リブラリウスと趣味の記録

観劇とかパフォーマンスとかの鑑賞記録を淡々と。本務の仕事とか研究にご興味ある方は本家ブログまで( http://librarius.hatenablog.com/ )

【観劇ログ】劇団壱劇屋「戰御史-Ikusaonsi-」

どうも。イマイです。

5ヶ月連続公演のための大阪遠征もいよいよ4ヶ月目。HEPホールまではそろそろ周りを見渡さなくてもたどり着けるようになりました。

1.はじめに

この前振りをすれば敢えて紹介する必要は無いかと思いますが,本日も劇団壱劇屋さんの「五彩の神楽」を観に,大阪HEPホールまでやってきました。

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 HEPホールの公演案内には,何と壱劇屋さんが2つも載っています。多彩なラインナップが掲載される公演案内に,同じ劇団の異なる作品が2つ掲載されているというのは珍しいパターンなのではないかと思いました。

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 エスカレーターを1つずつ上がって,7階の洗面所で独鬼のTシャツに着替え,受け付け開始の14:15をまって,8階への階段を上がっていきます。さあ,五彩の神楽の4ヶ月目の開始です。

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恒例となった物販での台本,今月公演の限定缶バッジの購入を済ませ,劇団員さんの名字が入ったバッジの売れ行きを眺めていると,開場時間となりました。客席に座って,スクリーンでこちらも恒例となった開演前のPV上映を眺めております。

先月の心踏音のPVもこの中に含まれています。音楽と写真の巧みさが,先月の感動をもう一度呼び起こしてくれます。 壱劇屋さんの開場中のPV上映はひたすら気分が上がって良い感じなので,本シリーズ以後も是非続けていただけると嬉しいです。

開演前の前説は,大熊さんが今回主演キャストと言うことで西分綾香さんが登場。大熊さんと異なったアプローチでのアイスブレイクを行った後,来月の荒人神のPVが上映されます。

か,かっこいい…。思わず目が潤むのを感じていました。1クール続いてきたアニメーションの最終回予告を思い出させるような,過去作品の振り返りを含むPVで,ムチャクチャカッコ良いです。

PV上演後,昨年のシャドウトラフィックでは伝説(?)になった,カンペ読み上げ式の開演前の注意事項説明が行われました。素っ気ないように見えるのですが,もし「本作は静かなシーンも多くあります。携帯電話が鳴ったら,本作では意味のある音になってしまいます」との説明に,西分さんや壱劇屋さんの熱い気持ちが伝わってきて嬉しくなりました。

では千穐楽がまだ終わっていませんので,ネタバレ防止の改行連打をいたします。

 

 

 

 

 

 

 

 

2.あらすじ

物語のあらすじは下記の通りです。

これは“戰”の物語

ある夜男は嵐に襲われる
駆け込んだ屋敷で男は男に出会う

床には不規則に並べられた数多の刀
微笑みながら男は男を見つめる

男はその光景に見覚えがあった
男は語り始める
男の物語を

これは“戰場”の物語
この記憶の主は、果たして
http://stage.corich.jp/stage/84082 より引用) 

3.序盤の展開

開演すると,マイムで舞台の行軍が表現されます。これまでの3作品と比べて,現代的な軍帽なども登場しています。行軍の間,表助の関節は不規則の動きをし,壊れかけのロボットのような動きを見せます。その刹那,強い雨音が舞台を包み込みます。表助と後助が,雨宿りをするための場所を二手に分かれて探します。そして表助は何の変哲も無い建物に入ります。強い雨音がまだ周りを包み込む中,目の届く範囲の狭い空間でしかない,その建物で外套を脱ぎ,雨を払う表助。

誰もいないはずのその空間に,突然ろうそくが点ります。驚いてそのろうそくの先を見ると,そこにはろうそく男がたっていました。ろうそく男は支度を行い,表助に食事を振る舞います。お膳を前に対面する表助とろうそく男。左利きの表助が箸でご飯に手を付けようとすると,ろうそく男は右手で箸を同じように動かします。まるで二人は鏡合わせのように同じ動きを続けます。

やがて表助はその奇っ怪さに驚き,手を止めます。ろうそく男はその驚きを見透かしたかのように,違う動きを取ります。警戒しながら食事を取っている表助の所へ,遅れて後助が登場します。後助はろうそく男がまるでいないかのように,ろうそく男のお膳に手を付け,食べるだけ食べて寝てしまいます。

ろうそく男がお膳を片付けようとしますが,表助は用意してもらった御礼とばかりに自らお膳を片付けます。片付けが済み,後助の寝息が聞こえる中,表助とろうそく男は座布団を敷き,向き合って正座します*1。ろうそく男が指さす先には,なぜか真っ白な剣が刺さっています。その刀に近づき,剣を抜くように促すろうそく男。気味悪がって,近づくだけに留める表助に,突如,ろうそく男が斬りかかってきます。

