リブラリウスと趣味の記録

観劇とかパフォーマンスとかの鑑賞記録を淡々と。本務の仕事とか研究にご興味ある方は本家ブログまで( http://librarius.hatenablog.com/ )

【観劇ログ】ジョーカーハウス「イカロス戦記」

どうも。イマイです。

1.はじめに

お芝居の面白いところは,絶対というところがないところでして,期待していったらそうでもなかったということもあれば,そこそこ程度の期待だったのが大当たりということもあります。今日は間違いなく大当たりです。

旗揚げ公演からなんだかんだで,毎回の作品を拝見しておりますジョーカーハウスさん,初期のコアメンバーに加えて,毎回多彩なゲストを加えて,小劇場の限られたスペースの中で笑って泣ける作品を提供し続けています。

今回は7作目の公演。すっかりジョーカーハウスの馴染みの劇場となりました池袋はシアターKASSAIまで今日もやって参りました。

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ジョーカーハウスさんの魅力は,若手ならではの勢いとかエネルギーにありますが,それ以外にもここ最近は物販コーナーが大変充実しておりまして,本日も受け付け開始時から物販切り込み隊長(と私が勝手に思っている)まみろーさんこと,水沢まな美さんが開演前の一番忙しいときにもかかわらず,物販の売り込みにやってきております。(というか,今回出演者なのでは…)

 今回はなんと一番くじまで登場しておりまして,会場に入る前からすでにエンターテインメントが始まっておりました。さて私は,この開場前の物販ではパンフレットだけはわざと購入しないでおきます。

【2018/01/21 21:43追記:】そういえば今回はブロマイドが物販で販売されているのですが,購入して受け渡す際に袋に入れるとき,指紋が付かないようにちゃんと手袋をつけて入れ替えてくれるのです。細かいところですがとても有り難かったです。【追記ここまで】

ジョーカーハウスファンの方にはお馴染みですが,開場してしばらくすると,キャストさんがパンフレットを手に手売りを始めてくださるのです。もちろん受付でまとめて購入しても良いのですが,こうやってキャストさんから買えるというのは本当に良いアイディアだなと思います(キャストさんは大変なのでしょうが)。なんと今回からパンフ売りのシーンは撮影可となっております。写真撮影は上手くないのですが,とりあえずよさげな写真を貼り付けておきます。

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さて,開演前の撮影がOKでしたので,舞台の写真も貼り付けておきます。

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青の照明がバーから4つつるされていて,舞台の一番後ろには長尺のカラフルな布が吊られています。そしてジョーカーハウスの舞台組みの基本である,舞台後方だけが少し高くなっているセット。今回も非常にシンプルなセットですが,一見したところ過去作と比べて照明は数多くセットされている印象を持ちました。

【2018/01/21 21:43追記:】そういえば今回開演前の気持ちが自分的に凄く盛り上がっていました。壮大なクラシックの名曲が多く使われているためではないかなと思いました。【追記ここまで】

そうこうしている間に開演時間がやってきました。では千穐楽前ですのでネタバレ防止の改行連打をいたします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2.あらすじ

物語のあらすじは下記の通りです。

「半翼の子 止まるな 汝は美しい」

古、遥か古、遥か遥か古、
翼ある種族が住むエデン(最後の楽園)と呼ばれる国ありき。
エデンの民は、空高く飛び、木山の頂に咲く花を食べ暮らした。
そこで生まれしは異形にして半翼の子、名はシレウス。
民は彼子を忌み嫌い、「地へ落ちろ」と日夜あざ笑わん。  

エデンの民は己の他に命はないと唱えたもうた。
高く飛べぬシレウスは、生きるため地に降り枯花を探し求む。
かくして、シレウスは知り得る。
地には別の民、多くの命が無数に生きし様を。
されど、すでに地に食なく、蛮の民は破滅の時を悟る。
「時なく世は滅びん。汝いかにせん?」

( https://stage.corich.jp/stage/88382 より引用)

幕が開くと,テリクスが刀を持って何かに立ち向かおうとしています。脇には盾を構えた複数の従者。従者と共に立ち向かおうとする様はまるで鳥が羽ばたいているかのように見えます。シンプルなセット組みではあるのですが,こうした集団での動きで迫力ある動きを見せてくるのがジョーカーハウスさんの魅力ですが,冒頭からこの演出が観られてテンションが上がってきました。

雷鳴がとどろく中,テリクスと従者は離ればなれになってしまいます。傷つき倒れたテリクスのところへ肩に掛けていた布をそっとかぶせるシレウス。シレウスとロロフスが「世界はすっかり変わってしまった」と,低く語り始めます。

