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リブラリウスと趣味の記録

観劇とかパフォーマンスとかの鑑賞記録を淡々と。本務の仕事とか研究にご興味ある方は本家ブログまで( http://librarius.hatenablog.com/ )

【観劇ログ】劇団ショウダウン「錆色の瞳、黄金の海」(2016年版)

ども。イマイです。

今年もバンバン観劇して,どんどん心動かされて,その記録のログをバリバリ書いていきたいと思います。よろしくお願いします。

さて新年最初の観劇は,昨年に引き続き,劇団ショウダウンさんから始まります。東京は池袋,シアターグリーンBASE THEATERへ向かいます。

劇団ショウダウンさんの魅力は,その公演ももちろんのこと,フライヤーも大変にカッチョいい所にあります。本チラシは当日まで観劇の機会が無かったこともあってゲットできませんでしたが,本日は無事,会場にてゲットすることが出来ました。堀川さん撮影・デザインのチラシを拝見しながら,観劇前の気持ちを高ぶらせていきます。

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では,ネタバレ防止の改行連打と(続きを読む)モードを使いたいと思います。トップページからご覧の方でネタバレOKの方は,続きを読むをどうぞ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回の物語は,2014年上演作品の再演です。あらすじは下記の通りです。

2年前、大阪のみで上演した

『錆色の瞳、黄金の海』に
新しい息吹をあたえ、よみがえります。

~巨人と少年の物語~

僕の村には木の人形がいた

イハナと名付けられたその人形は
90年村を守って
30年眠り続けて
そしてまた動き出す

朽ち果て、
錆び付き、
崩壊を止めることもできず、
誰もその行動を理解できぬまま、
イハナは石を集めだす。

心を持たぬゴーレムが、
その錆色の瞳に映すのは、

灰色の奈落か?!

黄金の海か?!

http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_id=68117

 今回は余計な先入観を持たないように,前回公演のDVDは30分だけ観ておいて(←中途半端),観劇に臨みました。前回公演とは異なり,ヨーロッパを想像させるBGMに包まれながら会場に入ると,舞台上は素舞台ではありませんが,最低限のセットで組まれています。舞台上の写真を貼り付けたので,参考にしていただければ幸いです(本公演は終演後に舞台上の撮影OK+ネット公開可です)。このセットが時には崖に変わり,時には川縁になり,時にはただの段差になります。

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今回のストーリーはミルキという10歳の少年と,イハナのゴーレムとの間で展開される成長が物語の柱となっています。子どもも楽しめそうなお話でありながら,本格のファンタジーです。初演はたった4名ですが,本公演もわずか7名で,広大な草原,険しい山々,辺境の村から,都会までを,縦横無尽に駆け巡り,そして表現していきます。

よって,各役者さんの演じる役は2役も3役もあり,そのたびに演じ分け,そして印象を残していくのですから,役者さんというのはひたすら凄いのだなと思います。

ミルキの純真さが故に引き起こされる行き違いも,最後のシーンへ向けた複線であって,ハッピーエンドのはずなのに終盤,思わず感涙を止めることができないほど,心動かされるストーリーでした。

 

以下,やや恒例になりつつあるキャスト全員をご紹介しつつ,一言ずつ付ける試みをやってみたいと思います。

主演の林遊眠さん演じる「ミルキ」はこの舞台のストーリーテラーであり,主人公として物語の視点を提供します。台詞量は他の役者さんの2倍も3倍もあるレベルで,覚えるのだけでも大変かと思いますが,そんな心配を舞台上では欠片も見せず,安定の熱演です。台詞の明瞭さに加えて,スピード感,そして舞台上の空気を一言で一変させられるパワー。どれをとっても最上のものです。日常生活でどんなに大変なことがあっても,林さんのあの縦横無尽な熱演を思い出すと,もう少し頑張ろうという元気が出てきます(ブログで時折書かれている舞台へのまっすぐかつ謙虚な姿勢は自分も世界は異なりますが,指針としたいくらい,毎回心動かされます)。