危ないと,真っ白な剣を取って応戦しようとした瞬間,表助の意識は遠のいていきます。薄れる意識の中で,表助の記憶は違う人物の記憶と重なりました。そして,表助は現代と記憶の世界を行ったり来たりします。顔無,大男,女頭領の記憶を追体験する表助,そして狂人の記憶…。はたして表助とろうそく男は誰なのか,そして後助は何を知っているのか,この物語の結末は是非劇場で目撃して下さい。

4.感想

公演間の限られた時間で表現するために,思ったことを箇条書きで並べます。でも今月はこの少ない執筆時間では表現しきれない,好きだぁぁという感情に溢れていることは,どうしても伝えておきたい次第です

(2017/11/26 12:59追記:感想の箇条書きを追記しました)

  • 観終わったあと,「やばい,これ好きなやつ…」と思ったほど,4ヶ月の作品の中で一番のお気に入りです。(もちろん,ここまでの3ヶ月のどれもお気に入りなのですよ)
  • 殺陣のスピードやメリハリの強さ,不可思議な空間の作り方,物語の余白,キャストさんの立ち回り,音,照明,衣装の全てが完璧に飛び込んできました。色々想像を巡らせる幸せを感じております。
  • 舞台上がスクロールして三画面くらい使ってるのではと錯覚するほど,舞台の横幅の限界を忘れてしまうほど,真ん中のセットの動きが舞台全体の広がりを際立たせていました。それだけでなく,今回の作品は前後もかなりフルにつ活用されています。それこそ最前列で刃先がこちらに当たるのではないかと思うほど前の列までギリギリのところまでアクションが行われています。
  • 今回のセットので,階段付きの台と脇にいくつかの引っかかりが付けられた台の二つがあります。この引っかかりが付けられた台が何度も舞台上を左へ右へ,前へ後ろへと動いていきます。この引っかかりは壇上に上がるために使わないだろうなと思っていたところ,足を引っかけて上ったり,動かしているそのタイミングで飛び移るの?というところで,舌の台が動いている最中に飛び移ったりして,良い意味で何度も驚かされました。動く足場に飛び移るのは,ロックマンの世界だけと思っていましたが,今月の壱劇屋さんでも何度も体験できます。
  • DVDをいつもは一枚のところ二枚予約したくらい好きです。
  • 初見でヒントなしに見た時には,「武器」が意志を持って立ち上がったと考えて見てました。武器の墓標に霊媒師が迷い込んで,武器の記憶を再生していたのではと思っていました。観終わって台本を読み込んでいると,その解釈ももしかしたら許容されるのではと思うほど,色々な解釈を許す余白があります。
  • 赤星さんと大熊さんのラスボス感は半端ありません。赤星さんの不敵な笑みは,寒気を覚えるほどの怖さですし, 大熊さんのマイムで描かれた序盤の奇妙な動きは死者を思わせる強い印象を持たせる動きです。 
  • 駿九郎さんとサリngさん、満腹さんのキャラクターの強さも印象に残ります。駿九郎さんの動きは,他の回であればおそらく主役クラスなのではと思わせるほどの的確さや躍動感でした。サリngさんの立ち居振る舞いは,華があってこちらも印象的です。 満腹さんの背の高さは,マッシュアッププロジェクトのWindows5000でも目撃していたはずなのですが,スキンヘッドの迫力とも相まって,物理的な迫力満点でした。
  • (追記)2回目観たときに,まだまだ魅力的なシーンを見逃していたことに気がつきました。終盤のモブの皆さんが入れ替わり立ち替わり戦い続けるシーンは,このシーンだけ切り出して保存しておきたいくらいカッコ良いシーンです。
  • (追記)赤星さんが数メーター後ろを見ずに背走するシーンは,サラッとこなしているところですが,かなり難易度の高いシーンではと感嘆しました。
  • (追記)大熊さんのマイムの動きはどれも魅力ですが,私は麻酔銃リピートの所を挙げたいと思います。何本も観ているわけではないのですが,とても壱劇屋さんらしいシーンだと私は考えています。
  • (追記)河原さんと赤星さんが移動する台に跳躍して飛び移るところは,まるで映画のワンシーンを観ているかのような迫力がありました。映像ではどうなっているのでしょうか…。

 さて,2回目の受け付け開始時間が迫ってきました。ひとまず取り急ぎ観劇ログをまとめておいて,2回目の観劇後,色々追記できれば思っています。

stage.corich.jp

 

*1:これが二人とも背筋がピンとしていて,とても姿勢が良く,ただただカッコ良いのです…。