リブラリウスと趣味の記録

観劇とかパフォーマンスとかの鑑賞記録を淡々と。本務の仕事とか研究にご興味ある方は本家ブログまで( http://librarius.hatenablog.com/ )

【観劇ログ】劇団GAIA_crew番外公演「メビウス」

どうも。イマイです。

*2018/07/07更新:Bチームについても感想を追加しました*

観劇強化月間の6月ですが,来月も割と観劇回数が多いことが分かったので,観劇強化期間とか,別に名称いらなかったんじゃないか説が流れております。まあ気にしないことに致します。

本日は,劇団ショウダウン主宰のナツメクニオさんによる名作「メビウス」,その作品が劇団GAIA_crewさんの番外公演として,上演されるとのことで,池袋のシアターグリーンBASE Theaterに駆けつけました。この作品は,昨年観劇した作品の中でも1番に挙げたいくらい大好きな作品なので,とてもとても楽しみにして伺いました。昨年のブログは下記をご参照下さいませ。

librarius-theater.hatenablog.com

そうこうしている間に,シアターグリーンBASE Theaterに到着しました。

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(トップページからご覧の方は「続きを読む」リンクをタップして下さい)

1.はじめに

メビウスは劇団ショウダウンの初演後,様々な役者さんで上演されて参りました。そのたびに,感動を呼び,そしてまた上演したいという役者さんが現れるというとてもステキな作品です。

今回の上演も関西でメビウスを観た,劇団GAIA_crewの主宰,加東岳史さんがぜひ上演したいと意気込んで実現した番外公演だったとのこと。溢れる「メビウス」愛は劇団の座談会レポートでも,そこらかしこに出て参ります。ぜひ観劇後はこちらもご確認頂ければと思います。

『メビウス』座談会レポート – GAIA_crew Information

わずか75分という作品ながら,舞台上に出てくる2名の役者はほぼ袖に下がることなく,そして立ち止まることなく,膨大な台詞と,きっかけの連続をこなしていきます。恐ろしく大変なはずの作品なのですが,それでも多くの人を引きつける作品です。

シアターグリーンBASE Theaterの舞台上には,箱馬が2つ置かれています。シンプルですが,この2つの箱馬の周りで,3千年の歴史が描かれます。

初日の前説には,Bチームの演じ手である劇団赤鬼の土性正照さんがご登場。決して笑いを取りに行っているはずではないのにもかかわらず,笑いを持っていき,そしてAチームの紹介では,「自信がないそうなので,彼らのことは特攻野郎Aチーム」と呼んでやって下さいと,きっちりネタを放り込んでいく見事さでした。Bチームもこの後,拝見する予定なので,今から楽しみになってきました。

さてここから感想ですが,これから初見だという方もいらっしゃると思いますので,ネタバレ防止の改行連打を致します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2.あらすじ

(あらすじは昨年観劇したときのものをそのまま転載いたします。早く感想を書きたいのでご容赦くださいませ)

機能を停止する間際の二体のロボット。
無人の惑星に廃棄された彼等は、遠く頭上に青く輝く地球を眺めながら、ゆるやかに終わりを迎える。
最期の時、一体のロボットは突然語り出す。
「どこかで会ったことありませんか?」
二人を繋ぐ一本の花、いつから二人の間に咲いていたのかもわからない一本の花。
二人の手が重なった時、記憶を探る旅は、時空を超える。
劇団ショウダウンのナツメクニオが生み出した傑作二人芝居を、劇団GAIA_crewがリ・ビルド。
どこかできっと、あなたが出会う人もいる…
http://www.gaiacrew.com/ より引用)

開演すると,2体のアンドロイドが現れます。1体は腰掛け,1体は立って動いているアンドロイド。廃棄され,2体とも朽ちるのを待っているような状況です。立って動いている港湾労働用のアンドロイドは腰掛けている家事用のアンドロイドに向かって,最後なのだから人間のように話してみようと持ちかけます。

人間とは何かとしばし2体の間でやり取りした後,港湾労働のアンドロイドから家事用のアンドロイドにこんな言葉が掛けられます。「どこかで会ったこと,ありませんか。」

この言葉をきっかけに,2体のアンドロイドは自分たちの動作記録には残っていない,それでも何故か想起される映像を一つ一つたぐっていきます。一輪の花を鍵として,バラバラに散らばった記憶の断片は,やがて一つの塊となり,道となっていきます。

