リブラリウスと趣味の記録

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【観劇ログ】ノアノオモチャバコPresents『有川さんと10人くらいの美女?たち』

どうも。イマイです。

土日連続観劇をして観劇ログを連続で書く!と思っていたのですが,案の定失敗しまして時間がたってしまいました。誰も待ってはいないと思いますが,記憶が薄れる前にログを書いてしまいたいと思います。

3月18日(日),私が追っかけをしている京都の劇団,劇団「劇団」(通称:ゲキゲキ)の松田悠さんからお誘いをいただき,私として珍しく,初めての東京出身の劇団さんを見ることとなりました(普段は関西小劇場を見ることが圧倒的に多いので)。

劇団さんの名前はノアノオモチャバコ。コメディという情報以外は全く入れず,下北沢の駅前劇場へと向かいました。

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 1.ノアノオモチャバコさんについて

Corichのプロフィール欄を拝見すると次のような記載がございます。

上智大学ロシア語学科に在籍していた寺戸隆之(脚本、演出)が、2001年に始めたユニット活動が母体。俳優・ダンサーを所属メンバーに加え、2006年に劇団化。

「芝居の一つ一つのシーンがまるで油絵のようだった。音響、照明、役者の立ち位置を駆使してシーンを構成する手腕に感心させられた。」(京都舞台芸術協会コンペ講評)と評される、繊細な空間造形と身体の連動によるダイナミックな変化を持ち味に、創作戯曲の上演のほか、海外・日本戯曲のリクリエーションを多数行なっている。

( https://stage.corich.jp/troupe/596

このブログを書くためにプロフィールを拝見して,なるほどやっぱりそうかと膝を打っております。後の感想でも触れますが,このプロフィール通りの場面がいくつも出てきました。

2.開演前

駅前劇場はずいぶんご無沙汰で,今調べたら2013年の9月に悪い芝居さんを観に来て以来ということが分かりました。あまりにご無沙汰だったので,受付開始列を間違えてOFF・OFFシアターさんの方に並んでしまったほどでした。でも微妙に受付開始時間がずれていたので,間違えてもダメージは少なく,2番目に受付して入ることが出来ました。

劇場内ロビーの椅子に腰掛けて,壁のアナログ時計に時間を感じていると30分はあっという間。開場して劇場内に入ると,前列はステージの前まで椅子がびっしりと並んでいました。さすが満員が予定されている千穐楽公演です。一瞬迷いがありましたが,遠慮なく最前列の中心に陣取ることと致しました。

舞台セットはかなり凝っている感じ。凄いなーと花粉症悪化のボケた頭で,手元の当日パンフをめくったところ,目に飛び込んできたのが「図書館」の文字。え,図書館が舞台なの?とその段階で気づきまして,慌ててメモの用意を始めました(これでも本業は図書館関係者でありまして…)。

というわけで,当日のメモに従うと,下記のような舞台セットでありました。

  • 舞台後方にハードカバーの表紙を模した壁が上手側から,赤,紫,紫,黄,赤,青で並んでいます。
  • 黄色の壁の前にテーブルと椅子が2脚,舞台前方に向けておかれています。
  • 下手は二段高くなっていて,スタンド灰皿と丸テーブルが置かれています。椅子が上手側に4脚置かれていて,赤いカーペットが敷かれており,バーのラウンジのような印象を受けます。
  • 前方下手に弧を描いたウッドカウンター。カウンターの上には洋風ランプとアンティーク電話器が置かれています。カウンターの真ん中はくりぬかれていて,2段の棚になっています。上側にはフルーツのバスケット,下には木の宝箱の置物が収められています。

 Stereotypeに出てくる図書館と言うよりは,少しオシャレな感じの都会のビルにある(実際セリフの中にビルの中にあることが言及されている)図書館スペースという感じでありました。

 以下,ネタバレが含まれるので,改行連打を致します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3.あらすじ

 以下,フライヤーからあらすじを引用します。

有川さんについて語る“美女”たちが集まる部屋。
「素敵な人よ」
「身長が180cm超えなんだって」
「東大よ東大」
と有川さんの噂話を
繰り広げる女たち。

そこへ現れた有川さんに,
彼女たちは微妙な視線を向ける。
その空気に耐えかねた有川さんが
「誰が美女だよ!」と叫ぶと,
女たちは「誰が有川だよ!」と
言い返し…。

