劇団壱劇屋 劇団創設10周年記念公演「TABOO」
こんにちは。イマイです。
本業や生活上の多忙により,観劇ブログはすっかりご無沙汰でした。リハビリをかねて短めでもその日のうちにUPすることを心がけて細々と続けていきたいと思います。
今日は,たった1日だけの公演のために,大阪は森ノ宮ピロティーホールまでやってきました。 私が愛してやまない,劇団壱劇屋さんの結成10周年記念公演「TABOO」を見るためであります。
実は初訪問の森ノ宮ピロティーホール。普段見ているお芝居のキャパシティとは人数が異なる 最大収容人数1030人のホール,壱劇屋さんの普段使用しているホールの4倍から5倍の大きさです。おそらくはいつも使っているホールであれば簡単に一杯にできるであろうに,それでもこの大きなホールを使用したのは,劇団壱劇屋さんの10周年記念だからこそ,そして劇団がこれからもチャレンジし続けようとしているからこそ,選んだ大きな劇場だと私は思っています。
私の一推しの劇団さんがそんな挑戦をしているのであれば,応援しないわけには行かないと考えて,大阪まで駆けつけた次第です。
1.開演前
客席開場して,舞台を見つめた瞬間,思わず胸に熱い感情がこみ上げてきました。ロビーにも物販のあたりにも,いつもあるはずのあれが見当たらなくて探していたら,まさかまさかのここにありました。
大きなホールで公演するとこれが出来るのだという驚きとともに,紛れもなく私が応援してきた壱劇屋さんはそこにいました。思い返すとこれを見られただけでも訪れた甲斐があったと思うほどでした。
開演前にはこうして,先日のオーディションが行われる直前までの劇団員がズラリと勢揃い。歴史を重ねるというのはこういうことなのでしょう。私が初めて壱劇屋さんの舞台を観たのは2014年8月。それから4年とちょっと応援しているまだまだ新参者ではあるのですが,ワクワクするとはまた別の感慨深いものがありました。まるで家族のようなというとおこがましいかも知れませんが,よく知っている幼なじみが活躍していてちょっと誇らしい,そんな感じの感情に近いものがありました。
2.あらすじ+メイキングなど
さて今回の作品は,あのMASHUP PROJECT以来と思われる他の脚本家が書いた台本を上演する試みです。それも今回はあのビッグネーム,野田秀樹さんの「TABOO」でありました。
バカとして育てられた天皇の子、名を一休。 南北戦争の火種になると、命を狙われ逃げおおせ、旅芸人の一座へ拾われる。 バカは役者を始め、芸を磨き、恋を覚え、師匠に憧れ、「せぬ芸」へと辿り着く。 バカの出自を知る者たちにより、南北の戦に巻き込まれる一休だが、 己の芸を完成させるべく、道を探し続けるのだった。
( http://ichigekiyaoffice.wixsite.com/ichigekiya/single-post/2018/09/27/Untitled より引用)
今回は1日限りの公演で,このブログをUPしているときにはすでに千秋楽も終わっている頃ですが,それでもネタバレ防止の改行連打を致します。
今回のあらすじは野田秀樹さんの公式ウェブサイトにほぼ,終盤まであらすじが掲載されていますので,本筋をご覧になりたい方はこちらをご覧下さい。
こちらのブログでは,壱劇屋さんがどうこの世界に挑んでいったのかを少しでもまとめてみたいと思います。なお本作「TABOO」は他のパターンでは私は未見で,今回の壱劇屋さんが初見であることを申し添えておきます。
まとめるに際して,普通ですと台本とかTwitterのタイムラインを全部漁るとかしないといけない劇団さんもありますが,壱劇屋さんは流石だと感嘆するほどに資料が盛りだくさんです。
まず,こちらがプレ公演、場当たりの様子です。見逃したという方はこれだけでもご覧になって頂きたいです。壱劇屋さんの代名詞とも言える,集団パフォーマンスの妙が発揮されています。
こちらが舞台セットが組まれている様子をタイムラプスで撮影した動画です。広大な空間の一部にシンプルながら独特なセットが組まれていく様子が伺えます。
【本番直前ダイジェスト動画 公開!】
— 壱劇屋 (@ichigekiya) January 10, 2019
創設10周年記念企画ファイナル
劇団壱劇屋「TABOO」
作:野田秀樹/演出:大熊隆太郎
1月12日(土)11:00/16:00
森ノ宮ピロティホールにて
上演時間は150分!
詳細・予約はhttps://t.co/4WN2UTgoJM pic.twitter.com/ByADsRjiEX
そしてこれが本編ダイジェスト映像のTweetです。1回見た後だと1分58秒あたりからは思わず目頭が熱くなるはず。
他のバージョンを存じ上げないので,今回何が違うのかを打ち出せないのが残念ですが,これだけの内容をわずか1日のために積み上げてきた記録はがっちり残しておきたいと思います。
3.感想
- 序盤は,ハンドクラップや舞台袖の楽器を劇団員自身が奏でるスタイルで,このまま押し通すのかと思いきや, 中盤から後半にかけて,どんどん場面転換のスタイルが変わり,1つの間の持たせ方にもここまでバリエーションを付けられるのか, そう驚くほどの多様なやり方が混ざっていました。
- 劇団壱劇屋さんはパフォーマンス能力に優れたカンパニーでして,毎回予想を超える凄さを見せつけてくれる劇団さんですが, 今回はこの人たちのできないことって何なんだろうと思ってしまうほど,難易度が高いと思われるものも,チームワークと個々の 能力の高さで切り抜けていける凄さがそこにはありました。
- 「TABOO」は初見ですが,台詞や設定が刺激的である分,なんとも演者の力を要求する作品だなと思いました。過去作を観た方はどう思うのかは分かりませんが,少なくとも私は壱劇屋さんらしいテイストもふんだんに盛り込まれた,かつてのMASHUP PROJECTでの経験をキチッと反映しているすごい作品だったと考えています。
- 全ての劇団員さんのスキルの結集である本作で,全てのキャスト,演出,照明,音響,舞台,衣装がすごいのですが,何よりも山本貴大さんの見事な主役っぷり,台詞回しの素晴らしさは音声だけでも,もう一度聞きたいと思う力や魅力に溢れたものでした。もちろんそこにいるのは何度も拝見した山本さんなのですが,勝手に私が決めた枠組みから2段も3段も飛び出していて,普段やりとりされるウッカリエピソードとのギャップも相まって,違う山本さんの引き出しを存分に味わえる作品であったことは特筆しておきたいです。
- これまでの壱劇屋さんと異なる,おそらくはハイレベルな作品を上演した後にもかかわらず,終演後のロビーではいつものようにフレンドリーに写真撮影や会話に応じてくださるキャストさんたち。一瞬壱劇屋さんではない別の団体を観に行っていたのではと錯覚していた私は,そうだ私はやっぱり壱劇屋さんを観に行っていたのだと安心するとともに,とても嬉しくなりました。
- 壱劇屋さんを初めて観てからまだ4年ほどですが,壱劇屋さんを応援している御陰で,ここまで高いレベルを要求する作品を観ることが出来て,私は幸せです。11年目のこの劇団がどこまでまた走って行くのか,そしてその後ろに付いていったら,どこまで遠いところまでいけるのかと思うと,これから先の作品を観るのがとてもとても楽しみなのです。
本作品を目撃することが出来たことは,何よりの幸せでした。今年もたくさんのステキな舞台に出会えますように,年初にとても良い作品からスタートできました。