リブラリウスと趣味の記録

観劇とかパフォーマンスとかの鑑賞記録を淡々と。本務の仕事とか研究にご興味ある方は本家ブログまで( http://librarius.hatenablog.com/ )

【観劇ログ】鳥の首企画×劇団フェリーちゃん合同プレイベント「カマボコの船出」

どうも。イマイです。

コラボイベントというのは,全国各地様々な箇所,分野で行われていることで,私の本務でも良くあることです。良い感じの交流があるとそれは楽しく充実した時間になります。

さて本日は東西線落合駅までやってきました。ジョーカーハウス繋がりで何となく旗揚げ公演を注目していた劇団フェリーちゃんのイベント参加のためです。イベントということなので,参戦ログとかにすべきかと思いましたが,イベント内で短編の演劇を上演すると言うことで,観劇ログのカテゴリでUPしてみます。

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会場は落合のレンタルスタジオailee。24時間使えるスタジオとのこと。Swarmでチェックインしたら「初めてのダンススタジオです!」とメッセージが出て驚いたのは内緒です。

www.dancestudio-ailee.jp

(トップページからご覧の方は「続きを読む」ボタンをどうぞ。)

 スタジオはカラテ道場の地下B1にありまして,地上からは階段を下りて入り口へと向かいます。入り口では靴を脱いでスリッパに履き替えて入ります。2枚ドアをくぐり,中に入ると,前面には黒い幕が張ってあり,下手側は壁一面の鏡になっています。確かにダンススタジオでした。

下手側の一番端に着席すると,今回のイベントの企画をした鳥の首企画主宰の南条ジュンさんと,劇団フェリーちゃんの主宰のおひとり,なにわえわみさんが登場してきました。

最初はお二人の間で普通に「いらっしゃいませー」など簡単なやりとりをしていたのですが,特に取り決めもない感じのシームレスな感じでトークが始まっていきました。メモを取ったわけではないので,覚えている範囲ですが,ウォーミングアップの方法から始まって,お二人の出会い,後楽園での日曜日デートなど話が展開する内に,なにわえさんのボケがBGMの切れ目でちょうどツッコまれる形になっていて,色々おかしな感じになっていました。もちろん私は声を上げて笑っていました。

さて舞台の上手の壁には,写真にあるような演目一覧が貼ってあります(撮影許可OKでした)。よく見てみると5本の演目が予定されており,それぞれ作と演じる演者さんがシャッフルされています。

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開演前の注意点として,最前列には何かしら飛んでくる可能性があるとのアナウンス。あーこれは液体系だなと直感したので,来ていたパーカーを脱いで,汚れては困るズボンを囲うように膝掛けのような状態でガードをかけてみました。

一応ネタバレしても問題ないと思うのですが,おまじないとしてネタバレ防止の改行連打に移りたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

演目は全部で5つ(上演に合わせてCASTさんの方を補記しました)。

  1. 船出 作/なにわえわみ CAST/伊藤瑛佑 田口祥子 中谷篤基
  2. カワイイ 作/南条ジュン CAST/なにわえわみ 伊藤瑛祐 田口祥子
  3. 三男ぶぅ 作/なにわえわみ CAST/南条ジュン 中谷篤基 瀬川なつみ
  4. アドリブ三人芝居「ピクニック」 作/南条ジュン CAST/なにわえわみ 南条ジュン 瀬川なつみ
  5. マイナス思考クラブ 作/南条ジュン ALL CAST

という5本立てです。一つずつが10分〜15分程度の作品なのでコンパクトで見やすい作品となっています。

  1. 船出 作/なにわえわみ CAST/伊藤瑛佑 田口祥子 中谷篤基
    あらすじ:船出を見送った人と,船に乗り遅れた人。地団駄を踏んで悔しがる乗り遅れた人。悔しがりがあまりに激しく,見送った人はだんだん困惑してきて…。

    *後から考えると,この作品と最後の作品だけ両方の劇団さんが入り乱れる構造になっていたのですね。最初はサイレント芝居かと思うほどの静かな時間が続きながら,中谷篤基さんが強く地面を蹴るあたりの音が強く印象に残っています。芝居だというオチで騙された見送った人が逆襲する*1アンサーバージョンがあっても面白いかなと思いました。

  2. カワイイ 作/南条ジュン CAST/なにわえわみ 伊藤瑛祐 田口祥子
    あらすじ:テーマパークに来た男性1名,女性2名の3人組。楽しくテーマパークでのファンタジーを楽しんでいるかと思いきや,なにやら様子がおかしいようで…。

