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リブラリウスと趣味の記録

観劇とかパフォーマンスとかの鑑賞記録を淡々と。本務の仕事とか研究にご興味ある方は本家ブログまで( http://librarius.hatenablog.com/ )

【観劇ログ】劇団壱劇屋 MASHUP PROJECT VOL.1「GOLD BANGBANG!!」

ども。本務先は新学期が始まりまして,師走を4月から展開する忙しさです。でも,趣味の観劇は一月2回ペースを守りたくて,かつ観るんだったら観たいものを観たくて,大阪日帰りを敢行しております。

劇団壱劇屋さんは,池袋のてあとるらぽうで拝見した「UNKNOWN HOSPITAL」以来,機会があれば伺っている劇団さんです。

ichigekiyaoffice.wix.com

その壱劇屋さんが関西小劇場の伝説の作品を再演,といってもただ再演するだけではなく,壱劇屋のテイストを加えて上演するMASHUP PROJECTが5月から8月の間に3本行われます。

stage.corich.jp

その第一弾は,末満健一さんが脚本/演出を担当,2005年にピースピットで上演された「GOLD BANGBANG!!」です。ピースピットと言えば,私が関西小劇場にのめり込む結果となったきっかけ。 「SMITH」「有毒少年」「MOTHER」といった作品は,後から映像で拝見しただけですが,劇場へと向かうきっかけとしては十分すぎるほどのクオリティでした。 残念ながら「GOLD BANGBANG!!」自体はまだ観ていなかったのですが,劇団壱劇屋さんのパワフルさでどう展開していくのか,新年度早々で色々先立つものとかが気になる時期ですが, そんなことは研究室の引き出しにでもしまって,大阪・恵美須町のin→dependent theatre 2ndへ向かったのでした。

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(その前に,恒例となった観劇三昧さんへ伺って,少し物販で買い物をして,その後楽しくお話ししてきたのですが,その話は別エントリで書くことにします。)

さて,壱劇屋さんの舞台です。開場した客席に座ったところ,舞台上が赤,黄,青のスポットがそれぞれ別の場所を照らして点灯しています。信号機で3つの色が全てついていることは, 故障や異常によるものであり,まさにこれから展開されるドタバタを予期させてくれています。

「GOLD BANGBANG!!」の舞台は,トラブルタウンという街。あまりに数多くのトラブルが起きるので,トラブルメーカーを登録制,そしてそのトラブルに立ち向かう便利屋も登録制にして,合法化してしまった街です。 街中には数多くの監視カメラが取り付けられ,トラブル自体を観光資源にしてしまった,現実にあったらさぞ迷惑な街の物語です。

この舞台の中心人物となるのが,街の便利屋としてNo. 2の地位にあるフジコ・リーディングデイズ。物語は彼女の大切にしているあらゆるものが盗まれ,その犯人探しをするところから始まります。ちょうど街はハロウィンで,市長選挙期間の 最終日。フジコの大切なものを盗んだ犯人は見つかるのか,そして市長選挙の行方は…という所からお話が始まっていきます。

たくさんのキャラクターが出てきますし,物語も複雑そうなのですが,観ている方はそんなことを全く意識しなくても大丈夫です。何せ,個性的かつアクが強いキャラクターばかりがそろっていて,このキャラクターが 行動するのを観ているだけでも全く飽きません。そして,物語自体も冗談と真実が入り交じって,どっちが本家だったかを忘れてしまうくらい,楽しさがちりばめられた舞台です。そう,エンターテイメントとして 笑いたいところで笑ってしまって良いお芝居なのでした。本当,悩んでいることとか,落ち込んでいることとかを一回スッキリ忘れて,頭を空っぽにしてみるくらいの勢いで良いと思います。

でも冗談は冗談でも,手を抜いた冗談ではなく,壱劇屋さんの東京公演で拝見したパワーとか,エネルギーの膨大さに裏付けられた,真面目な本気の冗談です。終盤のあるシーンは,相当の稽古量と体力が無ければ, ただのぐだぐだなシーンになる危険性の高いところですが,見事に文字通り「駆け抜けて」いました*1ともあれ,千穐楽まで役者さんに大きなけがなどがないよう願っています。

ラストシーンが近づく中で,自分のワクワクしている気持ちが,何かとデジャヴしたので,終演後に考えてみました。完全に一致するか分かりませんが,某テーマパークのレビューショーで, あの市長似のキャラクター*2が踊って魅せているあの瞬間に感じる気持ちととても似ていることに気がつきました。そう,舞台上でも何度か言及がありましたが,ちょうど観客は あの街の観光客として,トラブルタウンのショーを楽しんでいたのです。

映像化の見込みは全くないとのことですので,今観なければもう出会えないお芝居です。4月20日(月)まで大阪恵美須町のin→dependent theatre 2ndで公演が行われています。 「伝説」の始まりというと持ち上げすぎかもしれませんが,確実に壱劇屋さんのお芝居の中では「伝説」になるプロジェクトの第一弾ですから,お近くの方はぜひ観劇してみてくださいませ。 正直,チケット代の6倍程度の交通費をかけてでも,全く惜しくないほどのハイクオリティなエンターテイメントでした。大満足です。

*1:主演の西分さんは,終盤のある一連のシーンについて,末満さんから提供された台本に最初から 「フジコは一回もはけない(=舞台上に出ずっぱり)」と書かれているらしく,その場で倒れ込んでもおかしくないほどの運動量なのですが,くたびれた様子を全く見せずにカーテンコールまで演じきっていました。 ちなみに末満さんがガラスの喉と形容していた演出/出演の大熊さんですが,本日昼時点では心配ゼロでした。壱劇屋のみなさんすげえ。

*2:逆,逆。