リブラリウスと趣味の記録

観劇とかパフォーマンスとかの鑑賞記録を淡々と。本務の仕事とか研究にご興味ある方は本家ブログまで( http://librarius.hatenablog.com/ )

【応援記事】劇団ショウダウン「レインメーカー」いよいよ東京公演です!

ども。イマイです。

大阪のHEPホールでの憫笑姫の興奮も冷めやらないまま,ほぼ1週間空けた自宅に帰宅すると,京都から私のイチオシ(2つあるイチオシの1つでもう一つは壱劇屋さんです)劇団さんの封筒が到着していました。中を開けると,素晴らしいデザインのフライヤーと事前振り込みで購入したチケットが封入されていました。

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写真ではUPしませんが,事前購入チケットの裏にはキャストさんたちのサインが一枚一枚にきちんと記載されていて,しかも1枚あたり7つのサインが描かれています。役者さん扱いで購入したチケットでは,その役者さんのコメントが追加されていて,終演後にはきちんとクリアファイルに入れて保管しておきたいレベルのアイテムになっています。

さて,チケット開封でテンションが上がってきたので,どなたからも依頼はないのですが,劇団ショウダウンさん「レインメーカー」のPR記事を勝手に書いてみることにしました。需要は全くないと思いますが,公演を見ようかどうかを検討している方の参考にちょっとでもなれば幸いです。

ちなみに昨年も似たような記事を書いていたので,そちらとは少しアプローチを変えて同じようなことを書いてみたいと思います。

librarius-theater.hatenablog.com

目次は以下の通りです。

(トップページからご覧の方は「続きを読む」リンクをクリックして下さい。)

1. What's 劇団ショウダウン?

劇団ショウダウンさんは,京都を拠点としている劇団さんです。

元ニットキャップシアターのナツメクニオを中心に、2001年5月に旗揚げ。
既成の劇団という枠にとらわれず、いろいろな物を貪欲に吸収しながら、
「頭のいらないエンターティメント」をテーマに大衆娯楽の王道を追及!作品内容は笑いを中心に、

魅せるところは魅せる!
笑わすところはトコトン笑わせる!
完結性の高い脚本内容!

と文字通り「頭のいらないエンターティメント」を追及しています。

近年は林遊眠の一人芝居が池袋演劇祭で大賞を受賞し、その後精力的に東京でも公演を行っています。

予想は裏切るけど期待は裏切らない、それが劇団ショウダウンです。

( 
http://www.showdown.biz/about_us.htmlより引用)

2017年8月27日時点では,主催・脚本家・演出家のナツメクニオさんを筆頭に,林遊眠さん,竹内敦子さん,篠原涼さんの3名の役者さん,合計4名で構成される小規模な劇団です。

私が劇団ショウダウンさんの存在を知ったのは,今から4年前,関西の小劇場の映像を配信し続けるSP水曜劇場の映像でした。

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初めて見た一人芝居の映像。Ustreamの小さな画面の中で,全くセットが組まれていない舞台の上で,1人の女優さんが演じる人魚にすっかり惹かれていました。

後から知ったのですが,2001年旗揚げの劇団ショウダウンさんの転機となった作品,そして今へ続く路線の始まりがこの「月下人魚」だったのです。

これから見る劇団の歴史を観劇前にたどる必要はないと思いますが,看板女優の林遊眠さんが2015年,池袋演劇祭大賞受賞記念公演「パイドパイパー」の前に執筆されたブログを見ると,順風満帆ではなく常に逆境の中で,悪戦苦闘を重ねていたことが分かります。

いつでも悔しい | 林遊眠のジミー・マーケット

でもこうしたお涙頂戴の背景は,舞台上の作品やカーテンコール,アフタートークのお客さんの前では決して出さず,劇団自体の背景は全く不要で楽しめる作品を発表し続け,「次回作が最高傑作」と言い続けて走り抜けてきた劇団さんです。

2. 劇団ショウダウンさんの魅力

昨年も書きましたが,私から見た劇団ショウダウンさんの魅力は以下の6要素にまとめられます。 

  1. ナツメクニオさんによる圧倒的な語彙数に彩られた台詞やストーリー

  2. キャストの皆様の熱演

  3. 煌びやかで魅力的な照明

  4. 的確で物語の感情の起伏を最大限に増幅できる音楽

  5. イメージをかき立てる衣装や,簡素ながら想像力を駆り立てられるセット

  6. フライヤーや舞台記録映像の圧倒的な美しさ

 どれか1つでも興味があるのであれば,間違いなく観に行って損はない劇団さんです。

1については,ノーヒントで公演を見た後に,劇場物販で是非台本をお買い求めの上,読み込んでからもう一回観て頂きたい位です。セリフの美しさが分かる資料としては,こちらも「パイドパイパー」のものとなりますが,池袋演劇祭のCM大会での映像が大変分かりやすいところだと思います。

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2分間の独白の中で,状況描写を行うセリフの多様さとともに,笛吹の葛藤を示す箇所についてはセリフが繰り返され強調されることで,クライマックスの一部であるこのシーンを劇的に彩っています

