読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

リブラリウスと趣味の記録

観劇とかパフォーマンスとかの鑑賞記録を淡々と。本務の仕事とか研究にご興味ある方は本家ブログまで( http://librarius.hatenablog.com/ )

【観劇ログ】劇団壱劇屋 MASHUP Project Vol. 3 「サンプリングデイ」

ども。イマイです。今年は2ヶ月に1度,大阪遠征が続いています。その大きな理由は,劇団壱劇屋さんのMASHUP PROJECTでした。MASHUP PROJECTもいよいよこれでFinal。全て映像化はされないようなので,これっきりの舞台です。

最終作となるのはSundayのサンプリングデイです。

sunday play#3 サンプリングデイ

Sundayと言えば,私は「心がわりエアポート」「四月のさかな」をUstream映像で見ただけで(ウォーリー木下さんの作品としてはオリジナルテンポを拝見していますが)ほとんど初見です*1。まあもう気にしないで楽しむことに致しましょう。

stage.corich.jp

では,今日もやって参りました,大阪の日本橋のin→dependent theatre 2nd。入り口ではお馴染みのチョークアートが迎えてくれます。

f:id:librarius_I:20150822132500j:plain

そして,今回は特別なアートが迎えてくれました。なんと劇団員の河原さんがチケット予約Ustreamの時に,電話口のインタビューと簡単な質問だけを頼りに私の似顔絵を描いてくださったのです*2。本当に本当にこういうご配慮が嬉しくて嬉しくて,大阪に来るのが楽しみでした。

あんまりにも好きで好きでたまらないので,今回はトートバッグに物販のバッチをちりばめてみました(聞いてない)。

f:id:librarius_I:20150822130134j:plain

以下,恒例のネタバレ防止用改行連打です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まず今回の題材を伺ったときに連想したのが,チュンソフトアドベンチャーゲームソフト「428」や「街」でした。今回の物語はとにかく断片がクロスしたり,すれ違ったりしながら1日という時間を行きつ戻りつ,進んでいきます。もし,これから観る方で,これらのアドベンチャーゲームが好きな方にはたまらない話だと思います。ゲームのように選択肢によって展開が変わるわけではありませんが,それ以外はまさにリアル・ザッピングシステムです。

舞台では5×5のエリアを役者さんが縦横無尽に駆け巡ります。それはまるで脳のシナプスが電気信号を伝えている世界のよう。そういえば,シナプスは今回のヘッドフォンのような形をしていて,電気信号を捕まえる役目をもっているのですよね。時にはゆっくり,時にはダッシュで電気信号が縦横無尽に舞台を駆け巡っていました。

音楽で私の大好きな変拍子でお馴染みのファーマーズマーケットが使われているのが嬉しかったです。冒頭の10分間PVでこの音楽を聴いた瞬間,これだけで元は取れると確信しました。あの音楽で大熊さんが舞い踊ってくださるだけで,もう大興奮なのです。そう,これはリアル・サウンドノベルだ!(違)

なんと,今日のマチネの回は照明トラブルがあったとのことで,地明かりが途中でついたままラストシーンまで展開していきました。てっきり演出かと思ったのですが,実は照明機材トラブルだったとのことで,終演後,カーテンコールはほぼこの件の謝罪に当てられ,昼間の回は任意の公演に振り返られる措置が執られました。

劇団員の皆さんのその姿がすごくすごく誠実であって,本当にお客さんのことを第一に考えている劇団さんなんだと,壱劇屋さんがもっと好きになった次第です。ちなみに2回目には,照明に着目して観ていたのですが,本当に壱劇屋さんは照明のタイミングと動きが綿密で,観れば見るほどその技に魅せられます。

西分さんの演じるカレーの解説者はキャラが濃かったなあ−。松屋オリジナルカレギュウは今度食べてみます(笑)。そういえば,西分さんが演じていることで,子どもがカレーの踊りを踊ることに,別キャラクターながら説得力が持たされていて,大変興味深かったです。

この舞台では感情を高ぶらせることはないだろうな…と思っていたのですが,ラストにかけてグッとくるシーンがありました。大阪城へ劇中のキャラクターである「高橋くん」と女性が向かうシーンで,「高橋くん」が口にする「キャラがそろってきた」という何気ない台詞。これまでに起こってきた奇跡が一気に私の中でプレイバックされて,そのまさに「有りがたい」ことに感動してしまって,目が潤んでいました。そういえば,あのゲームの428も話が進むごとに,キャラクターがそろっていって,最後の最後で全員集合するのでした。

エンディングで提示されるダンスは,銃撃戦有り,騎馬に乗るシーン有りとまるで人類の発展史を駆け抜けているような印象さえありました。わずか一日の出来事をサンプリングしただけなのに,まるで宇宙とか世界とか歴史とかを全部包含するデータがそこにありました。あれは人それぞれが持つ祖先の記憶なのでしょうか。

でも,私はこのシーンにMASHUP PROJECTの3つの物語のエンディングシーンのような錯覚を覚えました。「GOLD BANGBANG!!」,「Windows 5000」,「サンプリング」までの取り組みがいよいよこれでFinalになる。音楽と踊りとともに,私には見えないはずのエンドロールが確かに見えました。遠く大阪の地で上演しているのにもかかわらず,3つとも観劇することの出来た奇跡をそこに重ねながら,そのシーンを大切に大切に今でも思い返しています。

新参者のにわかなので,これからの壱劇屋さんにどうつながるのかなんて,えらそうなことは全く言えません。でも,PVバージョン2のタイトル「It is...」にひっかけて考えるのであれば,今回のMASHUP PROJECTで提示されていたのは,壱劇屋さんの多様性と,可能性だったのではないでしょうか。エンタメも不条理も何でも飲み込んでMASHUPできる,そんな現在進行形の進化に立ち会うことが出来たのは何よりの幸せでした。

最後に,劇団の皆さんに届くかどうか分かりませんが,本当に本当に素晴らしい3作品を魅せてくださってありがとうございました。皆さんが上演しなければたぶん観ることも,知ることさえ叶わなかった素晴らしい作品を知ることが出来ました。そして,全力で楽しませようとしてくださる姿に,嬉しくなったり勇気づけられたりして,上演までの日を心待ちにすることが出来ました。これからも素晴らしい作品をたくさん上演されるのでしょう。私は1本でも多く,その場所に立ち会って楽しんでいけるように体力とか,スケジュールとか,お金とかを確保できるよう頑張って参りたいと思います。

多謝。

 

*1:まー,元々マッシュアッププロジェクト自体の3作品,全部未見だったんですが。

*2:ご本人に掲載許諾を得ていないので元の絵をご覧になりたい方は,私に直接お問い合わせください。素敵な絵ですよ。ちなみにヒントはコロッケとメガネだけでした。