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リブラリウスと趣味の記録

観劇とかパフォーマンスとかの鑑賞記録を淡々と。本務の仕事とか研究にご興味ある方は本家ブログまで( http://librarius.hatenablog.com/ )

【観劇ログ】劇団YAKAN「いま,たっているところ」

どうも。イマイです。

毎日数多くの舞台公演が行われる中,新しい劇団さんと出会えた時は天文学的な奇跡のようなものを感じます。今日はお誘い頂き,初めての劇団さん,初めての劇場へと伺います。劇団名は「劇団YAKAN」,場所は東京は江戸川橋の絵空箱へとやって参りました。

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この劇場は,住宅や会社などが建ち並ぶ地帯の1階部分に位置しています。劇場の外側は普段はシャッターが閉まっているのですが,開場時間になるといったんシャッターが開かれ,入り口のドアが開かれます*1。そして,開演時間になると入り口のドアとシャッターの両方が閉められて,劇場となるスタイルとなっています。

本日はこちらの劇場で行われる劇団YAKAN番外公演「いま,たっているところ」にお誘いいただきました。

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なお,千穐楽は既に終わっていますが,再演時などのネタバレ防止のためにおまじないの改行連打を行っておきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

物語のあらすじは下記の通りです。

「このホシはもう終わりを迎えます」
そんなニュースが僕たちのお茶の間を騒がせてからもう3年。本来ならば僕たち人類は、全員宇宙船フロンティアに乗り込み、宇宙に旅立たなくてはならなかった。しかし、そのフロンティアに乗り遅れた男が二人。僕と藤井だ。僕たちはどうにかして宇宙に向かおうとしたんだけど、全くうまくいかないし、このままじゃこの惑星から発生する有毒ガスで2人とも死んでしまう。どうにかしないと・・・

第一回本公演から3ヶ月、劇団YAKANスタッフが全力で送る番外公演は、SFハイスピードメランコリックコメディ!?終わりかけの惑星で見せる愛と友情と悪ふざけの物語。乞うご期待!!
( 
https://stage.corich.jp/stage/80354 より引用)

開演すると,二人の男性が登場します。一人は藤井という男,もう一人は吉田という男です。藤井は用を足していたが故に宇宙船に乗り遅れた,吉田は宇宙船にわざと乗り遅れた男です。ふと気づくと,1人だけ取り残されたはずの惑星には2人の男が取り残されていました。

さて,残された1人である吉田が冒頭から極端なハイテンションで藤井をまくし立てます。こんなつまらないことで何故取り残されたのかという叱責を,小学校3年生同士のやりとりに変換してわかりやすくした(簡単に言えば,小学生レベルの子供っぽい)やりとりがしばらく続けられていきます。

物語はこの藤井と吉田のやりとりが中心となって進んでいきます。ただし,いわゆるお約束の展開と思われる,切迫感とか焦燥感を描くシーンは,真面目に進行される前にほぼ例外なくギャグが挿入され,お約束のフラグが折られていく感じです。良い意味で裏切りの連続です。特に吉田は隙あらばハイテンションでボケ倒していまして,予想されたストーリーが斜め上に飛んでいって,10分ぐらいしてから顔の前に戻ってきたことさえありました。私はこういう脱線具合が好きなので,声を出して笑いながら拝見しておりました。

一見するとショートコントの集合体のように見えるのですが,吉田のハイテンションなボケと,藤井の力の抜けたツッコミが繰り返されていく内に,物語の輪郭が段々と見えてきました。本来ならば絶望して絶句してしまうかもしれないシチュエーションに追い込まれながらも,おどけたりふざけたりして正気であろうとする二人の様は,正気であろうとするシーンがないからこそ,より強調されている気がしました。

全般的にコメディの装いが強い作品ではありますが,あちこちに余白が設けられていた分,SF的な設定を補完しながら見てみても面白いかも知れません。例えば,なぜ吉田は根暗だと言っているのに,最初から最後までハイテンションなのかという点についてです。私は2つの可能性があるかと思います。1つ目は毒ガスを既に2人とも吸っていて,その影響が行動に表れている説,2つ目は藤井は実はアンドロイドか幽霊で,吉田はコミュニケーションを1人きりで取っていた説です。特に後者として考えると,単純なように見えていた笑いの物語がかなりの滑稽で悲しい物語に様変わりします*2。こんな感じで色々考えられるのもお芝居や演劇の魅力だと思います。

さて,終演後に面白い取り組みがありましたのでそちらも紹介しておきたいと思います。今回の公演チケットはワンドリンク券がついたチケットだったのですが,ワンドリンクを開演前にもらうのではなく,終演後に引き替えるようになっていました。そして本日は千穐楽と言うこともあって,時間のあるお客さんは舞台上の役者さんとともに乾杯ができるようになっていました。

今回出演されていた役者さんだけでなく,裏方のスタッフの方も一緒になって乾杯しつつ,あれやこれやと話ができる時間がそこには用意されていました。こういうフレンドリーな空間もこの劇団さんのカラーなのかなと思いつつ,お誘い頂いた方と一緒にしばしの演劇トークを楽しんでくることができました。

YouTubeのチャンネルもまだ開設したばかりとのことで,今後の展開が楽しみな団体さんです。

www.youtube.com

初めての劇団さんでしたが,お馴染みの劇団さんとはまた違った面白さがあって,演劇の世界はやはり広いなぁと再確認した次第です。お誘い頂いた方に感謝しつつ,劇場を後にした次第です。

stage.corich.jp

*1:住宅地にあることもあって,周囲では騒がないように,そして終演後もその場にたむろさないようにとのアナウンスがありました。

*2:だって,一人で大騒ぎしているだけで,ボケとツッコミを一人でやっているとしたら相当かわいそうです。