リブラリウスと趣味の記録

観劇とかパフォーマンスとかの鑑賞記録を淡々と。本務の仕事とか研究にご興味ある方は本家ブログまで( http://librarius.hatenablog.com/ )

【観劇ログ】片岡自動車工業 vol. 4 「お局ちゃんご用心!」

どうも。イマイです。

本日は片岡自動車工業の2本立て公演(Vol. 3とVol. 4)のうち,「お局ちゃんご用心!」の方を観劇に,大阪のHEPホールまでやってきました。関西遠征を普通にやっていたので意識していませんでしたが,約半年ぶりだったことに気がつきました。

HEPホールに来たら,先ず確認するのがHEP FIVEのあちこちに置かれているHEPホール公演案内のポスターです。こちらのラインナップに掲載されていることを確認すると,なんだかテンションが上がってきます。

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そして8階へ向かう階段に置かれている「本日のイベント」の看板。受付開始前に思わず写真を撮りたくなるポイントです。

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そして,今回の公演ポスターはこちら。

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カッコ良かったので,物販でポスターを購入したほどでした。

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1.開演前

今回,作演出をされている片岡百萬両さんといえば,私はミジンコターボのことを思い出します。個人的な思い出ですが,この解散公演のとき,片岡さんに「次回作は絶対来ます」と申しあげて握手しておきながら,スケジュールが上手く合わず,片岡自動車工業の過去2作品を観られないままでした。

librarius-theater.hatenablog.com

今回は6月15日(金)から6月24日(日)の10日間で,かつ週末を2回も含むというサービスの日程のおかげで,2作品のうちの1つだけですが,ようやく観るチャンスができました。安心して楽しめる空間だったミジンコターボさんの公演。もちろんそのままではなく,さらにバージョンアップされていることは間違いないことは,過去2回の公演ツイートから垣間見ておりましたので,とても楽しみにしておりました。

受付を済ませ物販で必要なものを購入した後,周りを見渡すと,早速,非日常の空間に連れて行ってくれるアイテムがそびえ立っていました。

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記念撮影スポットです。RJカフェさんとコラボレーションして,実際に物販でも売られている食べられる器>ゑこぷれつそ」のオブジェとともに,ポスターを背景に撮影ができるようになっています。このコラボの詳細は片岡百萬両さんのツイートをご確認下さいませ。

「良かったら写真撮りますよー」と気さくに仰って下さる制作の方のご厚意に甘えまして,写真を撮って頂きました。お陰様で良い笑顔で撮れました。

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こんな感じで,開場前からとても楽しめる空間が広がっていて,これだけでもワクワクしてきます。

開場して,客席に入ると舞台上には大きなスクリーンが広げられていて,桜の花びらを背景にOTBNCとOH! TSUBONE CHANGの文字が。そしてスクリーンの左右には薄桃色の柱が上手と下手に一つずつ立っていて,灯籠が上手側と下手側の両方に上下二つずつつり下がり,雲を模した飾りが上下に一つずつ配置されています。 

開演10分前には,片岡百萬両さんが舞台に登場。開演前の諸注意かと思いきや,6月18日(月)の大阪の地震について触れ,色々あるかも知れないけれど楽しんで欲しいということと,万が一の際にはきちんと誘導するということを,ジョークを交えながらも真剣に説明されて行かれました。とても大事なことだと思います。

 さて,千穐楽前ですので,ネタバレ防止の改行連打を致します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2.あらすじなど

今回の「お局ちゃんご用心!」のあらすじは下記の通りです。

超問題作「儂が燃えて死ぬまでの噺」から七年の時を経て、片岡百萬両の時代劇シリーズ書き下ろし作品を珠玉の出演者陣でお届けいたします!!2018年6月、梅田HEP HALLにて片岡自動車工業がお披露目するのは世代を超えた時代劇、最新作・弐演目同時上演!!