シレウスが次のセリフを発した瞬間,時間が巻戻ります。

僕はしっかり見届けなきゃならない,永遠に続くと思われてきた世界の終わり。そして,世界の始まりを。

ロロフスがストーリーテラーとして世界を語り始めると,次々に地上の世界の住人が登場してきます。ガリミムス,タラルルス,プテリギウスとともにテンポ良い掛け合いをしているうちに,アンモがとんでもないものを見つけたと駆け込んできます。

羽を持ったやつがこの地上に現れた。だがそいつは片方の羽しか持っていなかった…

 ダンスとともに場面は変わり,天上世界エデンが現れます。羽を持つ貴族たち,リンクス,ディモール,ダクティルが優雅な会話を交わしているところに,羽折れの青年シレウスがやってきます。羽折れであることを馬鹿にされています。しかしシレウスは決してうつむかず,エデンの決まりを破って訪れた地上世界の魅力を語ります。

いざこざの中,シレウスに決闘を申し出るリンクス。シレウスのピンチをテリクスが制します。そこへ登場するプテラの側近コアトルス,リンクスの兄であるプテラからの召集を告げます。

プテラが戦士たちを集めた理由は,エデンに響く謎の音の調査でした。空を飛んでいると上からも下からも聞こえてくるような謎の音。プテラは戦士たちに調査を命じるのでありました。

場面は変わって,地上世界。またもシレウスは地上へと降りています。そこをパトロールに出ていた警備員のトリケラに見つかってしまいました。そこにも響いてくる謎の音,シレウスはその音の正体を探して走り出します。

警備員とはぐれてしまったシレウスは,ロロフスに出会います。謎の音の正体調査は一旦お休みして,ロロフスに街の中を案内してもらいます。案内の道中でウミガメのアーケロン,密売人のステゴ,トイザウルスのお姉さんのコリト,考古学研究者のバイト,天文学者のアンモと数々の草食動物に出会っていきます。

そこに肉食動物の集団が襲ってきます。スピノ,モサ,タルボ,クロノ,ヴェロキに襲われ,コリト,タラルルス,プテリギウスは囚われの身となります。その騒動の中でシレウスは気を失ってしまいます。

肉食動物のアジト。ヴェロキが捕らえた動物をすぐ食べるべきではない,餌がこれから無くなるのだからと訴えかけると,スピノとヴェロキが小競り合いを始め,ヴェロキが集団のことをバカにして大げんかが始まろうとした瞬間,背後から大きな足音を立てて,迫力のあるオジキのチラノが登場します。

気を失ったシレウスは,謎の王子メテオに出会います。ずっと一人で孤独なメテオ,遙かな時間を過ごす中で多くの知識を身につけたメテオに,シレウスは星が丸いことを学びます。目が覚めた後,シレウスはもっと学ばなければと奮起,世界の中で最も長生きなラティメリアに会うために海底へと向かいます。

イクチオ,キクチオ,アジシオの従者と通例のボケツッコミを交わしつつ,いよいよラティメリアに出会います。シリウスはこの世界の謎を解き明かすことができるのでしょうか。そして,メテオにはまた出会うことができるのでしょうか。物語の結末は劇場もしくは次回公演で発売予定のDVDでご確認頂ければ幸いです。

3.感想 

  • 前作「ジョリー・ロジャー」がジョーカーハウスさんの最高傑作と思っていたのですが,今回そこを超え,本作が最高傑作に躍り出ました。ハードボイルドなストーリー,音響,演出も含めて一番のお気に入りです。
  • 一瞬たりとも飽きることないほど,物語や台詞のテンポが良く,佇まいも開演直後の段階から,これまでの過去作とは違う雰囲気や迫力を持っていました。
  • 今回の作品がどうしてこんなに良いのか,3回見る中で私なりに見つけた答えがfpsでした。ゲームネタで恐縮ですが,PCでのゲームをやるときにゲーム画面でキャラクターがどれだけなめらかに動くかを,1秒間辺りのコマの数で表します。一般の映像だと30fpsなのですが,ジョーカーハウスさんの今回の作品は60fps,場合によっては120fpsではないかと思うほど細かい動きがふんだんに盛り込まれていたように思います。ちょっとした視線の移動とか,顔の動きとか,非常に細かく配慮されているので,それぞれのキャラクターが生き生きしていたのでは無いかと思いました。
  • 照明がふんだんに使われていて,シーンごとの切り換えや盛り上がり方も一番自分好みでした。青暗い照明は大好きです。
  • ジョーカーハウスで最初にエンディングの一部を持ってくるというのはそれほどないパターンのように思いました。私はこういう展開が大好きなので,これだけで2回目以降の観劇は涙を流しそうな気がします。
  • どのキャラも格好良すぎて、今回あまりに格好良すぎて涙が出てくるという体験を初めてしました。最近使われる尊いという表現はこう言うときのために使うのかと思い至りました。
  • 終演後のチェキ会でキャストさんから伺った「今回はどちらがB面ということはなく,両方A面です」とのコメントはまさにその通りだと思いました。どちらにも見せ所があって,どちらにも独特の味があったと思います。
  • 両パターンのブロマイドをうっかりコンプリートするほど,全キャラに魅力がある作品でした。年の初めにこういう作品が目撃できて幸せです。