    *思わずTwitterで「プロレスで言えば東スポ案件」と申しあげた*2飛び散りアリのお芝居です。仲睦まじいかと思いきや,血みどろの愛憎劇が展開されて,驚きましたがその切れっぷりを維持し続ける役者さんたちが凄いなと素直に思います。なお,血糊もといケチャップはかなりの広範囲に飛び散っておりまして,お隣さんが凄いことになっておりました*3。なお,デス電所とかを見に行ったことがあるので,私はこういうタイプOKです。舞台上の狂気はむしろ好きなくらいでして。

  3. 三男ぶぅ 作/なにわえわみ CAST/南条ジュン 中谷篤基 瀬川なつみ
    あらすじ:三匹の子ぶたの後日談。無事レンガの家でオオカミを捕まえた子ぶたの所へ母ぶたが訪ねてきます。オオカミを鍋にして食べようとした子ぶたは突如母ぶたに猛抗議をするのですが…。

    *お遊戯会とかで良くありがちな頭に紙のお面をつけて,子ぶた,母ぶた,オオカミが出てくる感じで子ども向けの作品かと思いきや,子ぶたが突然哲学や宿命に目覚めたり,オオカミに急に惚れたりなど,童話の形式を借りて命題に悩む一個の存在を描いた本格派のお話。最後に子ぶたが「今度はわらの家に住む」と吐き捨てるあたりは残された者の悲哀を感じました。

  4. アドリブ三人芝居「ピクニック」 作/南条ジュン CAST/なにわえわみ 南条ジュン 瀬川なつみ
    あらすじ:公園でピクニックデートをしている男女2名,楽しくポテトチップやコロッケを食べながらじゃれ合い,彼氏は彼女へプロポーズするのですが,彼女の隣にはなぜかもう一人の男性が最初から座っていて…。

    *アドリブだとは思えないほど,スムーズにお話が流れていっていました。どこからどこまでが筋があったのか(たぶんキーとなるシーンだけ決めて,後はアドリブで繋げていらっしゃったのだと思いますが)分からない感じで,大変興味深かったです。最後のどんでん返し,まさかの最初にプロポーズした彼が死んでいたパターンはちょっとしたホラーを感じました。ところで風とお話ししていたのなら,あのコロッケはいずこに…(←そこか

  5. マイナス思考クラブ 作/南条ジュン ALL CAST
    あらすじ:とにかくネガティブに考えることしかできない生徒が集まった放課後の教室。先生がそれぞれの生徒のネガティブなエピソードを聞いていくうちに,生徒がネガティブなことを考えるのは家族がいないからだという話が出てきて…。

    *小さい話でしたが,いろいろな重いテーマとかねじ曲がった感情が入り乱れていて,見応えがあるお話でした。この5作目に関しては役者さんたちの独白が大きな声量とも合わさって飛び込んできて,これまでの4作品とは違った舞台作品の1部分を切り出してエッセンスだけをみせていただいているような,そんな迫力を感じました。幸か不幸か2作品目のケチャップ血まみれのシャツを着たまま登場している3人は,この作品の語られなかった部分で一事件起こしていそうな感じが出ていて,別の怖さや迫力を感じました。 

以上,あっという間の1時間でした。良い感じの緩い始まりからテイストの違う五本の短編乱れうち。こういうカオスな感じが私は好きです。

正直,劇団フェリーちゃんのパフォーマンスだけ見られれば良いやと思っていました。もちろんフルサイズのお芝居ではないスタジオ公演の制約はあるのですが,片方の劇団のファンでももう片方の劇団さんを知ることのできるショーケース的な役割があるのだなーと思いました。こういうコラボイベントは楽しいです。

南条ジュンさんをはじめ,鳥の首企画の役者さんも劇団フェリーちゃんの役者さんたちも本気で魅力的な方達だったのが大変嬉しかったです。思わぬ発見のある1日でありました。

では,最後に今回のコラボした劇団さんのブログを2つ貼り付けておきます。どちらも最新作が3月もしくは4月に控えているので,是非ご注目のほどを。

ameblo.jp

ameblo.jp

 

 

*1:乗り遅れた人の話を本気にして,船に追いつく手立てをその場で取ってあげて演技している方が慌てるパターン

*2:詳細はこちらの方の記事をご参照ください。→サイプレス上野 永源遥を追悼する

*3:たぶん鏡の所の黒い幕にも跡が残っているはずなので,片付けの時にはご参考に。