【観劇ログ】劇団フェリーちゃん第三の航海「マクダバ・タリーク」
どうも。イマイです。
先ほど観劇ログ(未着手)と書いた記事を2つUPしました。ちょっと色々立て込んでおりまして,本当に書く時間が取れなかったので書くつもりですよーという意思表示だけでもと思いまして,UPした次第です。作品を作って下さった皆さんには申し訳ない限りなのですが,書く時間が取れ次第,(未着手)にならないようにしたいと思いますので,どうぞよろしくお願いします。
1.はじめに
さて本日は私の本職である学校図書館と,つながりを持たせて頂いている劇団フェリーちゃんの最新作を観に来ました。劇団フェリーちゃんとは,9月15日(土)と16日(日)にSLiiiCサマー・ワーク・キャンプ2018(SWC2018)というイベントを一緒にやります。
なんと,単なる研修イベントではなく,学校図書館を舞台とした30分の短編作品も上演してしまうという豪華プログラム。なんと,新宿シアター・ミラクルで行います。たぶん今年,学校図書館関係の団体で小劇場を開場して研修を行う団体はたぶんないでしょう。
そんなユニークなイベントの宣伝を貼り付けておきます。残念ながら既に満席ですが,当日券を出す予定なので,どうしてもという方はそこに賭けて下さいませ。
さてこの劇団フェリーちゃんは,このユニークなイベントと同時並行して何と本公演,もちろん新作の上演をするというスパルタなステキな取り組みをされています*1。というわけで,今日は1年ぶりに新宿シアター・ミラクルまでやってまいりました。
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2.開演前
受付開始時間前に会場に到着すると,劇場前には下記の案内が掲示されています。マクダバ・タリークとともに,SWC2018,そしてSWC2018内で上映する「新涼灯火の司書物語。」のフライヤーも掲示されています。
エレベーターの扉が4階で開くと,そこには横に2つの長机があり,物販コーナーと受付が作られていました。受付で手続きを済ませて,客席に入ります。プレミアム席の特典を活かして,前方一列目の席に着席。パイプ椅子に腰掛けた足の先5cmほど先はもう舞台の最前列になるという近さ。手を伸ばせば届く距離でキャストさんたちがいるという状況です。
色々荷物の整理をした上で物販コーナーを見ると,種類豊富なラインナップとなっています。劇団フェリーちゃんとしては初めて見かける「パンフレット」と,本作品と前作「絡繰ぽっぺん」の台本を買い求めました。舞台上でも複数のキャストさんを交えて,物販コーナーが展開されており,ついつい財布のひもを緩めてクリアファイルを購入いたしました。
舞台上に目をやると,上手と下手の天井付近にアラビア風のランプが3つずつ吊られていて,舞台中央後方に白い長い段が置かれています。舞台中央からそれぞれ上手と下手に,ハの字の形に壁が作られており,そこには象形文字のような絵柄が描かれています。
マクダバ・タリーク,マクダバとはアラビア語で「図書館」,タリークとは「道」。図書館と道,これが舞台作品にどう関わってくるのか,キャストさんたちの賑やかな物販コーナーを見ながら色々と想像を膨らませていたら,あっという間に開演時間となりました。
それでは千穐楽もまだなので,ネタバレ防止の改行連打を致します。
3.あらすじと序盤
公式ブログによれば,物語のあらすじは下記の通りです。
カーラ・サータ〈光の大陸〉は元来ひとつの王権が治める土地であったが、現在はバナフサシュ・ハルク〈すみれの野原〉とサフサール・タル〈やなぎの丘〉の2つの地域に分かれ、それぞれに王朝が成立している。
バナフサシュ・ハルクの貧民街の出身であるアルドゥは、王女マリカとの身分違いの恋を、精霊バルルの力を使って成就させ、その婚礼の儀が執り行われようとしていた。アルドゥの幼馴染たちも王宮に招かれ、国政の変革に期待を寄せる。