2のキャストの皆様の熱演は文字ではなかなか表現できないのですが,1の多様なセリフ量に負けないだけの熱演や配慮がちりばめられています。素人ながら「このシーンはこういう意図ですか?」 と終演後のご挨拶で伺った際に,どなたからもきちんとお答えをいただける位,考え抜かれた磨き上げられたシーンが連続して通常します。

3の照明は,映像で最も伝わりにくい箇所だと思います。是非劇場でご覧頂きたいのですが,個人的には青の照明の使い方がとても大好きです。それこそ開演前に舞台上に投影された青いサスペンションライトを見るだけでテンションが上がるレベルです。

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4の音楽については,今作は関西で活動されているミュージシャンu-full(ウフル)さんの書き下ろし曲が使われることが決まっています。ウフルのyukaさんのTwitterプロフィールによれば,民族音楽ZABADAKに影響を受けたと書かれています。ZABADAK好きな私にとっては,早速YouTubeでLogleb〜西の果て〜を聴き,再生リストに追加しています。書き下ろし曲はおそらく舞台上で初公開となるのかと思いますが,今からこの曲調で来るのであれば,どのシーンでどんな風に使われるのかいろいろ想像しているところです。

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5のイメージをかき立てる衣装や,簡素ながら想像力を駆り立てられるセットについては,作品によってシンプルなこともあるのですが,物語の世界観にピッタリのものが毎回登場してくるので,こちらも舞台上でのお披露目が今から楽しみです。

6の舞台映像の美しさについては,劇場物販でBlu-rayディスクを販売できるほどの比類ないレベルです。YouTube上からいくつかサンプルが見られるようになっていますが,ここは前回作のドラゴンカルトの記録映像が使われた以下の動画を挙げておきたいと思います。

www.youtube.com

3. 9月公演「レインメーカー

さて,いよいよ9月23日(土)と9月24日(日)の両日,南大塚ホールで上演される「レインメーカー」について,触れておきたいと思います。この作品は東京限定で,関西での公演予定がない作品,おそらくは今年リアルタイムで観られるのはこの土日公演の合計5ステージだけではないかと思います。

stage.corich.jp

物語のあらすじは下記の通り。

その魔法は、
ずっと続くと思ってた

広大な森の中に ひっそりと存在する小さな村がありました
その村には争いがなく
その村には差別がなく
その村には貧富がなく
そして、
その村には大人がいませんでした

村の真ん中には大きなドームがありました
固く閉ざされたドームは古びた大きな岩と絡み合う蔦に覆われ
その中には、カミサマが眠っていたのです

村の子供達は朽ちたドームの周りでいつも遊びます
森や川で子供達は遊び
小さな事件はたくさん起こるものの、村はいつまでも変わらずにずっと続くと
みんな信じていたのでした。

あの日はじめて大人がやってきて
錆び付いた歯車が軋みをあげて動き出すまでは

( http://stage.corich.jp/stage/85126 より引用) 

劇団ショウダウンさんの持ち味がたくさん発揮されるファンタジー作品,前売りは4000円,当日4500円ですが,25歳以下のU-25の方は2500円で観られます。過去3年間,大々的にオススメしてもしダメだったらどうしよう…と躊躇していたのですが,過去3年共にその躊躇を後悔するレベルで素晴らしい作品を東京で披露して下さったのが,この劇団ショウダウンさんでした。

 

多様な語彙とセリフ量に彩られた本格ファンタジーを楽しみたいならば,間違いなくオススメなのが,この劇団ショウダウンさんです。フライヤー画像も映画のチラシのようなデザインです。

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なお,キャパシティ300のホールの座席はまだまだ余裕があるようです。後で映像で観るとおそらく生の舞台が観たくなるに違いないので,9月23日(土)と9月24日(日)は東京,池袋から山手線で一駅の大塚が最寄り駅,南大塚ホールまでお越し頂ければ幸いです。

 なお,池袋演劇祭のCM大会の映像もYouTubeにアップロードされ次第,こちらの記事に追記したいと思います。(ちなみにTwitter上で当日参加された方がUPしているのを拝見しました。子ども役ではありますが,畳みかけるセリフの魅力の片鱗は確認して頂けると思います。あー楽しみです。)何と特別賞を受賞したとのことですよ。

では,昨年の応援記事でも同じ表現で占めたいと思います。既に観劇したことがある方に伝わるのも嬉しいですが,何よりも本記事がまだ見たことがない方に届き,観劇するきっかけとなるのであれば,これ以上の幸いはありません。

観劇初心者の方へも自信を持ってオススメいたします。皆さまと同じ劇場で同じ作品を目撃できますように。長文失礼いたしました。

 【2017/08/31 17:33追記】

池袋演劇祭のページにCM大会の様子がUPされていました。

www.youtube.com

おそらくは序盤の転換点のシーンかと思われます。全てのセリフを文字起こししたい衝動に駆られますが,ひとまずは宣伝の決めセリフであるこちらだけを。

 魔法の楽園が徐々に姿を変貌させ,そして止まない闇が世界を包み込む。

 さあ,物語はどんな風に始まるのでしょうか。今から楽しみです。