(中略)

「お局ちゃん御用心!」
春日局が作った大奥。男はみんな戦で出払った。女だらけの大奥で切った張ったの大口論。
局の無茶をみんなで聞いては涙が流るる台所。女が守るは立場と権力。ここから先は男性入禁。
言い訳、言い逃れ、理屈、屁理屈の四の字固め、完全ノンストップの悪ノリ大奥大活劇。

( https://stage.corich.jp/stage/90536 より引用)

あらすじからもうかがい知れるように,これこそエンターテイメントの作品です。

開演と同時に,キャスト全員が舞台上に腰掛け,全員での群唱が始まります。息の合ったタイミングで物語の背景が説明された後,物語の主人公である「お局ちゃん」が満を持してセリフを言うかと思いきや,「お江」が先にタイトルコール!私に言わせてよと突っ込みながら物語が始まります。

こんな感じで,終始個性的すぎるキャラのセリフの掛け合いに爆笑しながら,テンポ良く物語が進んでいきます。それぞれのシーンの切れ目では,舞台上下手側にあるスクリーンに「~幕 *****」というようにそれぞれのシーンタイトルが上演されていて,非常にわかりやすい構成になっています。

大奥で繰り広げられるツッコミどころ満載の日常風景と,お局ちゃんの活躍,そしてお局ちゃんを狙う陰謀,江戸城の大奥で繰り広げられるドタバタ劇の結末は,ぜひ劇場で目撃して下さい。 

3.感想

  • 開演前に片岡さんが「肩の力を抜いて楽しんで欲しい」と仰っていましたが,肩の力を抜いて思いっきり楽しんでいました。楽しい!と心から申し上げられる素晴らしい公演でした。
  • 冒頭の群唱からはじめ,ドタバタが続くのですが,どれも周到に準備されていて,計算して笑いを取りに行っているエンターテイメントでした。
  • 映像による効果音の字幕や,シーンごとのタイトル表示,ビンタをしたときの画面効果を始め,普段演劇を観ない人でも飽きずに楽しんでもらえるだろうなという仕組みがあちこちに含まれていて,観劇初心者にも勧められる舞台です。
  • 途中の「休憩」と銘打たれたシーンでは,まさかの衣装を脱いでゼッケン姿になって,全員が殺陣芝居の稽古を始めるシーンがあります。休憩の後に続く文字が「関西小劇場に蔓延する殺陣芝居~」とあり,非常にタイムリーなネタを突っ込んでくるなあと思いながら,ちょっとヒヤヒヤしながらゲラゲラ笑ってしまいました。まあ,殺陣芝居をバリバリにやっている劇団に所属している安達さんが舞台上にいるので,全く問題なしだと思いますが。
  • 女優陣は関西小劇場の魅力的な女優さんが勢揃いして,本当に達者な方ばかりです。一瞬の照れでもあったらあっという間に冷めてしまう作品だと思うのですが冷める瞬間は全くなく,最後まであっという間だった印象です。
  • 竹千代を演じた中元優那さんは,ズルいと思うくらい,一挙手一投足で爆笑させていただきました。竹千代がオッサンのセリフを発するとあそこまで面白いのかという新しい発見がありました(何)。
  • 他の方もたくさん書いていらっしゃいますが,劇団壱劇屋さんの安達綾子さんが,あそこまで笑って天真爛漫になっているのは初めて拝見したかもしれません(普段,壱劇屋さんの物販で笑顔で販売されているので笑顔自体は拝見していたのですが,舞台上でということで)。
  • クライマックスで,斉藤役の満月動物園の諏訪いつみさんがダンスするシーンはそれまでのドタバタとはまたリズムが変わって,思わず見とれる美しさがありました。
  • 個人的には映像越しではなく,初めて生の舞台上で延命聡子さんを拝見できたのがとても嬉しかったです。さすが怪演と呼ばれる演技を数々の作品でこなしてきた方で,迫力ある幽霊でした。
  • この他のキャストさんも,全てどのシーンでこの演技をされていた方だよなと,ハッキリ思い出せるほど,魅力的なパフォーマンスをされていらっしゃいました*1。2回目が見られないのが残念なくらいでした。

余計な頭を使わず楽しめる作品でありながら,思い返してみると,個々のシーンでは緻密に細かいところまで(セリフのタイミング1つ1つまで)配慮されていることに気づきます。関西まで観に行って良かったと思える公演でした。

ようやく拝見できた片岡自動車工業さんの公演,次回もきちんと拝見できるようにスケジュール調整ができる余裕を身につけておきたいと思います。

stage.corich.jp

 

*1:コメントを書かないからと言ってダメだったーという訳では決してないので,念のため。