しかし宴の最中、サフサール・タルの刺客が現れ、アルドゥの命を狙う。貧民街の出であるアルドゥの王位継承を認めず、バナフサシュ・ハルクの王朝を滅ぼし、カーラ・サータの統一を図っているのだ。アルドゥはバルルの力で刺客を跳ね除け追いつめるが、刺客もまた不思議な力でその場を逃げおおせる。アルドゥは、サフサール・タルの側にも精霊がついていることを悟り、2つの地域の境界に位置するマクダバという建造物を訪れる。
延々と続く巨大な壁、マクダバ。そこには歴史上の様々な事象が書き留められている。そこに住まうイルムと呼ばれる女性は、精霊と人との縁を結ぶ力を持っていた。
海、波、そして沼といったように、水に纏わる名で呼ばれる精霊という存在。それは人が実在を望むが故に存在する虚像。存在し続けるために人に依存する、そのために人の願いを叶えるが故、人が精霊に依存する。
人と精霊。魔法と現実。求める幸せは、何故、叶わないのか…。
小劇場でよくあるM0の音楽が大きくなって暗転してから開演というパターンではなく,開場中の音楽が鳴り続き,場内もほどほどに明るい中,タイールとサアダーンの二人が舞台上に登場します。
「しーーッ」
「はじまるよ。」
そのセリフと共に,客席は徐々に暗くなっていきました。そしてキャストさんが次々と客席の通路に作られた花道から登場し,口々に何かを語り始めます。10人以上のキャストさんが口々に語り始めるので,相当集中していないと何を話しているのかさえ分からないほどに,様々な話が飛び交う通路,そして舞台上にただ一人マズリール*2が登場し,次の言葉を発します。
「数え切れない,幾多あまたの物語。すべては,この巨大な壁面『マクダバ・タリーク』に刻み込まれているのでございます。」
「この度もまた,新たな物語をば,読み解いていこうではありませんか・・・?」
物語の語り部であるマズリールのセリフによって,マクダバ・タリークが開演します。そのままマズリールは語り続け,シーン1,婚礼のシーンが始まります。
国王ラバーカが花道から現れ,それまで客席に語りかけていたマズリールに話しかけます。間もなく婚礼が始まるとのこと。この国バナフサシュ・ハルクの王女マリカと結婚するのは,身分の壁があるはずのアルドゥという貧民窟で育った少年でした。
アルドゥがなぜマリカと婚礼を結べたのか,それは鈍い光を放つ大きな貝殻,魔法の切り札でした。この貝殻を吹き鳴らすと,バルル*3という精霊が登場します。この魔法の精霊がアルドゥの「王女様と結婚したい」という願いを叶えた結果がこの婚礼の儀だったのであります。
そうした種明かしが行われた後,マクダバの従事者で祭儀を取り仕切る役目を持ったマズリールは,町の人々とともにマクダバ・タリークを称える歌が歌われるのでした。このように物語の序盤から,小さな劇場の隅々まで使った演出が炸裂していきます。このサイズでは実現が難しいのではと思われる華やかな世界が展開していきます。
キャラクターの名前は,アラビア語でそれぞれ意味をもつ特徴的な名前ですが,その区別を必要としないほど,様々な個性を持ったキャラクターが次から次へと登場してきます。このシーンだけでも,婚礼を祝福する貧民街の友人,サアダーンとナキ。婚礼の儀の証人となるマクダバの番人,ヘクマ。それぞれに特徴的なキャラクターを持っています。
祝福に満ちたと思われる婚礼の儀。ところがその場に突如貝殻の音色が響き渡り,アルドゥに刺客が襲いかかります。刺客の呼び寄せた精霊は「サフバ」。不利な形勢になるとみるや,刺客はサフバにサフサール・タルまでの道を作るよう命じます。
なぜか開場に響くは,クラクションの音とエンジン音。その場にタクシー運転手が登場し,乗車用の絨毯を花道に敷きます。一同あっけにとられ,観客すらも何か置いてけぼりを喰らったような不思議な空気が流れる中,イルムというマクダバの記述者が現れます。
不穏な様子を残したアルドゥとマリカの婚礼はどうなってしまうのか。人間と精霊が,カーラ・サータという大陸のバナフサシュ・ハルクとサフサール・タルという二つの王朝を股にかけて繰り広げる人間模様,その舞台の結末はぜひ劇場で目撃して下さい。
