【観劇ログ】劇団シアターザロケッツ プロデュース公演vol. 4「雨のち晴れ」
どうも。イマイです。
怒濤の観劇日程がスタートしました。6月1日までの2週間で6本という立て続けのスケジュールです(もちろん推し事お仕事はちゃんとやるお約束で)。
1本目は出演者の堀木さなさんにお誘い頂き,劇団シアターザロケッツさんのプロデュース公演「雨のち晴れ」を観に来ました。中野のテアトルBONBONが会場で,本作は何度も再演を重ねたという伝説の作品のようです。
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1.開演前
今回,特徴的だったのは,劇場前の掲示です。開場時間,開演時間,終演予定が書かれているところは普通なのですが,その横に下がっているのは「只今 準備中です」の札です。劇場入り口には,いかにも中華料理店と思われる暖簾がかかっていて(撮影するのを忘れてました…),雰囲気たっぷりです。こういう細かいところに気を配れる劇団さんはとても良い劇団さんです(自分調べ)。
受付を済ませて(指定席なので,自由席の時にありがちな席取りが生じないのが嬉しいです),台本を買って,客席に上がると目の前には中華料理店のセットが広がっていました。劇団さんのTwitterを引用しますが,こんな感じです。
絶賛開店準備中!本日も全員一丸で営業致します!!昼夜共に当日券も出ます、急にご都合ついた方、迷われてる方、ぜひ!!喜怒哀楽フルコースの中華料理屋にてお待ちしております!
— 劇団シアターザロケッツ (@gekidan_ROCKETS) May 23, 2019
公演HP:https://t.co/ig0xt8s62S#雨晴れ2019#昼回はアフタートークあり#一男の部屋 pic.twitter.com/3haZGfPtmK
いちおう,文字情報でも書き出しておきます。
- セットは中華料理店の店内が再現されている
- 机が2つ、椅子はそれぞれ4脚ずつ。
- 調理場前のカウンターがあり、丸椅子が4脚並んでいる。
- 真ん中下手に調理場からの通路と思われる入り口(薄い色の暖簾がかかっている)。
- 下手側にも建物内部への出入り口。
- 上手側端に店舗入り口。入口には中華料理店の暖簾あり。
- 店舗入り口そばにレジスター、レジのそばにはマンガ雑誌が詰められた三段の本棚。本棚の上にはラジカセ。
では,再演を重ねた作品ではありますが,これからご覧になる方のために,ネタバレ防止の改行連打をしておきます。
2.あらすじ
劇団の公式ウェブページによれば,あらすじは下記の通りです。
---そこは、とある町の中華料理屋。
これはそこで働く兄妹と、兄妹を取り巻く周囲の人々との物語 ―。
早くに両親に先立たれた大塚陽介は、
年の離れた妹、晴美と共に中華料理屋を懸命に営んできた。
しかし最近のお店は閑古鳥。
店の経営が心配される中、突然店を買い取りたいという男が現れる。何とかしようと周囲の人々があれやこれやの大騒動。
しかし、その店には少し不思議な噂があって……。
( http://theatertherockets.wixsite.com/amehare2019/blank-3 よりの引用)
開演すると,そこは中華料理店の雨降るある一日のやり取り。バイトの田端と大崎,陽介がやり取りをしながら,晴美が場を和ませるような空間が展開されます。雨の中,晴美は2度目の買い出しへ。ふと陽介が一瞬止めますが,そのまま晴美は雨の中へ。
場面は変わって,また中華料理店の店内でのやり取りが続きます。閑古鳥が鳴く店に,昔バイトで働いていた品川が訪れ,閑古鳥が鳴く店のことを嘆きます。そこに,陽介の先輩の上野がやってきて,店を買い取りたいという人がいると言って,神田を紹介します。しかし,とある理由から陽介はそれを固辞します。神田が去り際に残したこの店には妙な噂があるとの言葉が気にかかります。
このままでは店が潰れるとの知らせに,バイト3人がやっているバンド「たんめんズ」のファンの秋場,上野の妻の雅美,店の常連の五反田を巻き込んで,大騒ぎな物語が展開されていきます。是非結末は劇場でご覧下さい。
3.感想
- こんなの久しぶりではないかと思うくらい,ボロボロ終盤は泣いていました。晴美が亡くなっている予感は冒頭から少しずつしていたのですが,晴美が陽介の前で前と同じ行動を,相手がいないのにも関わらず繰り返しているシーンは,怖さを感じるくらい不気味で,でもこの物語の核心を「死んでいる」という言葉を使わずに,これ以上無く適切に表していて強く印象に残っています。
- 前半のコメディータッチが後半への前振りと思える位,ギャップがあって,物語に引き込まれました。たぶん再演を重ねるごとに色々進化しているんだろうなあと勝手に考えていました。
- 流石再演と思うほどの安定感で,中盤からはすっかり安心して作品世界に浸っていました。
- 物語の序盤は何かぎこちないのでは…と思う瞬間もあったのですが,思い返せばその不自然さこそ後半への伏線だったと思います。観終わった後,あの序盤がどういう意味だったのかと思い出して,また目頭が熱くなるモノを感じました。
- 3人組は見事なほどの凸凹振り。私は品川を演じていた大橋篤さんが一番余裕ありそうに,かつ悠々としながらも大暴れしていたのがお気に入りでした。
- 台本を買っておいて,良かったと思います。観劇ログを書くために読み返していますが,スケジュールが埋まっていなかったら2ステージ目を見たいとも思うくらいでした。
- 堀木さんは,偵察に来て彼氏と喧嘩して,小さな声ですごむところがとても印象的で,それまでの天真爛漫っぷりからのギャップがあって好きでした。品の良さのようなものを初めて拝見したときから感じていてこの舞台でも良い感じで作用しているように思っていました。なんで品の良さが良い感じに繋がるのかなーと思っていたのですが,そう天真爛漫っぷりを表現するときに自然な感じになるからなのだと先ほど気がつきました。
- ほんとに,ほんとに優しい世界でした。誰も悪い人ではないので,終わった後,心が温かくなる感じがしました。
- 繰り返しになりますが,何回も再演されたのが納得の作品でした。舞台でちゃんと見られるうちに出会えたことは何よりの幸運です。
まだまだ公演は続くようなので,ご興味のある方はぜひに。一度は見ておきたい優しく,そしてちょっと悲しい物語でありました。