4.キャストさんへのひと言コメント

これだけ素晴らしい舞台なら,全員のキャストさんに何か書けるんじゃないかと思ったのと,アンケートを二回分提出していないので,ここでキャストさんへの一言コメントを書いてみたいと思います。(以下,役名は当日配布資料に基づき,肉食/草食/雑食Verの順番でかつメインの役だけを記載します)

  1. シレウス/ロロフス/コリト役の福井清香さん。シレウスというキャラは本作では2パターンあるのですが,こちらのシレウスはよりゴツゴツした真っ直ぐさというかエネルギーの塊に見える辺りが印象的でした。メテオとの別れのシーンではそのエネルギーに溢れた演技で,叫びに心揺さぶられましたし,コリト役でヴェロキをにらみつける迫力は凄いものがありました。
  2. コリト/シレウス/シレウス役の田守悠花さん。こちらのシレウスはより女性的というか柔軟さとかしなやかさが見える真っ直ぐさを感じました。おっとりかつボケッとしたテンションながら,見栄切りするところでは凜々しく決まってオオッと思わせます。そして,メテオとの別れのシーンで繰り出す叫びには,やはり心を強く揺さぶられます。
  3. テリクス/リンクス/リンクス役の小澤瑞季さん。視線の動きも細かく配慮されていて*1,セリフを発する時の顔の動きも理想的な動きをしていて,これはとにかくカッコ良く,ため息が出るレベルの見事さでした。その一方でコメディパートに入ったときの落差は大きくこの辺りも魅力的な方です。
  4. ヴェロキ/リンクス/メテオ役の大石祥生さん。前回のジョリー・ロジャーから私の中では二枚目ポジションで位置付いているのですが,今回もその座は揺るぎなく,頼れる兄貴肌のカッコ良さが強く感じられました。雑食バージョンのメテオとシレウスの1回目のシーンは,少しスカした演技なのにもかかわらず,ジョーカーハウスの舞台を見ていることを忘れて,何か映画の中に入り込んだ錯覚を覚えるほど,美しいシーンだったと思っています。
  5. メテオ/ヴェロキ/ヴェロキ役の梅田拓弥さん。どちらも異なる葛藤を抱えている役です。ヴェロキの方は非力過ぎて勘だけで生き残ってきた弱さを身にまとっていて,とにかく絞り上げるような声とか土下座しながらプルプル震えている辺りがとにかく好きです。体が小さいというのが笑いのネタではなく,シリアスに物語に組み込まれていたので,私としてはとても好みでした。メテオは覚悟は決めながらも,シレウスの存在に少し心が揺れ動く星の王子を的確に表現されていたと思います。
  6. ロロフス/ガリミムス/ロロフス役の橋本真衣乃さん。ジョーカーハウスの妖精・飛び道具ポジション的な役回りの多い印象がある方ですが,今回はガリミムスがそちらに近い感じながら,ロロフスの方は割と真面目な感じで展開していました。おそらくロロフスがふざけまくると崩壊するような個性の強いキャラが多い作品なので,脇を締める役どころかなと思います。実直なストーリーテラー役を安定した演技で見せていました。
  7. ラティメリア/ラティメリア/アンモ役の佐々木志乃さん。今回,一番これまでのイメージと違って「化けた」という表現をどうしても使いたいキャストさんでした。眉を剃り落として,幻想的なシーラカンスを演じるだけでなく,歴史をまとった他のキャラとは異なる落ち着きっぷり*2を演じて怪演されていました。雑食バージョンのアンモ役では掛けている丸眼鏡を使って星の説明を始めて,自由自在な感じもまた見事でした。
  8. コアトルス/コアトルス/コアトルス役の有本朱沙さん*3。今回の作品では珍しい3パターンとも同じ役でした。プテラの側近で王よりも迷い無く決断する役どころが,前回のジョリー・ロジャーのアルビダに重なるところがあって,草食パターンではロウとアルビダの組み合わせだーと違う盛り上がり方をしていました。エデンの宮廷では,側近らしく話し手のところへ細かく視線を動かしているところが印象に残っています。
  9. バイト/バイト/バイト役の北原学さん。ジョーカーハウスだと割と飛び道具ポジションの印象が強い北原さんですが,今回は物語をきちんと進めていく割とマジメなメインキャラ。叫び声はほとんどなく落ち着いた語り口で物語の真相に迫っていく辺りは安定感たっぷりでした。飛び道具が上手い方はシリアスな方も上手いのだなと思った次第です。
  10. アンモ/アンモ/クロノ役の徳岡天心さん。浮世離れした天文学者だとよく分かるような力の抜け方がとても印象的でした。雑食バージョンでもアンモかなと思ったら,まさかの大暴れして刺されるクロノ役でアンモとのギャップが垣間見えたのはとても得したなと思った次第です。
  11. プテラ/チラノ/プテラ役の井口ジョージさん。今回は草食バージョンがから拝見したのですが,チラノの迫力が半端なくて,あのオジキなら大きさがでかくなくても迫力だけで圧倒されるなとリアルにビビっておりました。その恐ろしさとは打って変わって肉食,雑食バージョンでは思い悩むエデンの王。どちらの役でも人の上に立つ「王」を好演されていたと思います。
  12. モサ/タルボ/ラティメリア役の水沢まな美さん。悪いチンピラがよく似合うヤンキーっぷりかと思いきや,雑食バージョンでは荘厳で達観したラティメリア役でどっしりと歴史を繋げていました。ラティメリアは佐々木さんの頭のネジが外れた感じもまた良いのですが,水沢さんのセリフと設定に忠実なラティメリアもまた物語を繋げていく上では良い選択肢であるように思いました。/受付開始時に物販まで来てプロモーションをするあたり,本当にジョーカーハウスが大好きなんだなあと思ってこれだけで嬉しくなってきました。