4.感想
- 一言では,作品の魅力を語りつくせないほど様々な魅力に満ちた作品です。決して大きくない舞台スペースで,当たり前のように殺陣の立ち回りが始まってしまうところとか,花道を有効活用して舞台の下手上手からささやきかけるような技法が使われたりとか,ミュージカルファンならばクスリとくるあの歌のモチーフが出てくるところか,舞台表現の技法については本当に多種多様なものが組み合わされていて,飽きることなく1時間45分見ていることのできる作品です。
- 善人だと思っていた人間が人格的に破綻していたり,天真爛漫だと思ったらメチャクチャ深い闇をもっていたりとか。よくよく思い返してみれば,あの世界の人間,全員が裏表という「心の壁」を作っていた人間でした。精霊の方がよっぽど真っ直ぐな感じ。でも観客がもどかしさを感じるのではない,「心の壁」が必然として生じる理由がそこにはあって,納得できる筋書きになっていました。
- マクダバという壁(図書館)に描かれた運命とか物語に,必死に抗う人間模様と抗い切れない感じが何度も舞台上に差し込まれていて,アラビアのファンタジー世界なのか,実は今この場にある世界なのかと何度も混ざりそうになるほど,一人一人のキャラクターの生き様が鮮明に描かれていました。
- エンディング近くまで,劇団フェリーちゃんならでは(?)のキャラクターが死に直面するシーンが何度も出てきたり,心の闇に押しつぶされそうな瞬間が何度も訪れる重い世界なのですが,それを意識させないほどコミカルなシーンが適度に挟み込まれています。ミルフィーユのように積み重なっていく物語や感情の集合体が印象的で、見る人それぞれに何かを思い出させる複雑さがありながら、肩肘張らないで観られる敷居の低さが同居している作品でした。
- マクダバの壁が取り払われて,「何も生み出さない」と意固地になっていたアルドゥの周りには,実は無数の物語が存在していたというクライマックスのシーンは,壮大な時間とか物語を感じて,別にお涙頂戴のシーンではなかったのですが,その壮大さに思わず涙がこぼれるという不思議な体験を致しました。
- 「それはこの世にいないもの」「見えてる,聞こえてる」という二つのフレーズが,少しずつ意味を変えながら何度も繰り返されていて,観終わったときの物語の印象をとてもとても強くしていました。私はとても好きな表現方法です。
- 「波のいとなみが存在することを願えばいい」というセリフ。台本では「波」と書かれていて,物語の展開上「波」と理解するのが一番良いのですが,私はこの音と同じ「並」という文字という解釈もあるのではと思って観劇していました。特別なことを望むのではなく,何も起こらなくてもよい,そのままを受けとめるという解釈・・・結構ムチャクチャではありますが,繋がってしまうところはこの作品の懐の深さだと思いました。
- 初日とは思えないほどチームとして仕上がってきていて、退屈することなく1時間45分の旅を堪能してきました。ホントに全てのキャストさんが世界のキャラクターとして命が通っていて、演劇としての見せ所もたくさんあって、1ステージでも良いから見届けて欲しいと思います。
- あと,図書館というモチーフ的にも色々見所がありまして,「記録は良い記録が残るのではなく,たまたま残ったものが記録である」とか,「図書館はその世界を表現する映し鏡である」といった図書館に関する格言めいたもの(コノトオリの言葉ではないですが)を思い浮かべながら,物語を思い返すとまたグッとくるポイントが満載なのであります。最後,マクダバは思いっきり崩壊してしまうのですが,そこは図書館の大原則であるストックだけでなく,フローも重要なのだという話を思い浮かべると(以下略)
- 毎回,劇団フェリーちゃんはいろいろ予想を良い方向で裏切ってくれるステキな劇団さんなのですが,今回は「劇団フェリーちゃんってこういう作風だよね」という予想を,ちょっとずつ裏切っていく感じがとても痛快でした。舞台が大好きという人なら,たぶん何かグッとくるものがあると思います。こういう言葉は容易に使いたくないですが,過去3作の中で一番好きな作品です。
