リブラリウスと趣味の記録

観劇とかパフォーマンスとかの鑑賞記録を淡々と。本務の仕事とか研究にご興味ある方は本家ブログまで( http://librarius.hatenablog.com/ )

【観劇ログ】劇団C2 C2-Project vol.20「ENGAGE」

どうも。イマイです。

運命という言葉は,覚悟を決めるとき以外には,とっておきの言葉にしておきたい男の子です。観劇が立て続けになっていますが,溜まった仕事に頭を抱えることはあっても,本人は演劇が大好きなので至って元気なものです。

1.はじめに

本日はまたまた池袋はシアターグリーンへ。以前拝見したことのある劇団C2さんの「ENGAGE」を観に伺いました。

 劇団C2さんを前回拝見したのは,Vol. 17の「BRAKE」でした。テンポ良いアクションや役者さんの熱量が印象的だったので,次回公演も是非…と思っていたのですが,気がついたらそこから2公演どうしても見られない状態でした。

今回,タイミングが良い感じで合致しまして,Vol. 20を観に伺うことが叶いました。今回の舞台も殺陣やアクションがふんだんに盛り込まれているとのこと。楽しみにしながら伺いました。

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C2さんの舞台はまだ数多くは拝見できていないのですが,とにかくアクションや殺陣をはじめとしてカッコイイシーンが数多くある印象です。たとえば,Vol. 17の「BREAK」の序盤映像がYouTubeで公開されていますが,殺陣の応酬です。

www.youtube.com

では,千穐楽前なのでネタバレ防止の改行連打をしたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2.あらすじなど

物語のあらすじは以下の通りです。

その太刀は人の創りし英知。 時に抗う為の、鬼を討つ白き太刀。その太刀は時の生みし粛清。 人を制する為の、鬼の操りし黒き太刀。
悠久の流れの中で、人は時に抗い、 時は鬼という異形の力を以ってそれを凌駕し続けていた。
しかし…一人の男がその歯車を狂わせる。
深い眠りから覚めた彼らの観た景色。
それは…全てが歪んだ… …塗鬼と名乗る王の統べる、時の乱れし世であった。
尚も鬼に抗わんとする人。
それを圧倒する塗鬼。
争いの只中には白と黒…二本の太刀。そして二本の太刀に運命を握られし男と女。
抗い続けるさだめの中で二人を結びし小さな約束…

その果てにあるものとは……。

https://stage.corich.jp/stage/79296 より引用)

BIG TREE THEATERに到着して,受付で予約チケットの半券をもぎってもらいます。そこで名前を聞かれるので,何か私やらかしたかな?と思っていると,予約者特典の缶バッチとポストカードを頂戴しました*1。前日に滑り込みで予約したのにもかかわらず,このような特典を頂けるというのは大変嬉しいですし,これだけで観劇前のテンションも上がってきます。

客席に入る前に,Vol. 17の「ENGAGE」のDVDを購入。こちらもおまけとしてENGAGEの公演パンフがついているとのこと。太っ腹すぎて心配になるほどです。今回は買い求めませんでしたが,今回公演のキャストさんのブロマイドも全種類そろっていまして,サービス満点な感じが物販コーナーからだけでも伝わってきます。

客席に到着して,お手洗いを済ませ,のど飴を放り込んで開演を待っていると役者さんが4名舞台前に登場してきました。パンフレットの手売りが始まります。開演前のスタンバイの一番緊張するときにもかかわらず*2,こういうおもてなしがあるのは大変に嬉しいです。受付で先にパンフレットを買ってしまっていたので,購入はできませんでしたが,役者さん本人ではなく役のキャラクターを崩さずに客席内を歩いてくださるので*3,作品の世界に入り込ませるためには割と大切な取り組みなのではと最近思う次第です。特にひなの役のRiCOさんがこの段階から,自由奔放な姫役を徹底していました。例えば,他の演者さんが必死にカタカナ語を使わないように漢語調の言葉に言い換える中,ブロマイドと堂々と使って周りにあきれられるという感じ。これ自体が一つのネタだったのではないかと思うくらい,これだけで楽しめる感じのやりとりでした。なお,用意されていたパンフレットは無事完売したようで何よりです。

舞台上は壁といくつかの段が組まれたシンプルなもの。開演すると,いきなり塗鬼(とき)というラスボス級のキャラが登場し,新宮兼光,新宮みこと,新宮統の3人が戦いに挑みます。兼光のもつ白き太刀は塗鬼を倒せる唯一の道具,3人は善戦するも敗北し,塗鬼によって封印されてしまいます。