小野村優さん演じる「ミーシャ」,「カウニス」,「術師たち」。ミーシャはミルキを優しく包みながら,カウニスは命令に忠実に,でも時折人間くささに憧れるようなそぶりを見せて,物語な展開を支えます。母親とホムンクルスという全く違う性質のキャラは,外見上では衣装の細かな相違でしかないのですが,全く違和感なく最後まで観られました。小野村さんの柔らかい雰囲気はカウニスをただのロボットではなく,人間になりたいホムンクルスの微妙な感じと通じていたような気がします。

上杉逸平さん演じる「シェバ」,「使者」。シェバはいったいどこまで知っているのか,謎は最後まで残りますが,少なくともシェバの歩んできた道のりだけでも一つの長大な物語が構築できるような気がします。パイドパイパーでの上杉さんが演じる「レスタト」とは異なり,人間くささたっぷり。渋い声と大柄な体と安定の演技が,前回はパイドパイパーと渡り合う強力な笛吹きを想起させましたが,今回は全てを分かり絶望を味わいながらも,少年とのふれあいを通じて,最後に希望を見いだす男の姿とピッタリ重なっていて,印象に残りました。(実はシェバはミルキの父親なのでは…と思うくらいの頼れる男性でした)

飯嶋松之助さん演じる「ザハ」,「技官」。ザハは頭が空っぽでも,心は広く深い海のように受け止められる中身が詰まっている感じで,カッコ良い感じでした(ただし中二病)。パイドパイパーのヒースと同じく,ザハは不器用でカッコいいのですが,飯嶋さんの立ち居振る舞いのカッコ良さやおどけられる幅の広さと相まっていて,今回の方がヒースよりも芯があって覚悟が座っている,要するにヒースとは違ったカッコ良さがありました。

真壁愛さん演じる「イクシ」,「先生」,「術士たち」。むちゃくちゃだと頭でちゃんと理解しながらも,お頭であるザハを慕って,支えようとする純真さは,この舞台に通底する登場人物の優しさとつながるところで,脇役ですが重要なパーツだと思いました。真壁さんはパイドパイパーのミリアムをはじめとして,お姫様という印象が強いのですが,今回は頼れる姉御肌の役で,また異なった側面を拝見できたのが嬉しかったです。どことなく漂う品の良さは,イクシの優しさを強調していたと思います。

宮島めぐみさん演じる「おばば」,「術師たち」。怖い大人の象徴のような「おばば」も,実は村のことを案ずるが故の怖さであって,最後にあっさりとミルキやミーシャを許していて,この物語に悪人はいないと確信させる役割を果たしていました。宮島さんはパイドパイパーのエスターとは異なって,子どもから老人まで,今回は一番年齢の振り幅が大きい役どころだったと思うのですが,確かに目の前にはその年齢に応じたキャラが存在していました。そして,後で配役表を見返して「えっ?こんなに名前のついた役は少なかったのだっけ」と思うくらい,魅力的なモブキャラが多く演じられていたのが,記憶に残っています。

上野みどりさん演じる「アルクペ」。この舞台の黒幕で大悪人のように見えながら,実は誰よりもイハナを思っていたことが見えるこの世界最初のゴーレム。中盤まで悪役だと勘違いしていました。ごめんなさい。上野みどりさんは初めて拝見する方で,良く存じ上げていなかったのですが,凜々しく高貴な感じが都会,そして身分の高い人物の雰囲気とピッタリ合わさっていたと思いました。テノヒラサイズは名前は存じ上げていてもまだ未見の劇団さんなので,今度ぜひ拝見してみたいと思います。

そして,前回のパイドパイパーでも盛んに申し上げましたが,とにかく照明と音が素晴らしいです。舞台を包む青の照明は何度でも拝見したいくらい,それこそ写真に撮っておきたいくらい綺麗なシーンですし,終盤にたたみかけるシーンで入り乱れる音と赤の照明は,ぜひ一度生で見るべきと言いたくなるほどの圧倒感でした。どうしても観られない人はぜひ後日販売予定のBlu-rayバージョンの公演記録を見てみてください。

そして,今回は何よりの幸運として,土曜日の2公演目と3公演目の空き時間にこのブログを書けています。そう,この後,3公演目を見てくることが出来るのです。こんがらがった頭をクリアにして,もう一度この世界に浸ってきます。

明日日曜日まで,池袋シアターグリーンBASE THEATERにて。2016年は劇団ショウダウンさんに要注目です!

stage.corich.jp

 

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