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リブラリウスと趣味の記録

観劇とかパフォーマンスとかの鑑賞記録を淡々と。本務の仕事とか研究にご興味ある方は本家ブログまで( http://librarius.hatenablog.com/ )

【観劇ログ】オペラシアターこんにゃく座「オペラ『想稿・銀河鉄道の夜』」

どうも。イマイです。

ご贔屓の劇団さんが複数できると,それを追うだけで精一杯になりがちですが,世の中たくさんの演劇,パフォーマンスが上演され続けている中で,それらを見逃し続けるのも悔しいところです。

そんな気持ちがあるためか,お誘いを頂けるとそれだけで嬉しいですし,一緒に観に行く方がいらっしゃるならなおさら嬉しいのです。

本日は本務先である白百合女子大学の国文学会での観劇会に混ぜていただき,世田谷パブリックシアターまでやってまいりました。

オペラシアターこんにゃく座さんの公演です。こんにゃく座さんも初めてであれば,世田谷パブリックシアターも初めて*1です。

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 (トップページからご覧の方は「続きを読む」リンクをクリックして下さい)

お誘い頂いたメンバーと合流後,劇場内へ。三階席の最前列で,舞台を上から見下ろす感じの席です。

Corichの紹介によれば,今回の公演は以下のような内容とのことです。

 

宮沢賢治の代表作『銀河鉄道の夜』をもとに、劇作家・北村想が書いた戯曲「想稿・銀河鉄道の夜」を、萩京子作曲でオペラ化。2010年にシアタートラムで初演され、再演を望む声が数多く寄せられてきた本作を、宮澤賢治生誕120周年記念公演として新演出で上演します。生演奏でおおくりする舞台に、どうぞご期待ください。

https://stage.corich.jp/stage/79978 より) 

オペラ自体をきちんと劇場で拝見したことがなかったので,敷居の高いものだったらどうしようかな?と若干不安にはなりましたが,まぁ楽しんでしまえばよいのさとばかりに開演を待ちました。

既に千穐楽を迎えていますが,ネタバレ防止のためおまじないの改行を連打しておきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

開演後,懸念は杞憂だとすぐに分かりました。宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を下敷きにしながら,軽妙にせりふや歌が展開されます。

www.youtube.com

上記の宣伝動画でもちょこちょこ見えていますが,演者さんが舞台上を飛び回り,歌にダンスにと教科書や音楽の授業で見たオペラの知識で止まっていた私としては,序盤から驚きながら,目の前の舞台を楽しんでいました。

上から見下ろしているお陰で照明の切り替わりや,色の重なり具合も大変よく分かるようになっています。照明の三角,まだら模様など色が次々と変わっていく様子は底だけを注目していても楽しめそうな感じでした。

上記のYoutubeでもBGMとして使われている「ケンタウルス露を降らせ」と歌うシーンあたりで,私はすっかり不思議かつ透明感のある世界に入り込んでいました。良いシーンだったなぁ…と余韻に浸りながら,ネットを見ていたら,演者の方がYouTubeに動画を挙げられているのを発見したので,こちらに貼り付けておきます。名曲です。

www.youtube.com

銀河ステーションでジョバンニとカンパネルラが列車を待つ間,ホームに訪れる奇妙な乗客。彼らはとても魅力的であり,発掘された漫才には声を上げて笑いました。鳥を捕る人,尼層,一人の少女など,クセの強い登場人物に注目している間に物語は進みます。

そのようなファンタジーの物語と同時進行で,ジョバンニとカムパネルラの物語も進行していきます。「ねえ,カムパネルラ,ぼくたちは一緒に行くんだよね」「ぼくたち,死んだらどうなるんだろうか—」やがて訪れるジョバンニとカムパネルラの別れ,そしてエピローグの教室でジョバンニがカムパネルラとともに銀河をめぐった旅を歌で語るあたり,気がつけば瞼が熱くなっているのを感じました。優しいけれども,提示されているものの大きさや重さが伝わってきた瞬間でした。

舞台装置も印象的でした。舞台後方に大きな二重の輪が吊されているのですが,この輪が冒頭では宇宙を描き出すプロジェクターのスクリーンとして,そして中盤では振り子が通過する文字盤として,終盤では蠍座の赤星を見つめるファインダーとして,背景を彩ります。序盤,やや下手側を正面にした形で組まれていた教室の机も,ある時は台になり,ある時はホームのいすになり,ある時は曲がりくねった道となり,いろいろな姿を見せます。

こうした多様な使われ方を見ていると,物語や演出は全く異なるのですが,維新派さんのMAREBITOをふと思い出しました*2

演者さんの台詞や歌は全くぶれることなく,この透き通った舞台の屋台骨を支えています。個人的には,ケンタウルス露を降らせ」のシーン,車掌のシーン,青年が客船での一見を歌い上げるシーン,ラストのジョバンニの歌はもう一度位置を変えて拝見したいほどの名シーンでした。

私は宮沢賢治の作品を読み込めていないので,ちゃんとしたことは書けないのですが,宮沢賢治の作品は読む度に,不思議で,それでいて絵空事ではなく何か現在とつながるような重しがある感じがします。今日の舞台でも不思議とか,透明感とかそういう単語とともに空想とか,絵空事では片づけられない何かが記憶に残りました。

いつも観ている小劇場とはまた違った楽しさで,こういう楽しさがまだ世の中にたくさんあるのだということ,そしてそれを見つける楽しさもあるのだと言うことを,今日の観劇会で改めて認識いたしました。

今回企画して頂き,当日の観劇に混ぜて頂いた白百合女子大学の国文学会の皆さまに改めて感謝申しあげます。大変楽しく,そして発見のある一日でした。感謝。

stage.corich.jp

*1:小劇場好きとしてどうなんだというツッコミが飛んできそうですが…

*2:単に観ている位置が似ていたから連想しただけかもしれませんが…