物語が始まると,そこはどこか分からない場所。主人公の大久保さんは外をのぞき込みながら,自分が見た夢は良く現実になるんだという示唆的なセリフを語り出します。どうも大久保さんは何かを有川さんに伝えたかったようです。

場面が切り替わり,10人くらいの美女が集まって,有川さんを待ち望んでいると口々に語り出します。単なる会話だけでなく,身体表現も混じって大騒ぎになるうちに,主人公の大久保さんの夢が覚めます。

大久保さんは「空と海図書館」で働く女性。来館者数が減少してピンチの図書館に,起死回生のイベントとして,マスコミ嫌いで有名な作家,「アリカワマコト」を講演会の講師として招くことに成功します。権威主義で講演会なんかに頼るより本の力を信じろとミーティングで西脇館長は愚痴りますが,大したアイディアはなく,それほどの人望もないため,同僚の竹内から堂々とブーイングされる勢いで,講演会の準備が進んでいきます。

本編では,なかなか登場しない有川さんを待ち焦がれる10人くらいの美女(とそうでない方)のやり取りが繰り広げられる大久保さんの夢の中と,現実世界の喧噪が交差していきます。図書館にはストーカーやら,熱狂的な「アリカワマコト」ファンが現れたり,ようやく登場した「アリカワマコト」はとんでもない人で…と講演会当日までの話が中心であるとは言え,次々と物語が展開していきます。

「アリカワマコト」は果たして講演会に登場するのか,そして大久保さんの予知夢は現実となるのか,その結末はぜひ劇場もしくは公演DVDでご確認下さい。

4.感想

  • エレクトロ系の音楽に沿って,夢へと切り替わる辺りは単なる場面転換ではなく,どこかファッションショーの場面を思わせるような優雅さを感じました。それだけでなく,転換の手際の良さが洗練されていて、オシャレな感じが凄く印象に残っています。
  • 小さな舞台にひしめき合った変幻自在のキャラが心地よいです。それぞれのキャラクターは大人しく隅っこで我慢しているキャラは誰もいないくらい,個性が強く,思わず声に出たにしてはフリーダムすぎるだろとツッコみたくなるほど,生き生きとしていました。おとなしめなキャラも最後にはちゃんと裏の顔を持っていましたし。もちろんこういう展開は私は大好物です。
  • もちろん舞台だから,個々の発言やリアクションは強調されてはいるのですが,たとえ現実であっても,主人公である感受性がやたら強い大久保から見たら周りはそう見えているんだろうなーとも思いました。
  • 舞台となっている図書館は,どういう図書館かは明確には現されていませんが,おそらく公立図書館だろうなあと思います。あと,ビル入り口から図書館があるか分からないというセリフから判断するに,建物全体のサインに手を出せない所や,館長がコネであっさり変わるあたりを踏まえると,直営と言うよりは委託かなぁという余計な考察もしてしまった次第です。
  • 館長が現代の図書館関係者としては,やたら良書主義かつコレクションが良ければ周りは付いてくると言いつつ,来館者数をやたら気にしている一方,周りのスタッフはイベントをやって来館者数を増やさなければいけないんだと意気込んでいる辺りが妙にリアルだなと思いました。しかも,館長の行動が不自然だなあと思っていたら,オチを見たら納得の展開でしたし…。
  • 10人くらいの役者さんはどの方も印象的でありましたが,カウンター役の さんや, 役の  さんは大人しいときと,活発的な所のギャップが凄く,何度も吹き出してしまいました。
  • お誘い頂いた松田悠さんは,冒頭のストーカーの粘着質なところから,宴会でのパーリーピーポー,終盤での伝達役での張り倒され加減,イベントボランティアでの役立たずな感じを含め,多彩な感じでした。ゲキゲキの公演やオフショットで今まで拝見している魅力のほとんどがカタログのように拝見できる美味しい役でして,お目当てだった私としては大変に満足でありました。

私自身の体調が良くなかったので,物販もちゃんと拝見せずに劇場を後にしてしまったのですが,本作品のDVDが出来上がったらもう一度見返してみたい作品でしたし,過去作品も機会があったら拝見したいなと思いました。こういう出会いがあるから,誰々さんきっかけで初めての所を観に行くということは止められないのです。

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