスト役はさぞやカッコ良かったんだろうなともう1バージョン観られない悔しさで一杯です。
  6. ガイスト役の大石祥生さん。数作前から,トホホな三枚目がちらつくヒーローから,ジョーカーハウスの二枚目にチェンジし,役どころを的確に演じている大石さんですが,今回ももう個人ブロマイドを思わず買ってしまうくらいカッコいい。背の高さから生まれる立ち居振る舞いとか,殺陣のカッコ良さもあって,今回劇場が広くなったことでますます魅力を感じた役者さんです。
  7. チャッキー役の橋本真衣乃さん。ジョーカーハウスの中で唯一無二の存在感がある可愛らしい方ですが,今回は謎を抱えた,敵役の一団。でも節々にきちんと橋本さんらしい立ち居振る舞いとかがあって,作品の中のアクセントになっていました。殺陣も満載で,ひたすら飛び回っている役どころです。
  8. サン=ジェルマン伯爵の佐々木志乃さん。中期ジョーカーハウスにはなくてはならない,安定感たっぷりの中性的な役どころが多い方ですが,今回も謎の情報源をもたらすキャラとして,序盤から中盤のアクセントになっていました。クライマックスの伯爵の台詞がもうこれ以上無くカッコ良くてですね,「カッコ良すぎるぜサンジェルマン!」と思わず心の中で叫んでおりました。
  9. Dr.ストレンジ役の北原学さん。この方も中期ジョーカーハウスではお馴染み。不気味な医者役がピッタリはまっていました。大きな劇場なのに台詞回しも的確で,終盤のタイプAにちょっかいを出すところまで目が離せない役どころです。日食ではタイプAを演じているとのことで,どんな感じなのか観られないのがただただ残念です。
  10. フロイト役の徳岡天心さん。悩める心理学者,臆病者の役どころ,弱々しさと周りに対する苛立ちがぐいぐい伝わってきて,最後に爆破スイッチのボタンを推せないでもがいているところがたまらなく愛おしくなりました。本当にこの作品,どのキャラクターも必須だなと思うほど魅力的な人物に溢れています。
  11. ナイチンゲール役の瑠香さん。今回,現実世界で精神分裂症やビリーミリガンの背景などを説明するいわゆるストーリーテラーに近い役どころ。周りの医者や看護婦が楽天的な中で,最後までニコの病状に疑問を持っているところをきちんと残していて,ラストシーンの裏切りの伏線になっています。
  12. ブッチャー役の大山莅人さん。敵役で余り前には出てこない役どころではありますが,単に暴れているだけではないという終盤の展開を掴んでいると,ちょっとその暴れっぷりにも理があることが分かって,ちょっとグッときます。もう一回観ると感じ方もまた変わってくるんだろうなと。
  13. (というところで時間切れになったので,ここから先は後日ちゃんと追記します・・・ごめんなさい。)

今回は1バージョンしか見られませんでしたが,必ずや記念の10作目があると信じて,フルバージョンコンプを目指してしっかりと予定調整をして参りたいと思います。

最後は福井さんから予約特典で頂戴したブロマイドと,一緒に撮ったチェキ,そして毎回ジョーカーハウスでは必ず撮ると決めている伊藤えん魔さんとのチェキを載せてひとまず観劇ログの速報と代えさせていただきます。

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stage.corich.jp

*1:最高だったので敢えて言うなら,YMCAでうたうあのシーンはもっとはっちゃけて笑いを取れた方がよいかなーと思いましたが,あの辺の散らかり方も含めてのジョーカーハウスだと思うので指摘は無粋かなとも思います。