5.キャストさん一言紹介
キャストさんの数の多さに,これは全員ちゃんと紹介できるかな・・・と心がくじけそうになりましたが,アルドゥが乗り越えた壁を私も超えてみたいとの思い込みの元,出演されたキャストさんの役名との対応と,私的コメントをちょっと書いてみたいと思います。
- アルドゥ役のヒガシナオキさん。劇団フェリーちゃんの第1作から3作連続登板。本作の主人公。願いが叶ったのにどこか上の空な役柄ながら,いざというときの殺陣の巧みさは流石です。ポジションとしては物語に振り回される役どころなので,一番観客に近い立場だったかも知れません。
- マリカ役の広瀬奈央さん。序盤で見せる絶対的な笑顔,終盤でも同じ笑顔が現れるのですが,背負った覚悟の重さに全く印象が変わる役どころ。包容力がありそうに見せておきながら,国のために冷酷なアイディアを出そうとするギャップは見事でした。
- ラバーカ役の伊藤瑛佑さん。こちらも物語の序盤は優しそうな印象ながら,物語の終盤で,この物語の暗部のほとんどの張本人,大体コイツのせいというとんでもない人物だと発覚します。今回「やられたー,裏切られた」と良い意味で終盤思えたのも,この役どころのおかげだったと思います(汗)。
- スィン役の合田孝人さん。割とクールに気取ろうとして上手く表現できないところは,よくあるキャラクター作りかと思いきや,抱えていた闇の大きさを表現するのに十分すぎるほどの伏線だったと気づかされました。殺陣立ち回りの棍棒裁きもご注目あれ。
- ナキ役の川村玲於奈さん。語彙が少ないながら想いだけは誰よりもつっぱっしっている元気な役どころ。でも,例のミュージカルモチーフでは,割とカッコ良いパートを担当されていて,中盤までの物語の明るさの大部分を担っていたのではと思うほど印象に残る役どころでした。
- カマラ役の柚木成美さん。こちらも劇団フェリーちゃんの第1作から3作連続登板。ヒロイン役や主人公といった前2作とはまた違って,最初から影を抱えながら実は一番周りを愛そうとしていた悲しい役どころ。目力とか覚悟とか雰囲気が凄い方なので,ぜひ舞台上で目撃して下さいませ。
- ヒア役の櫻弥恵さん。お声を聞いた際に,前作でも拝見しているはずと思ったら,前作でもハイトーンの声が印象的だったと書いておりました。今回,上手い感じで王子っぽい雰囲気を出しておきながら,終盤で実は女性だったと告白するところは,まんまと引っかかって驚いておりましたし,何だったらあのシーンの二人のやり取りが可哀想で可哀想で,涙を浮かべてやり取りを見ておりましたよ。
- アニード役のなにわえわみさん。本当にこの方は狂気とか人外を表現させたら,この上ないくらい迫力があって,そして説得力を持った表現をされる方だなあと思います。目の見開き方とか台詞回しとかだけでなく舞台中の歌声など,流石だなあと思うシーン満載なので,なにわえさん一人で舞台を引っ張っていける勢いのある方ではあるのですが,今回はそれに頼りすぎてなくて,上手い具合に他とバランスが取れている感じで,そこがとても好きです。
- ヘクマ役の小鳥遊空さん。マクダバの番人ですから,図書館の司書にあたるひとというべきでしょうか。あの世界の登場人物の中では,ほとんど唯一,序盤で自分を偽っていない人間なのではと思いました。彼の見えている先にはマクダバしかなくて,それこそが聖典だったのでしょう。でもそのヘクマも,また崩壊するマクダバの前でうろたえる一人の人間として,その外のマクダバで描かれているのです(その二重構造もなかなかに考察しがいのあるポイントです)。
- イルム役の岩崎あゆみさん。記述者らしく,色んな口調や言い回し,難しい言葉が乱れ飛ぶ役どころ。過去2作の弱さを抱えた女性という役どころとは打って変わって,ヘクマに異議を申し立て,世界を立て直そうとする前向きさが表現されていました。思いっきり観劇を始めたばかりの人みたいな発言になってしまいますが,作品によって役者さんってこんなに印象が変わるのかと驚いた次第です。
