リブラリウスと趣味の記録

観劇とかパフォーマンスとかの鑑賞記録を淡々と。本務の仕事とか研究にご興味ある方は本家ブログまで( http://librarius.hatenablog.com/ )

【観劇ログ】劇団壱劇屋「賊義賊 -Zokugizoku-」

どうも。イマイです。

昨日までご贔屓さんの芝居を全通とかしていまして,月曜日から普通に仕事だったので観劇をいつもだとお休みするケースが多いのですが,いま新大阪からの帰りの新幹線に乗ってます。何やってんねんと言われてもそれが好きなんだから仕方ないのです。

というわけで,本日は劇団壱劇屋さんのノンバーバル殺陣芝居,5ヶ月連続公演の第2回目「賊義賊 -Zokugizoku-」を観に,今月も大阪はHEPホールまでやって参りました*1

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千穐楽の1回のみしか観てないのと,新幹線移動中のわずかな時間でたたき込むので,あんまり長くかけないかもですが,忘れないうちに色々メモしておきたいと思います。(大本読みながら設定記述の間違いをぽちぽち直す予定です)

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 1.前書き

千秋楽開演の45分前の16時15分。HEPホール8階へと続く階段のベルトポールが撤去されました。先月受け取っていた5ヶ月連続チケットの2枚目を使い,連続チケット購入者限定の記念品を受け取りました。

早速物販に立ち寄り,売り切れてたら泣きそうと思っていた公演の主役がデザインされた缶バッチと台本,そして前回公演のDVDを買い求めました。物販に立っていた山本さんが,劇団員の「山」バッチを完売させようと,丸山さんの「丸」バッチとセット販売を始めるなど,盛り上げる瞬発力とアイディアに溢れたロビーです。

開場して座席につくと,前回公演の憫笑姫のスライドショーが上映されていました。河西沙織さんの照明に照らし出された動きの瞬間を切り取る写真に見とれながら,先月の興奮をひとり思い出して盛り上がっていました。

開演5分前,壱劇屋の座長であり座長として座長の役目を果たしに,大熊隆太郎さんが舞台上に上がります。まずは来月公演「心踏音 -Shintouon- 」のPV上映です。光を無くした男と声を無くした女の男女の物語と言うことで,テロップの「光」と「声」という文字が抜け落ちる哀しげなPVでありました。続く大熊さんの公演前注意事項の説明は絶好調。様々な説明の中から,座長は演出と出演がないので,連日ビーナッツとサッポロビールを食する生活だとか,アルコールを飲んでの原稿執筆は避けた方が良いという,観劇に大変役立つ知見が多く得られました(ぇ。

そうこうしているうちに,開演時間となりました。「賊義賊 -Zokugizoku-」の開始です。(なお千穐楽後ですので,今回はネタバレ防止の改行連打はいたしません)

2.あらすじ

今回のあらすじは下記の通りです。

これは“賊”の物語

その賊は人を殺めず
その賊は悪から奪い
その賊は民衆に与える

かの賊は人を殺め
かの賊は悪を滅し
かの賊は闇に暗躍する

その賊はかの賊を付け狙い
かの賊はその賊を討ち狙う

これは“義賊”の物語
最強の女賊
民衆の前に推参 ( https://stage.corich.jp/stage/84080 より)

幕が開くと,先月も最初に現れていた白装束が何かを描いています。白装束は粗暴な賊の宴に紛れ込んでいるようです。宴もたけなわになり,賊達は興に乗じて捕らえてきた男を暴行しはじめます。そんな中,賊達の宴に紛れ込んでいる1名の女性。彼女に賊の長がちょっかいをだしはじめたのもつかの間。瞬く間に長は壁に打ち付けられ,長の脇にあった千両箱は女性の手で持ちさられていきます。

女性は義賊でした。奪った千両箱から得た小判を民衆の懐に入れながら,追っ手を逃れていきます。追っ手の中には十手を思った岡っ引きの姿もあります。もちろん女性は追っ手をまくのはお手の物。

アジトへと戻った女性を待っていたのは,相棒であり依頼主でもある人物。お互い,すっかりなれたやりとりをした後,次なるターゲット,壺売りの主人の襲撃を依頼されます。義賊はさっそうと主人のもとへ。高価な壺を盗む予告状を巧みに渡し,いつものように仕事を済ませようとしたその時,仮面を付けた謎の剣士が主人を切り捨てていってしまいます。