  13. ガリミムス/タルボ/ガリミムス役の又吉宏美さん。タルボ役で出てきたときのイカレっぷりが非常に良い感じで印象的な方ですが,ガリミムスの方でもテリクスとのやりとり「痴漢です→えん罪です」に見られるテンポの良さや,独特の雰囲気を持っている感じがとても魅力的な方でした。
  14. ステゴ/アーケロンアーケロン役の柊玲奈さん。アーケロン役で見せる母親のような寛容さに溢れた雰囲気と,ステゴ役での下世話でケチな小悪人の雰囲気のギャップが印象的でした。今回,対になる役どころで一番ギャップが大きい方だったように思います。役者さんって凄いなあと。
  15. ピノプテラ/スピノ役の月館森さん。前作でもその低い声がとても魅力的だと申しあげたのですが,プテラの役でも存分にそれが発揮されていて,カッコ良い方が多く登場する本作品を彩っていました。それからスピノ役での視線の送り方が非常に巧みで,憎たらしい悪党を強く印象づけていました。ヒーロー役とかではどんな感じになるんでしょうか…。次回作がとても楽しみな方です。
  16. クロノ/ディモール/スピノ役の大山莅人さん。序盤のエデンではシレウスを嘲笑する振りとともに,チラノに殺される辺りに見せる真っ直ぐさが記憶に残りました。エデンの世界は誇り高く腐敗などとは無関係の世界だったのだと思います。クロノ役で殺されるシーンではちゃんと足までマークをつけていらっしゃって,ヤクザ者のキャラであることを印象づけていらっしゃいました。
  17. トリケラ/クロノ/トリケラ役の阿部志鴻さん。前作に引き続きのご出演。トリケラの警備員役でマジメに物語を進行する役どころも魅力ですが,やはり草食バージョンでクロノとして派手に暴れてチラノに刺される役どころは,空腹による狂気が垣間見えて私としてはオススメだったりします。
  18. ディモール/スピノ/ディモール役の加納義広さん。王族の戦士とチンピラの一団という一見すると埋もれやすい役どころですが,ディモール役で最後にリンクスを守ってチラノに刺される辺りの身のこなしの良さは,リンクスを守る戦士のイメージにピッタリ当てはまっていて,映像でも再度確認するほどでした。
  19. リンクス/コリト/リンクス役の佐々木穂香さん。どこかで見たことのあるお名前だと思っていたら,昨年,劇団ショウダウンさんの「ドラゴンカルト」で拝見していた別所拓実役の方でした*4。その時とは打って変わって,女性をベースにした二役を演じていらっしゃっていて,しなやかな感じと姿勢の良さが印象に残りました。肉食バージョンのクライマックスで決起する軍の中で剣を掲げる姿がとてもカッコ良いのです。
  20. ダクティル/ダクティル/ダクティル役のみうさん。ご自身のTwitterでも指摘されていらっしゃいましたが,ショートカットがとても凜々しくカッコ良い方です。エデンのシーンが登場シーンの大半を占めているので,登場シーンは決して多くないのですが,麗しく高貴な戦士の世界を彩っています。最後にプテラをかばって刺される辺りは思わず涙が出そうになります。
  21. モサ/トリケラ/モサ役の寺尾隆之さん。個人的には草食バージョンのトリケラで拝見していたときの,クロネコヤマトのくだりのテンポの良さが記憶に残っています。モサ役は割と集団に埋もれがちではあるのですが,クロノが暴れたときに「大変だ!クロノの野郎がとち狂いやがった!」と叫んで出てくるのがモサ役です。
  22. プテリギウス/タラルルス/プテリギウス役の咲良しょうこさん。バージョンによって対になる役とどちらが先に退場するかという役。とても可愛らしい感じで,守らないとその場で行き倒れる感じの小動物っぷりでした。エンディングのところで土を掘っている感じが,あまりきちんと掘れていない感じも含めてキャラクターがきちんとできているように思いました。
  23. タラルルス/プテリギウス/タラルルス役の池田花奈子さん。同じくバージョンによって対になる役とどちらが先に退場するかという役。同じくですが,守ってあげないと行き倒れる小動物ですが,池田さんについては本役よりもオープニングやクライマックスでのモブ役で盾を構えたりするところで何度か拝見していてその役どころが小動物とのギャップもあってか印象に残っています。
  24. ステゴ/アーケロン/ステゴ役の中村崇恵さん。擦れていないステゴという印象があって,あどけない感じが印象に残る方でした。終盤の望遠鏡をみんなでのぞくシーンで,宇宙に多くの星があることに「高く売れそう」と喜んだ後に「食べられて糞にされるぞ」とたしなめられたところでパーカーのフードをかぶり直しながら困る素振りがかわいい感じでした。
  25. チラノ/メテオ/チラノ役の中山貴裕さん。ジョーカーハウスでの中山さんはとにかく強面の役が多く,今回のチラノはまさにそれにピタリ当てはまる役どころで,ファンタジーな世界のハードボイルド度をグイグイ上げていく重要な役どころでした。メテオ役でそれら強面の部分を全て封印して,悲哀に満ちた孤独な王子を演じていた方も,グイグイ引き込まれるところがあり私は大好きです。