暗転後,舞台は1800年代の日本へ切り替わります。主人公達は封印され,前回の鬼との対決から何と300年が経過していました。官軍と幕軍もとい,鬼が率いる管理統制を行おうとする「管軍」と火縄銃を手に管軍と一戦を交えている火で暴軍,通称「爆軍」の闘いが続く世界です。

部隊が明るくなると,「爆軍」の一行,河崎駿吾,河崎せい,水島征太,小塚りんが「管軍」の賊に襲われます。駿吾とせいはその混乱の中から逃げ延びようとするのですが,追っ手に捕まってしまいます。さあ命がいよいよ危ないというところで,謎の浪人細田衛輔に条件付きで助けられます。その条件とは,このことは「せいが起こした奇跡であり,俺が倒したのではない」とすることでした。

シーンは変わり,2人の隠密,磯貝みつと正治郎に連れられて,高橋八助が岩戸の封印を解きます。それによって目覚めた兼光とみこと。統がそばにいません。おそらくはあの戦いで…二人が気持ちの整理をつける間もなく,「爆軍」と「管軍」の戦いに巻き込まれていく二人。統の行方は,「爆軍」と「管軍」の戦いの結末は,そして塗鬼との決着はいかに。この物語の結末はぜひ舞台もしくは映像でご覧になっていただければと思います。

3.みどころ

冒頭で申し上げたとおり,序盤の対決シーンから,キレの良い殺陣やアクションがふんだんに盛り込まれています。オープニングにもかかわらず,照明やアクションの効果も相まって迫力ある部隊が展開されます。そして,全キャストが登場し見栄を切りながらダンスを披露する「キャストパレード」*4です。テレビアニメのオープニングでもワクワクするように,「キャストパレード」は始まるだけでワクワクしてきます。そしてC2さんの場合はダンスも見栄切りもキチッと決めてくるので,さらにテンションが上がります。

物語もドラマチックな展開で,序盤の主人公チームだと思っていた統がまさかの黒幕で,時をねじ曲げていたこと,そしてその黒幕を打ち倒すために兼光と衛輔,塗鬼の3人が協力して統に挑むあたりは,敵と味方が一緒になってラスボスに立ち向かう展開が大好きな私としてはとてもうれしい展開でした。

そして運良く最前列に座れたからかもしれませんが,とにかく役者さんたちの熱演っぷりが伝わってきて,一時たりとも目を離すことのできない2時間でした。メインの3人の見事な殺陣,そして見栄の切り方は男でも惚れ惚れする見事さでした。ラストの殺陣はDVDが送られてきたらたぶん何度も見返すこと間違いなしです。

そしてこの物語の黒幕,統と未散も大悪人には違いないのですが,語られていない悲しい物語を抱えていることが垣間見えました。変えようとした運命そのものに翻弄されるあたりも皮肉です。未散がラストシーンで涙を流しながら叫ぶシーンは,これぞ演劇だと思える美しくも悲しいシーンでした。

そして,脇役ながらも,開演前のパンフ売りから終演後まで良い感じの自由奔放さでうっかりすると埋没しがちな,ひなのと言う役を非常に魅力的に演じられていたのが印象的でした。大したことのない城主であってもあれだけ自由奔放で可愛らしければ,まわりは許すし,ついて行くなあという説得力があった気がします。帰りに思わずスルーしてしまいましたが,ブロマイドを熱心に勧めるあたりもひなののキャラであって(もしかしたら役者さんの地なのかもしれないのですが),非常に印象的なキャラクターでした。

4.おわりに

拝見しながらワクワクして,そして思わず最後には涙するような,充実したエンターテイメントの2時間でした。感激初心者の方にもおすすめできるわかりやすさがあり,そして見所いっぱい,カッコイイシーンがいっぱいの舞台です。今後も劇団C2さんには注目していければと思いながら,シアターグリーンを出てきたのでありました。

stage.corich.jp

*1:どの役者さんの扱いか確認するために名前を聞かれたようです(ちなみに私は劇団扱いにしていました)。

*2:権藤役の方はおなかが痛い発言もされていたほどですし

*3:それでも本名ネタとかはありましたが

*4:末満健一さんの舞台で用いられる用語なので,本来はオープニングダンスとかオープニングアクトという方が適切かと思いますが,全キャラクターの良さが出てくるこのシーンの良さを説明するために,「キャストパレード」と言う言葉を敢えて使います。