時には人間同士でなく,片方が動物の時もあり,男女の組み合わせでないときもあり,シリアスな場面もあればコメディカルな場面もあるのですが,何度も繰り返されるある場面が舞台上では強調されていきます。

2人の記憶はルーツへと戻ることが出来るのでしょうか。そしてなぜ2人は最期にこんなことをしているのでしょうか。物語の結末は是非劇場で目撃して下さい。

3.感想

  • メビウスに惚れ込んだ加東さんの愛が伝わってくるような,メビウスの魅力が存分に表現された,直球勝負のメビウスだったように思います。脚本に忠実に,遊びは抑えめにですが,この作品の肝であるテンポの良さ,膨大なセリフ量,そして想像力に訴えるための動きのどれもが合わさったメビウスでした。
  • 加東さんの魅力は,凜々しい声だと前に出演された舞台で感じていましたが,今回の作品ではスイッチの切り替えの見事さがとても印象に残りました。ラストシーンの相手に向かって「うん,うん」と頷いていく所の弱々しさはそれまでに見せていた力強さと,凄くギャップがあってラストシーンの感動をさらに盛り上げていました。立っている人は同じで,衣装も同じなのに,ラストシーンとエンディングには寂しそうな感じ,弱々しそうな感じが出ていたのは,流石だと思いました。
  • 大西さんは最初のロボット声から,次々登場してくるキャラクターの多彩さがやはり魅力で,今回の作品ではさらに上下運動の多さが加わって,小さな空間が大きく見えるほど動き回っていた印象がありました。ラストシーンで本当に涙を流している所は,思わずそのままもらい泣きをしてしまいそうなくらいでした。
  • また事前ツイキャスでも仰っていましたが,お二人とも脚本をもの凄く大切にされていて,忠実に作品を表現されている様子がなんだかとても嬉しかったです。(お客さんに振ったギャグの展開がうまくいかなくてもNo問題かと)
  • 笑いのシーンはそれほど多くない印象でしたが,それでもちゃんと笑わせるところは笑わせに来ていて何度声を出して笑ってしまいました。
  • この作品を観るのは3回目のはずなのですが,回数を重ねるごとに,涙腺がゆるくなっているのではと思うほど,開演直後から涙が止まりません。アンドロイドがただ言葉を交わしているだけなのに,ただ記憶をたどっているだけなのに。
  • エンディングの花畑は若い女性の設定とのこと。傍らで観ている加東さんが寂しそうに佇んでいる一方で,大西さんが元気そうに振る舞っている対比がとてもキレイでした。
  • 須川忠俊さんの音響は一番良いタイミングで最高の音楽がかかっていて,理想的な展開でした。あの音楽を単体で聞いたとしても舞台が蘇ってくる位です。本気で惚れ込んでます。
  • 河上賢一さんの照明も青い照明がとてもキレイで,クライマックスに照らす範囲が小さくなっていたところを含めて大好きです。
  • とにかもかくにも,メビウスという素晴らしい作品を東京という場所でもう一度見せて頂いて本当に感謝感謝です。

素敵な75分間を過ごすことができました。まだまだお席には余裕があるそうなので,多くの方に観て頂きたい作品です。超オススメです。

 

【6/29~7/3】劇団GAIA_crew番外公演「メビウス」 予約開始! – GAIA_crew Information

2018/07/07追記:

その後,Bチームについても7月2日の回に観劇することができましたので,感想を追加しておきます。

  • 園崎さんの七色の声は流石でした。幽霊のシーンと,絵描きのシーンで本当に別人かと思うほどの演じ分けで,冒頭のロボットのシーンも産業用ロボットが本当に喋っているかのような錯覚を覚えたほどでした。

  • 土性さんはAチームとはまた違ったワイルドさがあり,園崎さんとのコントラストもあって,飽きずに舞台を見ることができました。
  • なお,この7月2日の回は,BASE Theaterが通路までお客さんでいっぱいで,本当に魅力たっぷりの作品だと改めて感じました。無理して観に行って良かったです。

  • (ちなみにサクラ大戦Vにハマって,紐育レビュウショウにも行ったことがある人間だったので,75分間もたっぷり芝居が拝見できてとても嬉しかったです)
  • ラストシーンですが,園崎さんが箱馬にもたれ掛かって,目を閉じたあと右腕が滑り落ちる辺りは、思わずそう来るかーと唸ってしまいました。あのラストシーンはチームによって本当に解釈が異なる所なので,楽しみなところであります。