5.おわりに

今回は舞台上で何回か,客席に座っていることを忘れて見とれているシーンが何カ所もありました。まるで舞台写真が目の前にあってそれを見ているかのごとく思い出せるシーンがいくつもありました。

回数を重ねてきた事だけでは無いと思うのですが,私の感触としては着実にキャストさんがレベルアップしていて,もう旗揚げの頃にあったハラハラして関係者のような視点で観ているというシーンは本作品には皆無に近かったと思っています。

私の楽しみとして,毎回同じ魅力を確認しに行くのも楽しみの1つではあります。でもジョーカーハウスさんのように,たとえ多少アラがあったとしても,毎回のようにレベルアップして,新しい魅力を打ち出していくカンパニーもまた楽しく,そうした劇団さんの記録をこうやって書き留めていくことも,私の楽しみです。

長々と8900文字をオーバーして書いていますが,要約すると私はジョーカーハウスが大好きです。誰が何と言おうと私はあのシアターKASSAIの舞台の上で,生き生きと演じているジョーカーハウスの皆さんを観ているのが好きなのです。 

次回作の上演される2018年7月19日から7月22日は何とか予定を空けておきたいと思っています。素晴らしい舞台をどうも有り難うございました。 

stage.corich.jp

 【2018/01/21 21:43追記:】3バージョンコンプリートすると梅田さんからもらえる記念のカードにはQRコードが印刷されています。これを読み込むと…おおおおぉ凄いおまけじゃないですか。もちろんコンプリートした人だけの秘密なので,このブログではネタばらししないでおきます。【追記ここまで】

*1:例えば新しい場面では細かく視線を動かしている一方,見開いて見つめるシーンでは微動だにしないなど

*2:とネジの外れっぷり

*3:ジョリー・ロジャーご出演の時から今作品までに改名されています。

*4:10月より上京されていらっしゃるとのこと