盗みに失敗した義賊の脳裏に浮かぶ,師匠と師匠についていたもうひとりの弟子の姿。楽しかった情景が再生される中,その楽しい日々が破綻した事件を義賊は思い出します。腕に入れ墨があり,剣を乱舞するように扱うあの男。依頼主から持ち込まれた2人目の主人への盗みの依頼。

依頼をこなそうとする中で,あの入れ墨の男が眼前に現れます。あいつだ—,あいつが師匠を殺したんだ——。復讐に燃える義賊は師匠の敵を取ることができるのでしょうか。

3.ここが魅力!

千穐楽後ではあるのですが,あと40分ぐらいで書き上げないと書く時間が無くなってしまうので,先月同様,箇条書きで本公演の魅力を記載してみたいと思います。

  • 縦横無尽に繰り出される身体表現のバリエーションが見事でした。壱劇屋さんの表現の引き出しはいったいいくつあるのかと戸惑ってしまうほどに,蹴り一つ,ジャンプ一つにも正直初めて観るような見事な動きがちりばめられていました。個人的に好きな動きは,中村るみさんが終盤竹村さんとともに見せる,人の背中を経由しての空中蹴り,KATSUさんのブレイクダンスです。
  • サックスのBGMが心地よく,ルパン三世という触れ込みがピッタリな感じの和物なんだけれどジャズのテイストが混じったカッコ良い空間がそこにはありました。
  • 観に来て良かったと思うのは,やはり会場の音響の重低音です。個人宅でこれを再現しようとするとたぶん相当の機材をつぎ込む必要がありそうです。重低音に揺さぶられて乱舞する役者さんの汗や息づかいはやはり,会場でしか味わえない要素です。
  • 最初はポップという印象があったのですが,それなりに主人公も影を抱えていて,背景の重さも感じることのできる作品でした。
  • 過去の悪夢が繰り返し少しずつ思い出されるあたりを含めて,全体のテンポがとても良くて,今回のDVDが手に入ったら作業のBGVにしたい位でした。
  • 途中,置き去りにされていた小判を軽やかかつ気がつかないうちに回収していた河原さんグッジョブ。
  • 岡村さん,藤島さんのパステル夫婦は,仲むつまじい感じから衝撃の裏切りまで振れ幅たっぷりで印象に残りました。岡村さんの主人を最後まで疑ってて申し訳ない…。藤島さんの冷酷な悪役はゾクッとするものがありました。
  • 湯浅さんの相棒は,メガネも含めておどける感じといざというときに頼れる感じを備えた良いキャラですね…。
  • 瓦版屋の井立さんは,普段のTweetやブログで見せる真摯で真面目な態度とはだいぶ印象の違う飄々とした感じ,コミカルな動きが魅力的でした。個人的には寝たふりをするとき,布を布団代わりにしたのは大ヒットでした。
  • 永沼伊久也さんのシュッとした感じ,スラリとした感じは,復讐に燃える鬼の雰囲気と,ダークヒーロー的なたたずまいを強調していたように思います。
  • 新谷佳士さんの岡っ引きは,最初はピエロちっくで,最後は頼れるヒーロー菜所も含めて,銭形刑事の魅力そのままでした。あのでかい十手,新幹線に乗せられたら持って帰りたかったなあ(←
  • 1. G. Kさんの「Dragon」にあわせたクライマックスは,このシーンだけ切り取って脳内でリピート再生したい位の名場面。カッコ良さと動きの多様さが全てここに詰まっています。
  • 【2017/09/25 22:24追記】小林嵩平さんの受け身の迫力,KATSUさんの受け身の迫力は,床の着地音の大きさも相まって,記憶に残したいシーンでした。
  • (本当は推しの劇団さんを全通した直後なので,いつもならパスするところですが,五ヶ月連続チケットを購入していたので,来る前提で予定を組むことができました。結果見届けられたので,このシステムは大変良いものだと思いました)

stage.corich.jp

さあ来月は関西小劇場ファンの一員としてはとても楽しみな,吉田さんと坂口さんのご登場です。どんな高みへと壱劇屋さんは連れてってくれるのでしょうか。来月も楽しみにしています。

*1:実は別件で2週間前に大阪に来ているので,今月二度目のHEPホール前であります…