- マズリール役の汀さん。今回の物語の語り部。劇団フェリーちゃんの作品でなくても語り部は重要ポジションですが,怪しさを備えた語り部を全く破綻なく好演されていました。岩崎さんと同じく,過去2作の印象とは全く変わったキャストさんです。というか,今回劇団フェリーちゃんのチームは全員凄かったですし,改めて演劇凄え,役者さん凄えと思いましたよ。
- バルル(海)役の阿部志鴻さん。前作では飛び道具的なポジションで,今回も序盤でその飛び道具をふんだんに使って笑いを取っていき,独走するかと思いきや,後半ではきちんとシリアスポジションに移行し,終盤では心を鷲掴みにする,「だからあんたの周りでさ,たくさんのものが,生まれていたんじゃないの・・・」というあの台詞を紡ぎ出していらっしゃいます。道化っぽく最初演じているからこそ,この台詞がグッとくるんですよー。
- マウジュ(並)役のヤマモトリョウさん。確かTwitterで素に近い役どころと仰っていたように思います。あの物語では一番狂気に飲み込まれていない純粋な感じがまぶしかったです。なので,たぶん素のヤマモトさんもキラキラ,ステキな方のではと勝手に推察しております(ぇ)。スィンとカマラの狂気を解き放つところは,特に輝いているので,ぜひご注目あれ。
- サブハ(沼)役の桜井咲黒さん。虚飾集団廻天百眼からのご参加と言うことで,どんな役どころかなと思っていたら,最恐の精霊という役どころで,最前列で見ていた怖くなるほどの迫力のある役でした。台詞は少ないのですが,「私は存在したい・・・」という台詞が,怖さとは別に悲哀を帯びていて,こういう作品で使われがちな全てを飲み込む無には感情が存在しないという「お約束」がちゃんとここでも良い感じで裏切られております。
- サアダーン(猿)役の知乃さん。アルドゥたちと行動を共にしながら,とても可愛らしい感じでツッコミを入れるポジションです。そういえば,マリカからは存在を無視されていたので,変だなと思っていたらサアダーンも精霊でした。上手い具合に台詞が繋がっているので,1回目は意識しなかったのですが,2回目を見るときには,その辺りを意識しながらみていきたいと思います。
- タイール(鳥)役の木村早陽さん。こちらもサフサール・タルの王朝メンバーにツッコミを入れたり,介入したりするポジションです。特にタイールは重くなりがちなサフサール・タルのシーンで,軽やかにそれを中和していることが多い役どころなので,そこが本作品の見やすさにも繋がっているのかなと思います。
- サッジャーダ(絨毯)役は,日程によって岡田勇輔さん,南条ジュンさん,窪田裕二郎さんと回変わりゲストさんの枠です。今回は初日ですので,岡田さんの回を拝見しました。第1作で海賊の大立ち回りを演じた岡田さん,コミカルな運転手ながら,見せ所の立ち回りと身のこなしの軽さ,そしてイルムの平手打ちを大音量で受けとめる(?)所など,終盤前の清涼剤として楽しく拝見致しました。回変わりの他のゲストさんも楽しみです。
コラボレーションの関係者ということで,身内びいきかもしれないのですが,気がついたら3時間近く,感想ログを打ち込んでおりました。私はとても好きな作品です。ぜひ公演中に劇場で目撃して頂ければと思います。お勧めです。
2018/09/16 23:32追記:
2回目を拝見してきました。もうオープニングから涙がにじんで参りました。珍妙な新解釈を思いついてしまったので書いておこうと思います。
あの世界はマクダバに描かれた「物語」の行間で,生きている証を残そうとした登場人物,もしかすると名もなき登場人物たちの暗闘ではと考えました。マクダバに彫り込まれた物語から逸脱しないようにしつつ(だから結末は変えられない),それでも「存在したい」と願った登場人物たちの物語・・・。ピースピットのBOOKという演劇作品が正にそういうお話だったのですが,マクダバ・タリークの話をそれに重ねてみていくと,また違ったキャラクターの魅力が出てくると考えました。